ここから本文です

PS4タイトルは一歩先のエンタテインメントへ――SIE WWS プレジデント吉田修平氏インタビュー【E3 2016】

ファミ通.com 6月15日(水)17時36分配信

インタビュアー:週刊ファミ通 編集長:林克彦(Twitter:@Famitsu_Hayashi)、文・取材:編集部 ロマンシング★嵯峨

●充実のソフトラインアップとPS VRについて聞く!
 2016年6月14日~16日(現地時間)、アメリカ・ロサンゼルスで開催されている世界最大のゲーム見本市“E3(エレクトロニック・エンターテインメント・エキスポ)2016”。その開幕に先駆けて行われた“E3 2016 PlayStation Press Conference”では、プレイステーション4(PS4)のソフトに関する多数の新情報や、プレイステーション VR(以下、PS VR)の発売日・価格が発表された。

 ファミ通.comでは、このカンファレンス後に、ソニー・インタラクティブエンタテインメント ワールドワイド・スタジオ プレジデント 吉田修平氏にインタビューを実施。プレイステーションプラットフォームの今後について語っていただいた。

[関連記事]小島監督の新作、『バイオハザード7』、『ゴッド・オブ・ウォー』……注目作が多数発表されたPlayStationカンファレンスまとめ

――今回のカンファレンスでは、ソフト中心の内容だったこと、そして本当に幅が広いラインアップが用意されていたことが印象的でした。まず、今回のカンファレンスで意識したこと、注力したことをお聞かせください。
吉田 ご覧になっていただいたように、今回はいつもより、人が登壇しない形式にしました。私も出ませんでしたし。最初と最後にショーン(SIEアメリカのプレジデント兼CEO、ショーン・レーデン氏)がお話しして、残りの時間はすべてゲームを見せるという形をとりました。スピーディーに進めましたので、今回は見ている途中で、ダレるということがなかったんじゃないかなと思います。

――どのタイトルもインパクトがあり、クオリティーも高く、目をそらす暇がありませんでした。
吉田 PS4が出て3年目になりますが、PS4発売当初はまだ、PS3からの移行途中といったタイトルが多かったのですが、ここにきてPS4世代に集中して作られたタイトルが揃ったのだと思います。SIEから発売するタイトルについても、『アンチャーテッド 海賊王と最後の秘宝』を始め、次世代を意識したものが揃っていますし。

――個人的な見解も入るのですが、以前のAAA(トリプルエー)のタイトルは、派手な演出や爽快感に力を入れていたと思うんです。ですが最近は、人情ものと言いますか、感情を揺さぶるものが増えているように感じます。カンファレンスで発表された『ゴッド・オブ・ウォー』がその象徴ではないかと。クレイトスが子どもを指導したり、子どもを守るために戦ったりというのは、以前にはないシチュエーションですよね。
吉田 それはとても意識して作っていますね。映像のすばらしさや爽快感は、PS3以降ずっと追求しているものですから、今後はさらに、深みのある、大人も楽しめるエンタテインメントを追求していきたいなと。開発者も年齢を重ねて、いろいろな気持ちが湧いてきたというのもありますね。

――『ゴッド・オブ・ウォー』最新作は、感情に訴えかけるストーリーもありつつ、アクションもいままで以上で、すごいインパクトでした。
吉田 『ゴッド・オブ・ウォー』のチームはおもしろいチームで、作品ごとに、ディレクターが変わっているんですよ。前のチームの主要なポジションにいたスタッフが、新作のディレクターを務めることが多いのですが、今回は『ゴッド・オブ・ウォー2』のディレクターを担当したコリー・バーログが戻ってきて、彼にとっては2度目のディレクションにチャレンジしています。『ゴッド・オブ・ウォー』シリーズは、『ゴッド・オブ・ウォー アセンション』をもって、ギリシャ神話ベースのストーリーは一度終わりにしていて、今回はまったく新しい舞台で、新しいゲーム性を追求しています。カメラの視点が変わったのはお気づきかと思いますが、ステージ構成や、操作系も変えているんですよ。いままではトラディショナルな操作方法で、□ボタンなどで攻撃していたわけですが、今回はR1ボタンで攻撃します。敵の行動を見ながら、ストラテジックに戦うアクションになっているのも特徴ですね。過去のシリーズ作の歴史を継承しつつも、新シリーズの第1作になるようなタイトルとして、気合を入れて作っています。

――その気合が伝わってきました。そのほかにもたくさんのタイトルがありましたが、やはり小島監督が登壇したこと、新作を披露したことが印象的でした。カンファレンスで、ソニー・インタラクティブエンタテインメントの方以外で登壇したのは、小島監督のみでしたね。
吉田 私も、小島監督がカンファレンスに出られると知ったのは先週くらいなんです。もちろん、新作の映像制作のお手伝いはしていたので、どういうタイトルかは知っていたんですが、E3で公開するとは最近まで知りませんでした。

――では、『DEATH STRANDING』の映像を見た感想を教えてください
吉田 考えさせるネタがいっぱい入っている映像ですよね。見た人に、ああでもない、こうでもないと想像してほしい、というお考えなのではないでしょうか。


――それから、『Horizon Zero Dawn』について。映像を見て、すごくわくわくしました。
吉田 個人的に、私がいちばん期待しているタイトルなんです。『アンチャーテッド』などももちろんすばらしいゲームなのですが、やはり新規IPということで、期待しています。ゲリラゲームズがオープンワールドのゲームを手掛けるのは初めてですし、アクションRPGというのも初めてですし。開発は順調ではあったんですが、時間をかけてバランスを調整しなければいけないということで、発売は当初2016年予定だったのを、来年に延期しました。『キルゾーン3』の後から、ずっと作っているタイトルですから、最後にちゃんと仕上げないと作った甲斐がないと思っていますので。ぜひ成功して、シリーズになってほしいと思っています。

――楽しみにしています。オープンワールドのゲームというと、新たに『Days Gone』も発表されました。冒頭で発表した後、カンファレンスの最後にプレイデモを用意した理由は?
吉田 カンファレンスの構成を考えたスタッフに、カンファレンスを“デモで始まってデモで終わらせる”形にしたいという意図があったのだと思います。『Days Gone』も、ストーリーに力を入れているタイトルですので、トレーラーではストーリー部分を見せつつ、デモではゲームプレイを見せるという形ですね。

――つぎに、『人喰いの大鷲トリコ』についてうかがいます。発売日が発売され、いよいよ卒業間近だと感じました!
吉田 『ファイナルファンタジーXV』先輩が先に卒業されるので、ついていかないと、と思いまして(笑)。『仁王』先輩は、まだ発売日が発表されていませんが、きっと『トリコ』のほうが先に卒業するんじゃないかなと……。発売日を発表するかどうかは、E3直前まで、開発状況を見ながらずっと議論してきました。そしてチームが「これはいけます」と言ったので、発表することを決めたんです。ゲームはもう、最初から最後まで遊べる段階になっていて、何度もチェックを行っていますが、あとは上田文人さんがどれだけこだわるか、ですよね。物語を楽しんでいただくことがカギとなるタイトルなので、最後の最後まで手を入れていくと思います。

――日本のクリエイターが手掛けるタイトルとしては、『バイオハザード7 レジデント イービル』も発表されました。日本が誇る、世界と真っ向勝負ができるIPのナンバリングタイトルが、すばらしい形で発表されたと思います。
吉田 『バイオハザード6』はハリウッド映画のような方向性でしたが、『7』はまったくの逆方向のテイストで、原点回帰されたのだと感じます。全編VR対応というのも、すごい試みです。VRデモ『KITCHEN』を作ったときから、『バイオハザード7』のVR対応を視野に入れていたのでしょうね。『KITCHEN』は壮大な仕込みだったんだ! と。『KITCHEN』で手応えを感じられたのも、全編VR対応を決めた理由のひとつではないかと思います。

――PS VRは、いよいよ発売日と価格が正式に発表されました。10月13日に、44980円[税抜]で発売されるとのことで、いよいよ本格的にプロモーションが始まりますね。
吉田 やっと『サマーレッスン(仮題)』が出ます、と言えます(笑)。これまでは、デモなのか、製品になるのか、はっきり言えませんでしたが、ようやく自信を持って「出ます」と言えて、うれしいですね。

――何年もかけて準備されてきたと思うのですが、ついに発売日が見えてきたいまのお気持ちを教えてください。
吉田 2014年に発表したのですが、それからの2年間、あまりにもすごいペースで世間が動いてきました。今年、いろいろな企業がVR対応を発表されましたが、昔はそうなるとは想像していなかったですね。皆さんが、それほどのスピードで開発を進めるとは思っていなかったんです。ただ、VRの盛り上がりが一過性のものになって、1年経ってみるとそんなに普及していない……という状況にならないかが気になるところです。これほどのポテンシャルを持つ、VRというメディアの導入者になることの責任を、強く感じています。最初からいい形で展開していかないといけません。業界全体に対する責任を感じながら、ひとつひとつ着実にやっていくつもりです。

――北米では、以前からVRが盛り上がっていましたが、日本は今年になってから、VRへの見かたが変わった気がします。
吉田 欧米やアジアにではVRがすごく盛り上がっているのに、日本で盛り上がっているのは、本当に興味のある人たちだけのようだ……と他地域との差を感じていたのですが、今年に入ってから、日本での空気が変わりました。グリーさんが開催されたVRのカンファレンスも満席でしたし。バンダイナムコエンターテインメントの原田さん(原田勝弘氏)も、社内の雰囲気が変わったとおっしゃっていましたし。

――作り手の方の熱も高まってきましたよね。
吉田 ひとつひとつのプロジェクトを見ると、「誰かぜったいにVRをやりたい方がいるんだな。会社にアプローチして、なんらかの形で予算を確保したのだな」と感じるんですよね。そういう方たちの熱意はすばらしいと思いますし、我々もできるだけのサポートはしたいと思います。熱意は、ほかのクリエイターに伝染するじゃないですか。原田さんは、ずっとVRをやりたいと思っていて、我々がPS VRの初期のデモをお見せしたときに「これだ」と思い、早々に『サマーレッスン(仮題)』の企画を立ち上げたんです。そして、SIEの体験会で『サマーレッスン(仮題)』を出したところ、いろいろな業界の方が、「自分もやりたい」とおっしゃいました。熱意の伝播力は大事だ、と感じます。

――PS VRの日本での価格設定については、どのようにお考えですか?
吉田 詳細は盛田(SIEジャパンアジアのプレジデント、盛田厚氏)などに聞いていただく必要がありますが、日本ではどう展開するか、世界全体の動きを見ながら決めたのだと思います。

――発売まであと4ヵ月ほどですが、今後の国内での展望は?
吉田 日本でも、東京に機会が集中しないように、全国で体験できる機会を設けたいと考えています。体験していだたいて、きちんと理解して買っていただければと思います。

※国内でのPS VR体験会の日程は→こちら

最終更新:6月15日(水)17時36分

ファミ通.com

TEDカンファレンスのプレゼンテーション動画

斬首動画が何百万回も再生されてしまう理由
昔は街の広場で、現代はYouTubeで。歴史を通じ、公開処刑には必ず人だかりがつきものでした。人が処刑というものを、恐ろしく不快に感じながらも、つい気になって見てしまうのはなぜか。フランシス・ラーソンが人間と公開処刑の歴史、中でも斬首刑に焦点を当てて解説したこのトークは、気分の良い内容ばかりではありませんが、同時に興味をそそること間違いないでしょう。