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パキスタン野党、イスラム評議会の廃止求める 女性への暴力助長と主張

The Telegraph 6月17日(金)13時48分配信

【記者:Mohammad Zubair Khan/Andrew Marszal】

 パキスタンのイスラム法学者らから成る政府機関、イスラム・イデオロギー評議会(CII)が女性への暴力を助長しているとして、同国上院の有力野党議員らが10日、CIIの即時廃止を要求した。

 強大な影響力を持つCIIへのこうした批判は異例。先週ラホール(Lahore)で起きた「名誉殺人」の被害者、ジーナト・ラフィクさんの夫が、加害者への法の裁きを求める決意を表明する中で、野党が行動を起こした形だ。

 18歳のジーナトさんは、家族の反対を押し切ってオートバイ整備士のハサン・カーンさんと結婚したために、生きたまま火をつけられ殺害された。ジーナトさんの実の母親が容疑者として逮捕されている。

 パキスタンでは毎年、恋愛や結婚に関する同国の保守的な規範に逆らったことを理由に殺される「名誉殺人」が数百件起きている。多くの場合、加害者は被害者自身の家族だ。

 夫のカーンさんはテレグラフ紙に対し、亡くなった妻のために正義を求める闘いに残りの人生のすべてを捧げると語った。2人は幼いころから愛し合っていたという。カーンさんは「妻に対し、正義を求める。これが私の人生の目標だ」と述べた。

 憲法によって設置されているCIIは、イスラム法や社会の中での女性の役割について助言を行っているが、物議を醸すことが多い法的提言で女性に対する暴力をあおっていると批判されている。

 例えばCIIは、妻がセックスを拒否した場合、夫は妻を「軽く」殴ることが許されるべきだと提唱。また「目に見える思春期の兆候」があれば、少女が結婚できる年齢を9歳まで引き下げても良いとしている。こうしたCIIの助言は法的拘束力はないものの、非常に保守的なパキスタンで依然として強い影響力を持つ。

 野党パキスタン人民党(PPP)の上院議員で、「影の内閣」首相と呼ばれるアイザズ・アーサン(Aitzaz Ahsan)氏は10日、女性への暴力を許すCIIの提言は「女性に対する犯罪を助長している」と批判した。

 また同党幹部のファルハトゥラ・ババール(Farhatullah Babar)氏は、CIIの存続には正当性が必要とした上で、議会に対して年次報告書を提出するよう要望。「CIIは女性に偏見を持っており、その妥当性も、憲法上の根拠も失っている」と非難した。

 また、野党指導者らは政府がCIIの財源として年間1億パキスタン・ルピー(約1億円)を割り当てていることも批判した。

 10日に最初にCIIの問題を取り上げ、ジーナトさん殺害への影響を指摘したのは、ラザ・ラバニ(Raza Rabbani)上院議長だった。

 10日に発表された遺体の検視結果によると、ジーナトさんは首を絞められた後に生きたまま焼かれ、息絶えたとされる。逮捕された母親のパルビーン容疑者は娘を焼き殺したことを認め、罪に対する後悔の念も示していない。

 だが、ある警察官はテレグラフ紙に対し、50歳の女が1人で犯行に及ぶのは「不可能」と指摘。警察は逃亡したとみられるジーナトさんのきょうだいの行方も追っている。

 夫のカーンさんは、殺害には他の人物も関わっていたはずだと強調し「この凶悪な犯罪に関わったのは、ジーナトの母親だけではない」とテレグラフ紙に語った。

 カーンさんによると、ジーナトさんがカーンさんと恋に落ちていることを初めて家族に告げた際、ジーナトさんは殴打され、実家から逃げ出した。しかしその後、だまされて、連れ戻されたという。

「他の家族が、ちゃんとした結婚式をすると嘘をついて彼女を連れ戻した。そして結婚式をする代わりに、残虐に彼女を殺したのだ」【翻訳編集】AFPBB News

最終更新:6月17日(金)13時48分

The Telegraph