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社説[是正適否判断せず]国に再協議促す内容だ

沖縄タイムス 6月18日(土)9時0分配信

 名護市辺野古の新基地建設を巡り、翁長雄志知事による埋め立て承認取り消しに対する石井啓一国土交通相の是正指示の適法性を審査する総務省の第三者機関「国地方係争処理委員会」(係争委)は17日、最終となる第9回会合を開いた。
 会合後、記者会見した小早川光郎委員長は国の是正指示について「違法か違法でないかの判断はしなかった」との結論を明らかにした。
 5委員の全員一致の結論で、審査期限の21日までに国と県に通知する。
 小早川委員長は、辺野古新基地建設について「国と沖縄県は普天間飛行場の返還という共通の目的の実現に向けて真(しん)摯(し)に協議することが問題解決の最善の道だ」と指摘。双方に再協議を促した形だ。
 辺野古新基地建設を巡り、訴訟合戦となった国と県が今年3月に合意した和解条項でも、福岡高裁那覇支部は訴訟を一本化して司法の場で争う道筋を示す一方で「国と県は円満解決に向けた協議」を求めている。安倍晋三首相は和解を受け入れながらも「辺野古が唯一」とのかたくなな姿勢を変えていない。
 福岡高裁那覇支部が示した和解勧告文にあるように、本来であれば、国は「オールジャパンで最善の解決策を合意して、米国に協力を求めるべきである」。そうすれば「米国としても、大幅な改革を含めて積極的に協力しようという契機となりうる」。
 辺野古新基地建設を強権的に進めようとする安倍政権は、裁判所と第三者機関がともに再協議を求めたことを重く受け止めるべきだ。
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 翁長知事が昨年11月、埋め立て承認を取り消したのに対し、国交相が「効力停止」としたことを不服として係争委に審査を申し出。係争委は「審査対象に当たらない」として県の申し出を門前払いにする結論を出している。
 今回も国交相の是正指示の適法性の判断をしなかったのは係争委が果たすべき役割を自ら狭めたのではないかとの疑問も残る。是正指示は違法な「国の関与」に当たるなどとの県の指摘に対し、地方自治の本旨に沿った判断を示してほしかった。
 国と地方の関係は1999年の地方自治法改正に伴い、「上下・主従」から「対等・協力」に転換した。
 これに伴い、係争委は国の不当な是正要求から地方自治が侵害されるのを防ぐために2000年に設置された。
 だが、沖縄が選挙という民主的な手法で何度も辺野古新基地建設反対の民意を示しても「辺野古が唯一」との姿勢を変えない国の姿勢からは県と「対等・協力」の関係にあることがうかがえない。
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 係争委は国交相の是正指示が適法か違法かの判断をしていないため、翁長知事の埋め立て承認取り消し処分と国交相の是正指示の効力がいずれも維持されたままになっている。和解条項が想定していない事態だ。
 県は結論を精査し裁判を見据えた対応を急ぐ必要がある。国は「辺野古が唯一」との考えを捨て、県と「対話による解決」を目指すべきだ。

最終更新:6月18日(土)9時0分

沖縄タイムス