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1997年からの広告クリエイティブ定点観測:博報堂 北風勝インタビュー【カンヌライオンズ連載】

SENSORS 6/17(金) 12:00配信

カンヌライオンズ2016のオフィシャルメディアサポーターであるSENSORSでは、6月18日開催本番まで今年のカンヌライオンズの見どころについて紹介していく。連載第6回目は1997年からカンヌライオンズに参加している、博報堂常務執行役員 北風勝氏を取材した。カンヌライオンズに感じる変化について伺った。

1度だけではカンヌはどうにもつかめない

--いままでに何回カンヌライオンズへ参加されていますか?

北風: 僕は1997年からほぼ毎年参加しています。最初に参加した時に翌年もまた来たいという気持ちになりました。当時はまだTVCMを中心とする「フィルム部門」、印刷グラフィック広告「プレス部門」、屋外の広告表現に関する「アウトドア部門」の計3部門だけではありましたが、1回参加しただけではカンヌのすべてを知ることができないと思ったからです。

2年目は自費でもいこうと決意して参加。その後は3年目以降もカンヌにするか、世界の他の広告祭を見て回ろうかと悩みましたが、当時からカンヌには圧倒的な集客力があり、欧米のクリエイター市場にも大きな影響を与えているのを見て、浮気はせずに、定点観測しようと決めました。
果たしてこの投資には意味があるのだろうかと迷いましたが、自費参加の場合には、特に真剣に観察していたような気がします(笑)
それと1997年の3部門から今年は実に24部門。こんなにも変化が激しいカンファレンスはないと思っています。

--1997年から参加されている中で変化を感じた年はありましたでしょうか?

北風: はい、2回ありました。ひとつはサイバー部門が新設された1998年。サイバー部門自体はバナー中心でまだまだ先が長いなという印象でしたが、もしかしたらカンヌは大きく変わるかもという気配をひしひしと感じました。案の定、その後、デジタルはじわじわと他部門を侵食し始め、フィルム部門内にオンラインビデオカテゴリーができてからは、あっという間にすべての部門がデジタル化しました。

2つ目もデジタルに関わることですが、サイバー部門の審査員を行った2013年。その時のグランプリがメルボルン鉄道安全啓発キャンペーン『Dumb Ways to Die』です。この作品はサイバー部門以外にも計5つのグランプリを受賞し、ゴールドにいたっては18カテゴリーで受賞しています。
もともと、オンライン動画ではありますが、基本ノンデジタルな作品で、70年代のグランプリと言われてもおかしくないようなテイストです。ちなみに1954年の第一回グランプリ作品『Chlorodont - ll Ciroco』と比較してみてください。こちらは純粋なテレビCMで立体アニメーションですが、ふたつを比べて、60年以上も時が経過したように感じるでしょうか?
これを見るとカンヌの基本はどこまで行ってもアイディアで、テクノロジーではないことがよくわかります。
ちなみに同年に同じサイバー部門の審査員を勤めたAKQA/Co-FounderであるJames Hilton(ジェームス・ヒルトン)氏が面白い事を言っていたのが印象に残っています。


“全ての広告賞は小宇宙のようだ。カンヌライオンズのサイバー部門にもすでに長い歴史があるが、その間にカテゴリーがどんどん増殖して大変なことになってしまった。“

“デジタルはもはやフランケンシュタインのように手がつけられない怪物みたいだ“

“今、起こっていることはリダンダント(重複する)であり、ひとつの作品がそれぞれの部門で何度でも審査されている。我々の審査はいつも他の審査と重複している“

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最終更新:6/17(金) 12:00

SENSORS