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稲作再開に水差す 農水省減反達成要求 農家「被災地考慮を」

福島民報 6月18日(土)9時48分配信

 東京電力福島第一原発事故に伴う避難区域で営農再開が進む福島県に対し、農林水産省は17日、平成28年産米の生産調整(減反)目標の達成を求めた。今月末までに未達成の場合、交付金減額も視野に入れている。県やJA福島中央会は原発被災県の事情を考慮していないと懸念を強め、農家からは「実態が分かっていない」と反発する声が上がった。

 「福島県は27年に達成した都道府県で唯一(達成が)危ぶまれている」。福島市のJA福島ビルを訪れた農林水産省の天羽隆政策統括官付農産部長はJA福島中央会の結城政美副会長に語気を強めた。県庁で同様の説明を受けた県の小野和彦農林水産部長は「避難区域で営農再開が進んでいる点を踏まえてほしい」と再考を求めたが、天羽部長は「もうひと踏ん張りしてほしい」と態度を崩さなかった。
 県内は26、27年と減反を続け2年連続で目標を達成した。農水省は28年の主食用米の作付目標を面積換算で前年とほぼ横ばいの6万1980ヘクタールに設定して県に目標達成を求めてきたが、達成が極めて難しいと判断、本県を3段階評価のうち最も低い「×(さらなる取り組みが必要)」に位置付けた。全国で「×」は熊本県を除く46都道府県のうち本県など12府県ある。
 県やJAなどによると、目標達成が難航している背景に、避難区域が設定された12市町村で営農再開の動きが前年以上に広がり作付面積の見通しが前年比3割増となるなど復興に向けた特有の事情があるという。主食用米に比べ価格の低い飼料用米への転作にも一部の農家が抵抗を感じているとみている。
 農水省東北農政局は「28年の取り組みを踏まえ、29年の産地交付金の配分を検討する」と目標未達成の際の交付金減額を県に示唆している。交付金は県を通して農家に配分されており、今後の営農に影響する可能性がある。
 あるJA関係者は県内の避難区域は目標設定地域から除外すべきではないかと漏らす。「とはいえ、全国で減反を進めている中、本音は言えない」と複雑な心境を語った。

福島民報社

最終更新:6月18日(土)10時28分

福島民報