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アーティスト4人が絶賛する映画「貞子 vs 伽椰子」ってなんなんだ!?【みんなの映画部】

M-ON!Press(エムオンプレス) 6月17日(金)18時6分配信

Base Ball Bearの小出祐介が部長となり、ミュージシャン仲間と映画を観てひたすら語り合うプライベート課外活動連載。今回は、小出部長の大得意である「ホラー」。連載史上最高と言えるほどみんなが楽しんだ「貞子 vs 伽椰子」の感想会の模様をお届けします!

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活動第26回[前編]「貞子 vs 伽椰子」
参加部員:小出祐介(Base Ball Bear)、福岡晃子(チャットモンチー)、オカモトレイジ(OKAMOTO’S)、ハマ・オカモト(OKAMOTO’S)

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■この煽り文句は嘘じゃない。Jホラーの歴史を見事に大破しましたね

──「みんなの映画部」第26回。レギュラーが全員そろいました今回は、当映画部にとってのマエストロ、白石晃士監督の角川映画「貞子 vs 伽椰子」です! まずは恒例の、小出部長のひと言からお願いします。

小出 スーパー最高でした!!

レイジ スーパー最高!!

一同 (拍手)

小出 さっき帰り道にパンフレットを見たら、「ホラーの歴史が変わり、世界が変わり果てる“最恐のラスト”を目撃せよ」って書いてあったんですよ。この煽り文句は嘘じゃない。Jホラーの歴史を見事に大破しましたね。

ハマ 粉々に?

小出 粉々に(笑)。でも実際、この作品でひとつの歴史が終わったという見立てはアリだと思う。というのは、今年はまず最初に中村義洋監督の「残穢 -住んではいけない部屋-」(「みんなの映画部」第23回)がありましたよね。

あの作品は、映画「リング」のブームから生まれた「ほんとにあった!呪いのビデオ」(以下、「ほん呪」)シリーズの初代監督であり大ヒットさせた中村監督が、「ほん呪」オマージュの小説である「残穢」を、しかも、「リング」劇中で貞子の最初の被害者となるキャラクターを演じた竹内結子さんを主演に迎えて映画化したものでした。

で、今回はその「ほん呪」シリーズを担当した後に、「戦慄怪奇ファイル コワすぎ!」シリーズでフェイクドキュメンタリーホラーの限界を突破して、閉塞感のあったJホラーシーンを再び盛り上げた白石晃士監督が、原典である“呪いのビデオ”を扱った。っていう、「リング」から始まったJホラーの円環が1周したこのタイミングで、もうすべてを破壊したと(笑)。

福岡 部長、すっごいうれしそう(笑)。

小出 そりゃうれしいよ! もちろん「貞子 vs 伽椰子」を白石さんが監督するって段階で、間違いなく「貞子3D」みたいなアトラクション映画にはならないし、「エイリアン vs プレデター」みたいな企画物で終わらせるはずはない。

それはもうわかっていたんですけど、まぁ、こんなに最高なものが出てくるのかと驚嘆しましたよ。本当に素晴らしかった。

──表情が清々しい。

ハマ 報われている顔してますね(笑)。

レイジ 呪いが解けた人の顔みたいですよ?

小出 あははは。皆さんのひと言コメントは?

レイジ やっぱり白石監督の“シネマティック・ユニバース”(第25回「シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ」参照)。

小出 “シライシ・シネマティック・ユニバース”ね(笑)。SCU。

ハマ SCUシリーズ最新作ですね。

──その略、ここでしか使えないから(笑)。

■「リング」「呪怨」も知らない世代が観に来ても楽しめる

レイジ 今回、白石監督の「カルト」(2013年)と重なる要素が強かったなって。あの映画に出てくる雲水先生の呪文と同じやつが使われていたり。

小出 そうだね。実は数ヵ月前、例の本(白石監督の著書「フェイクドキュメンタリーの教科書」誠文堂新光社刊。この本のオビに小出部長が推薦コメントを寄せている)が出たときに、「貞子 vs 伽椰子」はどんな感じになりそうですか? って白石さんに直接聞いたのよ。そうしたら「結構『カルト』感が強いです」って自分でもおっしゃっていて。で、まぁ見事に出てきましたね、最強の霊能力者が(笑)。しかも、ペアで。

福岡 イケメン霊媒師(安藤政信)と謎すぎる盲目の少女(菊地麻衣)!

ハマ エナメル質の衣裳で、ハンバーガー食べて(笑)。

小出 ハンバーガーのシーン爆笑でした(笑)。絶対にゴミ箱はあるのに、あえて床に捨てる!

レイジ しかも室内で(笑)。

──あれだけで映画の空気がけっこう変わったよね(笑)。

小出 あれもまさに「カルト」ですよね。

レイジ そうそう。NEOっていう最恐の霊能力者キャラ。

小出 「カルト」もNEOが出てきて全部ぶっ壊して帰っていくという(笑)。

ハマ 白石スイッチでしたね。

小出 入っていましたね。

レイジ あと、きちんと「工藤」感が良いバランスで散っていて……。

小出 「コワすぎ!」シリーズの怪奇現象を追う取材班のディレクター、工藤仁ね。

レイジ 都市伝説を研究している大学教授(甲本雅裕)にも若干「工藤」感がある。その散り方のバランスも最高でしたね。

──要はメジャー映画で既存のキャラクターを使う企画にもかかわらず、作家性がいちばん濃厚に出ている。

小出 ほんとにそう。白石さんの作家性がめちゃめちゃ強い作品ですよ。だから例えば「リング」を知らない、そして「呪怨」も知らない世代が観に来ても楽しめる。

過去のシリーズに関しては、貞子と伽椰子の呪いのルール、最低限のそれだけを踏まえていて。戦う理由も完全に白石文法じゃないですか。

ハマ はい(笑)。白石式でね。

小出 白石式。だから「リング」がどう、「呪怨」がどう、そして“白石くんがどう”か(笑)。

ハマ あははは! 白石くんがどうしたいか(笑)。

小出 そうそう。それが最高だなっていう。こういう伝統あるシリーズってみんないろいろと踏まえたがるんですよ。「スター・ウォーズ」もそうだし、最近だったらモーニング娘。’16の新曲もそうです。

いちばん強いイメージとかおいしい匂いを踏まえて、そこにオマージュを捧げがちなんですけど、「貞子 vs 伽椰子」にその寄り掛かりはいっさいない。

ハマ その勇気!

小出 あるとしたら、セルフオマージュですよね。白石さん自身が築き上げてきたメソッドを、角川映画というメジャーな舞台で爆発させたんだと思う。

[後編](6月18日配信予定)へ続く

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TEXT BY 森 直人

最終更新:6月17日(金)18時6分

M-ON!Press(エムオンプレス)