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野村哲也氏が語る『キングダム ハーツ HD 2.8』! 『FFVII リメイク』も順調に進行中【E3 2016】

ファミ通.com 6月15日(水)10時2分配信

●期待作を多数抱える野村氏の動きから目が離せない!
 アメリカ・ロサンゼルスで2016年6月14日~16日(現地時間)にかけて開催されるE3に先駆け、ひと足早くトレーラーを公開した『キングダム ハーツ HD 2.8 ファイナル チャプター プロローグ』(以下、『KH2.8』)。発売時期が2016年12月と公表された本作について、E3会場で触れることのできた試遊版や、最新映像の内容、そしてシリーズの動きなどを、ディレクターを務める野村哲也氏に直撃。野村氏が手掛けるそのほかのタイトルについても、少しずつではあるがコメントをいただいた。

【『KH2.8』収録作品】
・『キングダム ハーツ 0.2 バース バイ スリープ -フラグメンタリー パッセージ-』(完全新作、文中は『KH0.2』)
・『キングダム ハーツ ドリーム ドロップ ディスタンス HD』(HDリマスター化作品、文中は『KHDDD』)
・『キングダム ハーツ χ(キー) バックカバー』(新規映像作品、文中は『KHχ バックカバー』)

■あらゆる部分が進化してボリュームも十分な『KH0.2』
――『KH0.2』、試遊させていただきましたがすばらしいデキですね! まずグラフィックに目を奪われました。ただリアルなだけではなく、『KH』らしくも新しさがあって。

野村 よかったです。『KH0.2』は、シリーズで初めてライティングを取り入れた作品で、ライト次第で見た目はかなり変わってくるので最後まで調整はしますが、方向性はお見せすることができているかなと。Unreal Engine 4の開発元の方々ともしっかりと組ませていただいています。

――それは心強い。今回試遊できたのは、製品版の冒頭の部分ですか?

野村 はい。冒頭のプレイ部分を切り取ったものです。場所はシンデレラ城の城下町ですね。

――高低差があったり、入り組んでいたりして、まるで町を探索するような感覚が楽しめました。

野村 入り組んでいるところは迷いやすい一方、高いところへ行けば、そこから全体を俯瞰することで位置関係を把握できたり、ギミックを見つけられるといったマップになっています。移動も低い段差はオートで乗り越えたり、『KHIII』と同じ仕組みで、フリーランが可能なように作っています。

――この町は、時が止まっているようでしたが、闇の世界は全般的にそうなのでしょうか。

野村 このマップだけですね。進めば違うエリア、違う遊びがあります。“闇の世界をアクアが冒険する”というのがどういうことなのか、これまではわからなかったと思うんですが、この場所ではいろいろなワールドが……闇に飲まれた世界が融合しています。試遊していただいたパートの後、シンデレラ城に入っていくと違うワールドがあり、そこを抜けるとまた違う場所に出て、といった具合です。

――そのままシンデレラ城を探索するわけじゃないんですね。試遊版では最後にテラが登場しましたが、幻のようなものだったのでしょうか。

野村 どうでしょう(笑)。そのあたりは実際に製品版をプレイしてみてもらえればと。

――城下町では、歯車のギミックを作動させて時を巻き戻していきましたが、仕掛けを動かすたびに新たな能力がどんどん開放されていって、テンポが早いなと。これも製品版と同じなのでしょうか?

野村 そうです。『KH0.2』はこれまでのシリーズのようなフルボリュームではないので、早い段階でいろいろなシステムが開放されるようになっています。バトルは『KH バース バイ スリープ』(以下、『KH BbS』)のデッキコマンドではなく、『KHIII』を踏まえた仕様になっています。

――スタイルチェンジ(コマンドスタイル)やシュートロックなど、『KH BbS』の要素もありました。

野村 そのふたつは『KHIII』にも採用していますが、『KH0.2』においては『KHIII』とも『KH BbS』とも少し違っています。『KHIII』でも任意発動にはなっていますが、スタイルチェンジは基本的にキーブレードに依存したものになっていて、『KH0.2』ではアクア自身に依存しているので『KH BbS』とのハイブリッドですね。シュートロックに関しても『KHIII』のほうができることが多いですが、『KH0.2』は『KH BbS』に寄ったものになっています。

――なるほど。もうひとつ、進化が著しかった要素が魔法です。派手かつ便利になっていました。

野村 ただダメージを与えるだけでなく、ブリザガであれば敵やフィールドを凍らせてその上を滑ったり、サンダガなら感電で硬直させたり。戦術的に使えるようになっているのが特徴です。

――フィールドのザコ敵も目新しく、シャドウ以外に3種類ほど新しいものがいました。とくに印象深いのがシャドウの集合体の敵です。ヌルヌルした動きをして……ちょっとキモかったんですが(笑)。

野村 あの状態のシャドウのことは、デビルズウェーブと呼んでいます。『KHIII』の最初のトレーラーに出ていたやつです。ただ、まだフルパワーじゃないですけど。

――“まだ”? 

野村 今回は序盤なので。フルパワーはすごいことになりますよ(笑)。

――それはちょっとイヤですね(笑)。アクアもそれに対抗できるように、育成や強化などができるのでしょうか。

野村 レベルアップによるパラメーターの上昇など育成要素はあります。

――新しいキーブレードが手に入ったりは?

野村 キーブレードは、エラクゥスから継いだ“マスターキーパー”のみです。

――『KH0.2』ではキーブレードではなく、スタイルの変化でバトルのバリエーションを出すわけですね。ちなみに、やり込み要素のようなものも?

野村 コレクション要素というか、ゲーム進行とは別のカスタマイズ要素があります。

――なるほど。思いのほか、やれることが多い印象です。プレイボリュームは、どれくらいになりそうでしょうか。

野村 当初は1ワールド分くらいと言っていたのですが、最初から最後までつなげたウォークスルーをチェックして、「これは遊び応えがあるな」と感じています(笑)。なかには、「30分程度で終わる体験版くらいかな?」と思っている方もいると思いますが、そんなことはぜんぜんなくて。ストーリー進行もあり、カットシーンもたくさん入っていますので、ワールドの数こそ多くはないですが、新しくなった『KH』を十分に楽しんでいただけると思います。

――そこまで本格的な作品だったとは!

野村 お話としてもけっこう重要な位置づけの作品ですよ。『KH 3D[ドリーム ドロップ ディスタンス]』(以下、『KH3D』)と『KH0.2』のシナリオは、本来、『KHIII』のプロローグとして考えていたものですし。『KH2.8』の収録作品を検討しているとき、『KHIII』よりも早く現世代機の『KH』を遊んでほしいと制作を決めたのが『KH0.2』でした。ストーリーは『KH3D』、『KH0.2』、『KHIII』とつながっています。自分の中では、『KHIII』は『KH3D』から始まっているんです。そういう意味で『KH2.8』のサブタイトルも付けています。

――『KH3D』のみならず、『KH0.2』にまでお話を持ってきてしまうと、『KHIII』のボリュームが減ってしまうのでは?

野村 持ってきたと言うより、『KHIII』内で語ろうとするとテンポが悪くなってしまう部分を分離させたという感じでしょうか。むしろ『KHIII』のボリュームが圧倒的で、削れる内容でもないですし、扱いに悩んでいた部分でもありました。それと自分としては、これまでRPGをたくさん作ってきて、ゲームをスタートしたら長い説明を聞かされるより、すぐに冒険を楽しみたいと思っていて、経緯説明的な導入部分を『KHIII』ではなるべく省略しようと思っていました。それらの意味で『KHIII』は、「ソラはなぜここにいるの?」と、比較的唐突に始るように感じるかもしれません。もちろん、遊んでいけば最低限の状況は把握できますが、。

――ん? 『KHIII』でソラがいる場所を疑問に思うということは、その直前の物語となる『KH0.2』にソラも登場する……?

野村 あー(笑)。ちなみに、『KHIII』は前置きは短く、すぐに始まりますが、久々にシリーズをプレイする方や、今回が初の『KH』になる方に向けてのフォローはきちんと考えています。ただ、詳細に経緯を語っているのは『KH3D』と『KH0.2』なので、『KHIII』を待つあいだに『KH2.8』をプレイしていただくと、ストーリーの流れが把握しやすいかと。これまで通り、旅立ちの前に詳しく把握しておきたい方は、『KH2.8』を遊んで備えておいていただくのがベストかと思います。

■HD化に留まらない進化を遂げた『KHDDD』
――『KHIII』に密接に関わる『KH3D』をHD化した『KHDDD』もプレイさせていただきましたが……ワンダニャン系の、タヌキっぽいドリームイーターがいたんですけど!

野村 ポンダニャンですね(笑)。大阪チームがせっかくだからと追加してくれました。追加するドリームイーターはほかにもいますし、『KH3D』ではARで入手できた仲間もすべてゲーム中で手に入るようになっています。

――PS4のトロフィー機能には対応するというお話でしたが、それ以外にも追加要素があるんですね。

野村 はい。なおトロフィーも、ゲーム内にあったトロフィーは別の内容になっています。ほかにも、ドロップ時間が延びていたり、敵のリアクションも一部調整中ですね。それとシリーズ初の試みとして、今回『KHDDD』は、60フレームになっています。そこがオリジナルと根本的に違いますね。

――確かに滑らかな動きで、大画面でプレイしていて爽快感がありました。それと気になるのが、『KH3D』では下画面を使っていた要素です。それらの調整も済んでいるのでしょうか。

野村 はい。試遊版でも発動できたリアリティシフトは、発動をボタンに振って、演出は1画面に納める形になっています。ドリームイーターどうしが戦うフリックラッシュも、1画面に情報を凝縮して、カードはカーソルで選択して使用する形になります。

――なるほど。

野村 スピリットの育成は、いくつか完全新規のミニゲームになっていたり、PS4ならではの操作にするなどの調整も入っています。

――スピリットの交代やリンク攻撃は、方向キーでコマンドを切り換えてから実行する形になっていましたね。慣れないからか、ちょっと難しく感じました。

野村 試遊版ではまだ実装されていませんが、製品版ではスピリットに関してもショートカットで選択できる予定です。『KH0.2』のように1キャラだけを操作するのではなく、仲間のドリームイーターもある程度制御していくバトルになるので、その時点でちょっと複雑にはなりますね。でもそれが『KHDDD』ならではのバトル感覚ですし、少しくらい歯応えがあるほうが、使いこなせたときの爽快感もあると思いますよ。

■『KHχ』シリーズは明確な分岐が……そしてシーズン2!?
――『KHχ バックカバー』は、予知者たちやエフェメラがCGになって、ボイスでの演技も入り、非常に新鮮でした。

野村 『KH0.2』と同じく『KHIII』の技術で作っています。『KHIII』のカットシーンもああいう感じなのかな、と思ってもらえれば。

――黒コートの人物が、予知者たちのマスターですか?

野村 そうです。独特のノリの人物で、ウルコルニスのマスター・イラは「イラっち」、ウルススのマスター・アセッドのことは「アセどん」と呼んだりしています(笑)。

――イラっちにアセどん……予知者のイメージが(笑)。先日、スマホ版『KHアンチェインドχ』は日米合計で400万ダウンロードを達成しましたね。

野村 海外ではとくに好調なようです。なお北米版リリースのタイミングで、ヨーロッパの方から欧州での配信に関する声も多数寄せられ、うれしい限りです。

――世界中にファンのいる『KH』シリーズだからこそですね。一方で、PC版『KHχ』の終了告知もありました。

野村 まさにシナリオを書き終わったところです。毎日せかされながら(苦笑)。これまでは、だいたいひとつのシナリオが2分割されて配信されていましたが、最終章は最初から前編と後編に分けて構成しています。『KHアンチェインドχ』との分岐もそろそろです。

――明確な分岐が……!?

野村 最終話の公開後、9月にサーバーが閉じられるまで1ヵ月ほどあるはずです。いま、『KHχ』はかなり遊びやすくなっているので、これを機にお話を進めてみてもらえれば。

――『KHアンチェインドχ』は、どうなるのでしょうか。

野村 長く運営することを見据えているので、新しいワールドの検討のほか、ストーリープランは進んでいます。『KHχ』の物語は完結しますが、『KHアンチェインドχ』では新たな展開……いわば“シーズン2”にあたるストーリーが始まります。

――長く続く『KHアンチェインドχ』のほうが正史、というわけではない?

野村 ふたつの世界の関係性は、具体的にはまだ言えないですね。

――エフェメラやスクルドといったキャラクターがどうなるか、また、今後のシリーズ作に登場したりするのかも気になるところです。

野村 どうでしょうね(笑)。まずは『KHχ』や『KHアンチェインドχ』のシーズン1においては、予知者たちの動きが重要になってきます。ぜひ、見届けていただければと思います。

――トレーラーでは12月に世界同時発売、『KHIII』の次回情報は冬とアナウンスされました。

野村 おそらく若干日本が早いですが、ほぼ同時ですね。『KH2.8』は制作の最終段階で、世界同時ということで、英語の音声収録もすでに終えていますし、いつもよりマスターアップのタイミングはタイトですが順調に進んでいます。このタイミングで突然試遊版が用意できているのも、本編からの切り出しだからです。あと半年も待たずに、皆さんには遊んでもらえます。『KHIII』に関しても制作は順調ですが、今回お話しした通り、重要なポジションである『KH2.8』にまずは注目していただきたいので、『KHIII』の情報アップデートするのは、『KH2.8』の発売に近い時期にさせていただこうと思っています。どちらも楽しみに待っていてください。

――ところで、来年は『KH』シリーズ15周年です。今年からコンサートも始まりますが、ほかに何か計画を立てていたりはしますか?

野村 そうですね……来年は『FF』の30周年もありますが、『KH』15周年も盛りだくさんになりそうですよ。

■クリエイター歴25周年! 野村氏が携わる数々の作品
――それでは、野村さんが関わる、そのほかのタイトルについても少しおうかがいできれば。『ワールド オブ ファイナルファンタジー』は、発売日が2016年10月27日に決定しました。

野村 自分の作業はけっこう前に終わっていますが、現場はマスターアップに向けて最終調整中で、いまの関わりとしては、発売に向けての監修をしつつ見守っているような感じです。本当に最終段階ですね。

――野村さんが描かれたキャラクターは、すべて公開されたのでしょうか。

野村 ラァンとレェン、エナ・クロともうひとりを描いていて、最後のキャラクターはまだ出ていないですね。これまではCGでご紹介していましたが、自分のイラストもそのうち公開されると思います。ゲーム内ではけっこうデフォルメされていますが、デザインではもう少し頭身は高いです。

――順調に稼動中のアーケード版『ディシディアファイナルファンタジー』は、2016年8月27日に全国大会が開催されます。

野村 いま、それに向けての準備も着々と進行しています。発表以来の大型イベントですので、大会以外でも満足していただける場にしたいですね。フードメニューも、オフィシャルショップであるアルトニアの協力を得て力を入れています。

――大規模な催しになりそうですね。では、『FFVII リメイク』は進捗いかがでしょうか。

野村 しばらく情報をお出ししていませんが、制作は着々と進行していますので安心して下さい。次回の情報公開に向けて具体的な仕込み中ですが、今回の『KH2.8』のように、小出しにするのではなく一気に浮上するつもりですのでお楽しみに。自分も公開を楽しみにしています。

――つぎの情報が待ちきれませんよ!

野村 次回、お見せできるタイミングとしては、まだどうなるかわからないので詳細は言えないのですが、期待していてください。

――期待しかしません!  ともあれ、『FFVII リメイク』の前に、今年は『KH2.8』ですよね。今年は野村さんもクリエイター生活25周年とのこと、ひとつの節目になるのではないでしょうか。

野村 本当は25周年の日に、仲間内で大々的に祝ってもらおうと思っていたんですが、忙しくしてるあいだに自分でも忘れて数日経って気付きました(笑)。本来、25年と言えば、“四半世紀”ということで特別なものらしいですが、来年が『KH』15周年、『FFVII』20周年ということで、そちらでにぎやかにしようかと思っています。今回の情報公開のつぎに今年8月の『KH』コンサート、『ディシディア ファイナルファンタジー』の大会と、徐々に浮上を始めていくつもりですので、よろしくお願いします。

最終更新:6月15日(水)10時2分

ファミ通.com

TEDカンファレンスのプレゼンテーション動画

斬首動画が何百万回も再生されてしまう理由
昔は街の広場で、現代はYouTubeで。歴史を通じ、公開処刑には必ず人だかりがつきものでした。人が処刑というものを、恐ろしく不快に感じながらも、つい気になって見てしまうのはなぜか。フランシス・ラーソンが人間と公開処刑の歴史、中でも斬首刑に焦点を当てて解説したこのトークは、気分の良い内容ばかりではありませんが、同時に興味をそそること間違いないでしょう。