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主役を食うSMAP稲垣吾郎、一癖も二癖もある“怪演”で唯一無二の存在感

クランクイン! 6月17日(金)16時30分配信

 SMAPの稲垣吾郎がここ最近、脇役で一癖も二癖もある“怪演”で異彩を放っている。その輝きは、研ぎ澄まされたナイフのように、時には主役を食うほどの圧倒的な存在感を残す。先日、最終回を迎えたテレビ朝日系深夜ドラマ『不機嫌な果実』では、『ずっとあなたが好きだった』の“冬彦さん”ばりの超潔癖マザコン男を怪演したばかりだが、常軌を逸したトリッキーな役をやらせたら、今や日本屈指の俳優の一人といっても過言ではない稲垣。今回は、彼の役者としての変遷を探ってみたい。

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 稲垣の俳優としてのキャリアは、SMAP結成当時の1988年までさかのぼるが、初期作品として最も印象に残る作品は、1992年のドラマ『二十歳の約束』(フジテレビ系)。SMAP初の月9主演ということでも話題となったが、ダブル主演を務めた牧瀬里穂の「ヒューヒューだよ!」「カキーン」などの印象的なセリフが当時を知らない若い世代にも浸透するほどインパクトを与えた。

 同ドラマで人気を博した稲垣は、翌年、『プライベート・レッスン』で長編映画初主演を果たし、以降、『稲垣吾郎の金田一耕助』シリーズ(フジテレビ系2004~2009年)あたりまで、トップアイドルグループ・SMAPの一員らしく、主役を務める作品が大半を占めた。ところが、スター俳優として王道を歩むものと思っていた稲垣は、王道どころか、誰も足を踏み入れない獣道をグイグイ突き進む超個性派俳優へとシフトしていた。


 ターニングポイントは、2010年、三池崇監督がメガホンを取った『十三人の刺客』の暴君・松平斉韶役だと推察される。同作の完成披露試写会やインタビューで三池監督は、「屈折した魅力がピッタリ、SMAPの見方が変わるはずだ」と大絶賛し、主演を務めた役所広司が「全員、稲垣くんを憎んでいた」というほど、史上最凶の暴君になりきっていた。稲垣本人は、当初、「なぜ自分にこの役を?」と戸惑ったそうだが、本作がヴェネツィア国際映画祭に正式出品されることを知り、「映画ファンとして興味があったので凄く楽しみ。どんな形であれ、自分の名前を覚えてほしい」と意欲を見せ、その極悪人ぶりは、毎日映画コンクール助演男優賞ほか数々の賞を獲得。この作品の評価によって、稲垣の心の中にくすぶっていた役者魂に完全に火が付いた。

 以降、「ステレオタイプの主役に興味なし」と言わんばかりに、稲垣は稲垣にしか表現できない難役に次々と挑戦。『流れ星』(フジテレビ系)、『ブルドクター』(日本テレビ系)、『ハングリー!』(関西テレビ・フジテレビ系)、『TAKE FIVE~俺たちは愛を盗めるか』(TBS系)、『福家警部補の挨拶』『HEAT』(フジテレビ系)など、いずれも個性の強い役どころだが、中でも『流れ星』の上戸彩をとことん苦しめるクズ兄貴ぶりは、視聴者から「嫌な奴」と本気で嫌悪感を持たれる声が続出したほどだ。

 映画『桜、ふたたびの加奈子』『おしん』など、ヒロイン映画を引き立てる準主役も余裕でこなし、湊かなえの小説を映画化した『少女』では高雄孝夫(たかおたかお)という苗字と名前が同じ響きで、寡黙で口数が少ない男を演じるという。現在公開中の映画『ヒメアノ~ル』で森田剛が連続殺人鬼役でファンを驚愕させているが、ジャニーズ屈指の演技派俳優・稲垣吾郎は、近い将来、さらに強烈なカウンターパンチを放つ予感がしてならない。(文・坂田正樹)

 ドラマ『不機嫌な果実』のDVD、ブルーレイBOXは10月19日発売。

最終更新:6月17日(金)16時30分

クランクイン!