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【さえりさん:ことばとわたしたち】 #4「海外に住みながら働くということ」

SENSORS 6月15日(水)12時0分配信

ライター・さえりさんによる連載・4回目。会社を退職し、Web編集者を経てフリーランスのライターとしての道を歩み始めたさえりさん。今回は、現在生活しているスペイン・バレンシアからの原稿をお届け。海外に実際に住んでみて分かった、海外を拠点にしながら働くことの良さとは。

会社を辞めて、以前から思い描いていた暮らしを実現させてみようと思いたち、スペインのバレンシアにきて2週間が経った。

必ずといっていいほど「どうして“バレンシア“なの?」と聞かれるけれど、理由は、正直あまりない。
2年前に南スペインを一人旅して、スペインが好きだと思ったこと。それから大学時代に少しスペイン語を勉強していたことで幾らかの単語を知っていること。スペイン語は日本人でも発音が理解しやすいところ。

それでスペインに行こうと決めた後、バルセロナやマドリッドほど大きくなく、不便でないところ......ということで浮上したのが、バレンシア。

バレンシアにして正解だった。いや、大正解だった。

ここはほどよい大きさで、中心地はすべて歩いて回れる。出不精のわたしでも散歩したくなる街並みがあり、治安もよく、ご飯もおいしい。

英語は話せない人が多い。でもとても親切だから、スペイン語が話せなくてもこの2週間困ったことは一つもない。

この海外生活は2ヶ月のみと決めている。それは観光ビザが3ヶ月までしか使えないこともあるし、いろいろなことを加味して決めた期間だ。

時差は-7時間(サマータイムの場合)。時にスカイプでのミーティングや取材を受けているけれど、アメリカほど時差もひどくないので問題なく仕事ができる(と、わたしは思っている)。

とはいえ、日本での取材はできないし、フットワークも重いというか不可能になるので仕事の幅が縮まるのは確かだ。

わたしの場合は、5月初旬から中旬まで日本でとにかくたくさん取材をして、それらの音源や写真を持ってスペインにやってきて、原稿を書いている(そういうわけでスペインまできてはじめに書いた原稿は「源氏物語について」だった)。

もし日本での仕事があまりもらえなければ、「スペイン取材記事を書く」と営業をかけるつもりだった。相手はどこかわからないけれど、たとえばスペイン留学を斡旋している会社、スペイン語の語学学校、旅行系サイト、旅系サイト、食のサイト......。考えればたくさんある。そういうところに連絡をして仕事をもらうつもりだった。

7月の仕事はまだ隙間があるので、日本から持ってきた仕事だけではなく、海外ならではの原稿を書きたいと目論んでいるし、きっとここで働く方法はいっぱいある。

「そっちで仕事をするってどんな感じ?」と聞かれるけれど、やっていることは東京の家で仕事をするのとほとんど変わらない。ひとりで案件を受け、進捗管理して、連絡をして、原稿を書いて。

変わったことといえば、「日中にアポが入らないこと」「気分転換が今までよりも楽しいこと」「街中でいろんなことを感じられること」「それゆえに気持ちがとてものんびりしてくること」くらいかなと思う。

見えるもの全ての人たちが陽気でのんびりしているので、徐々に自分も「あくせく」せずに済み、伸びやかな気持ちで仕事ができる。

でも、働かなくてはいけないことに変わりはないので、時に遊びを断って「働きすぎよ」と言われても「わたしは日本人だから」と笑って仕事を始める。

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最終更新:6月15日(水)12時0分

SENSORS