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TOYOTAの本気、「プリウスPHV」年間生産台数6万台。世界的な排ガス規制を睨む

エコノミックニュース 6月18日(土)19時41分配信

 トヨタは9月後半から生産をスタートさせるプラグインハイブリッド車(PHV/Plug-in Hybrid Vehicle)「新型プリウスPHV」日本仕様車を初公開した。6月15日に東京有明の東京ビッグサイトで開幕した比較的地味な展示会「2016 スマートコミュニティ・ジャパン」のトヨタブースだった。

 2012年に登場した先代「プリウスPHV」の販売は低調で、昨年までの累計でグローバル販売は約7.5万台だった。理由は明らかで、電気自動車(EV)に準ずる充電設備などが必要な「PHVは売れない」とした当時のトヨタの判断が働いた。

 しかしながら、今後は米国のZEV(Zero Emisshonn Vehicle)規制など環境規制強化や次世代インフラ実現に向け、「新型プリウスPHV」は、「スマートコミュニティ」実現に向けたZEV車両普及需要が拡大するとみて生産拡大を決めた。トヨタの発表によると新型プリウスPHVの生産は、年間5万~6万台規模になるとする強気の計画だ。すべて愛知県豊田市の堤工場で生産する。

 新型プリウスPHVは昨年末に発売したプリウスHV(ハイブリッド車)をベースにしているが、ヘッドランプやフロントデザインを差別化、PHV独自の印象を強く押し出し、需要を喚起する。

 大幅に伸びたEV走行可能距離も大幅に進化し、従来比2.3倍の60kmを達成する。帰宅後に充電すれば、翌日の通勤は、ほぼエンジンを使わずに走行が可能となりそうだ。EV走行時の最高速度も従来の100km/hから135km/hへと飛躍的に向上した。これなら高速道路でイラつくこともなさそうだ。

 充電器出力を2kWから3.3kWに拡大したことで充電の効率も高めた。また、サービスエリアやショッピングセンター、コンビニ駐車場に設置する公共の急速充電器を使えば、約20分で80%までの充電が可能。

 走行性能の進化も見逃せない。従来型ではEV走行時にはバッテリーから電力の供給を受けた走行用モーターのみで走っていたが、新型は駆動用モーターのトルクに加えてジェネレーターへも電力を供給し、そのトルクを合わせて駆動輪に伝える。その結果、電動ドライブ時の加速力が圧倒的に高まった。これは、新型PHVの動力分割機構に一方向だけにトルクを伝えるワンウェイクラッチを追加することで、ジェネレーターを駆動モーターとして稼働させることで可能となった。

 新型はルーフ全面がソーラーパネルとなっており太陽光発電で走行用電力をバッテリーに蓄える「ソーラー充電システム」を装備する。これにより、充電スタンドのない駐車場や災害で停電した場合でも、太陽光が降りそそいでいれば特別な操作なしに充電ができるというわけだ。「ソーラー充電システム」は、最大出力180Wを実現したソーラールーフ、発電電力をマネージメントするソーラーECU(エネルギー・コントロール・ユニット)、発電電力を一時的に保管するソーラーバッテリーで構成される。

 トヨタは、これまでハイブリッド車(HV)の普及に取り組んできた。1997年8月に日本でコースターハイブリッドEVを発売、同年12月に世界初の量産ハイブリッド乗用車プリウスを発売した。以来、多くのユーザーがHVを選択し、この5月にHV累計販売台数900万台を達成した。

 しかしながら、冒頭で触れたZEV規制など世界的に環境規制が強化されるなか、PHVやEVの普及が加速している。米カリフォルニア州では自動車メーカーに一定割合のZEV(Zero Emisshonn Vehicle)、つまり一切排気ガスを出さないクルマを販売する義務を負わせる規制「ZEV規制」が強化される。2018年からは、従来のHVがZEVの定義から外れる。同様に中国の環境車支援策の対象車もPHVとEVに限定される。

 こうしたことを背景にメーカー各社はPHVやEVの投入を急いでいるわけだ。また、PHVはスマートコミュニティの構成要素としても重要視されており、トヨタはPHVをHVと並ぶ次世代環境対応車として拡販する。(編集担当:吉田恒)

Economic News

最終更新:6月18日(土)19時41分

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