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福島の技で0.2秒短縮 室屋選手エアレース優勝の陰に…

福島民報 6月15日(水)11時10分配信

 千葉市で5日に行われた「レッドブル・エアレース・ワールドチャンピオンシップ2016第3戦」での室屋義秀選手(43)=福島市在住=の初優勝の陰には、福島市の小さな木型製作所の技術力があった。レース直前まで改良を重ねたタイヤカバーが、機体の空気抵抗を減らし「0.2秒」のタイム短縮につながり、室屋選手を頂点に導いた。

 「タイヤカバーで0.2秒短縮できた。福島の会社の協力がなければ優勝はなかった」
 室屋選手はレース後、タイヤカバーの木型製作に当たった福島市町庭坂の斎藤木型製作所に対する感謝の言葉を繰り返した。
 室屋選手のチームは5月、初制覇に向けて練習拠点の福島市の農道空港「ふくしまスカイパーク」で、機体の改良を重ねていた。
 エアレースの機体は室屋選手が乗る「EDGE540」の他「MXS-R」「EXTRA330LX」の3機に限定されている。平成22年までは機体の改造が自由だったが、26年から共通のエンジンとプロペラの使用が義務付けられた。ただ、機体の部位の変更は可能で、各チームが0コンマ以下の秒数を短縮するため、許可されている部位を最新の技術とデータを基に改良している。
 機体の空力パーツ設計を担当するエンジニア、ギルハム・アンドレ・サンタナさんは新しい形のタイヤカバーの導入を提案。しかし、レースまで日数がなく、型製作の依頼に応じる会社はなかった。室屋選手は知人から、スカイパークにほど近い場所にある斎藤木型製作所を紹介された。斎藤芳紀社長(45)と社員3人の小規模ながら、車輪などの鋳造の型製作を専門として技術力に定評があった。
 5月21日に室屋さんからタイヤカバーの木型製作依頼を受けた斎藤社長は、土日を返上し連日深夜まで作業した。指定された木型の材料がなく福島県外から取り寄せるなど困難を乗り越え、期限内の29日に納品した。
 室屋選手のチームスタッフが、木型をもとにカーボン樹脂でカバーを製作した。実際に部品が機体に付いたのはレースの数日前で、塗装作業が終わったのは前日だった。
 室屋選手によると、タイヤカバーの改良によるタイム短縮は0.2秒で、2位との差は0.105秒だった。
 斎藤社長は「室屋選手の偉業に携われて感動している。最後まで諦めずに作業をして良かった」と社員全員で喜んでいる。
 この他、ふくしまスカイパークに軽飛行機の研究開発施設を整備している自動車部品会社サード(本社・愛知県豊田市)が、室屋選手の機体の技術支援に携わっており、「チーム福島」で世界の頂点をつかんだ。

福島民報社

最終更新:6月15日(水)11時48分

福島民報