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三菱重工が大型プロジェクトのリスク管理でOBを活用

ニュースイッチ 6月15日(水)10時50分配信

新会社を設立しEPC能力に横ぐし。大型客船の巨額損失の教訓生かす

  三菱重工業は、EPC(設計・調達・建設)に精通するエンジニアを集約した新会社を7月に設立する。プロジェクトのリスク予知や洗い出し精度を高め、大型案件のリスク対応力を高める。人員は三菱重工グループのベテラン技術者やOBを中心に構成。人材確保が難しいエンジニアをOBの有効活用などでカバーし、全社のEPC能力を底上げする狙い。

 新会社はエンジニアの派遣業務を担うグループ会社、MHIプロ・スタッフ(横浜市中区)をベースとする方針だ。三菱重工のOBやベテランエンジニアを主体とし、EPCに高い知見を持つエキスパートを全社的にプールし、多様なプロジェクトへの活用を促進する。MHIプロ・スタッフのノウハウも活用し、外部人材の確保にも力を入れる。

 三菱重工は鉄道向け交通システムや商船、化学・発電プラント、製鉄機械といった大型案件を手がける。現在も各ドメインにエンジニアをそろえるが、各事業の枠を超えた連携が難しかった。そこで4月に各事業のエンジニアリング機能を集約したエンジニアリング本部を設置。新会社は同本部との連携を密にし、全社横断でベテランエンジニアを有効活用できるようにする。

 同本部にEPCノウハウを集め、大型プロジェクトの問題解決能力を強化。新会社は不足が懸念される若手エンジニアの教育・訓練も担う。ドメイン間の連携による大型案件の組成・受注も指向し、2017年度までに1000億―2000億円を新規に積み上げる。

 三菱重工は大型客船事業で16年3月期までに累計2375億円の損失を出すなど、大型プロジェクトへのリスク対応が課題となっている。全社のEPC能力に横ぐしを通す、共通基盤の構築が不可欠だった。

<解説>
 「機電融合」が進み、三菱重工の手がける大型プロジェクトは高度・複雑化が加速している。造船・重機各社は造船で培ったEPC力をテコに、事業領域の拡大を志向してきた。だがここにきてこれだけでは立ちゆかなくなっているのが実情。発電・化学プラントや鉄道システムなどで培ったエンジニアリング能力は、モノづくりのプロセスとは大きく異なることも大きい。全社のエンジニアリング能力に横ぐしを刺し、エンジニアをグループ内で最適に融通できれば、三菱重工の新たな武器となる。その受け皿の一つとしてOBやベテランエンジニアを一手に集約する新会社への期待は大きい。

最終更新:6月15日(水)10時50分

ニュースイッチ