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秀吉の刀絵図「本物」 紙の繊維、16世紀末の特色

北國新聞社 6月16日(木)3時4分配信

 豊臣秀吉の刀剣コレクションを絵で示した石川県立美術館所蔵の「刀絵図(かたなえず)」が、16世紀末に描かれた「本物」であることが、同美術館と県文化財保存修復工房の共同調査で分かった。絵図には文禄(ぶんろく)4(1595)年の年号が記され、重要美術品に指定されているが、後代の写しとする見方も出ていた。紙の繊維分析や製紙技法から年代を裏付けした。

 刀絵図は長さ約19メートルの巻物で、秀吉に仕えた刀剣鑑定家、本阿弥光徳(ほんあみこうとく)がまとめた。「太閤御物(たいこうぎょぶつ)」と呼ばれる秀吉所蔵品を中心に刀剣40点の絵を描き、鑑定の基準となるポイントを示している。絵は台紙とは別の紙に描かれ、貼り付けられている。

 巻末には「文禄四年五月十二日」の日付とともに、本阿弥光徳の署名、花押がある。

 金沢の旧家が長く所蔵し、1937(昭和12)年に国の重要美術品に指定されたものの、伝来の経緯がはっきりせず、保存状態も良好なため、刀剣研究者から「1700年代後半の写しではないか」「大正時代に作られたのではないか」という指摘が出ていた。

 共同調査では、100倍の顕微鏡を用いて時代によって特徴のある紙の繊維を見極め、近世後期以降の和紙に塗られた「填料(てんりょう)」と呼ばれる添加物の有無を調べた。

 紙の分析から県文化財保存修復協会の中越一成代表理事(72)=金沢市=は「紙には16世紀末の特色がある。填料もみられなかった」とし、県立美術館の村瀬博春学芸第1課担当課長は「描かれた刀の状態から、16世紀末に実物を見て描いた」と結論した。

 県文化財保存修復工房は4月に県立美術館広坂別館横に移転オープンしたばかりで、今後も両施設が連携して美術品の分析に取り組む。刀絵図は16日から7月18日まで、県立美術館第2展示室で公開する。

北國新聞社

最終更新:6月16日(木)3時4分

北國新聞社