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iOS9に搭載 アドブロックはウェブメディアを変えるか

エコノミックニュース 6月15日(水)7時21分配信

 昨年登場したiOS9で導入された新機能「アドブロック」。ウェブサイト上の広告を表示しないように出来るもので、ページが見やすくなったり、読み込みが速くなったりする利点がユーザーにはある。Firefox、Google Chrome、Internet Explorer、Safari、Operaなど一通りのブラウザに対応しているが、デフォルトでは設定されていない。利用するには専用のアドオンをインストールする必要がある。
 
 テレビや新聞、雑誌などのトラディショナルメディアの広告費は横ばい、もしくは減少傾向にある。しかしネット広告の分野だけは毎年1000億円規模で拡大を続けている。主流はタグを貼った箇所にさまざまな広告が自動配信される「ネットワーク広告」。Googleやyahooのほか、広告代理店各社が自社のネットワークを持っている。
  
 右肩上がりを続けるこの業界に、アドブロックはどの程度影響を与えるのだろうか。代表的なアドオン「Adblock Plus」は、世界で10億ダウンロードを記録、急速に広がりを見せている。コンサルティング会社のオプティマルが行った調査によると、アメリカでのデジタル広告の損失が2016年は38億ドル(約4200億円)、20年には120億ドル(約1兆3000億円)になるそうだ。別の調査では、15年に既に世界で約220億ドル(2兆4000億円)の損失があったとされている。

 しかし、売り上げで大打撃を受けるはずの広告代理店や各メディアの反応は思いのほか静かだというのが実情だ。個人のブロガーから企業のホームページまで多くのサイトで利用されているアドネットワーク「Google Adsense」を展開しているGoogleなども、暗号化に取り組んでいるという噂が流れる程度で表だった対抗策は出していない。アメリカの大手メディア、ワシントン・ポストは、自社サイトをhttpsに移行することでユーザーのアドブロックを行う理由のひとつ「セキュリティ上の懸念」を取り除こうとしているが、httpsのサイトはまだまだメジャーではない。

 メディアの中には根本的な収益モデルを変えようという動きもある。アメリカのニューヨーク・タイムズは、有料購読者ではないアドブロックの利用者がサイトを訪問できないようにしている。「記事を閲覧するにはアドブロックを解除しないといけない」というわけだ。経済誌フォーブスやビジネス誌ワイアードも同様の対応をしており、この流れは世界的に広がるかもしれない。(編集担当:久保田雄城)

Economic News

最終更新:6月15日(水)7時21分

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