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【インタビュー:中編】フルカワユタカ、Base Ball Bearを語る「兄気心というか親心」

BARKS 6月20日(月)18時19分配信

フルカワユタカとBase Ball Bearによる対バンライブが6月18日、下北沢Gardenにて開催された。<play with B>と題されたフルカワユタカ主催ライヴは自身のソロに加え、Base Ball Bearのサポートギタリストとして1日2ステージで臨むものとなる。

◆フルカワユタカ/Base Ball Bear 画像

御存知のとおり、Base Ball Bearは3月2日、オフィシャルサイトにてギタリスト湯浅将平の脱退を正式発表した。同時に、3月5日スタートの全国ツアー<LIVE BY THE C2>および<日比谷ノンフィクション?~LIVE BY THE C2~>はフルカワユタカをサポートギタリストに迎えて開催することもアナウンスされた。フルカワユタカサポート参加告知やツアー中の一幕については、自身のオフィシャルブログやBARKS連載コラムで触れられていたものの、そこに至る経緯やBase Ball Bearメンバーとのやり取りについては、これまであまり語られることがなかった。が、サポートはフルカワユタカでなければならない理由があったようだ。

BARKSでは、“ART-SCHOOL対バン”インタビューに続き、その中編として“Base Ball Bearサポート”インタビューを敢行した。フルカワユタカの発言は深く、取材中も慎重に言葉を選びながら質問に答えてくれた姿が印象的。後輩バンドとそのギタリストに対する優しさ溢れるインタビューをお届けしたい。ちなみに、先ごろ公開した【BARKS連載:フルカワユタカはこう語った 第8回】のラストカットは、<VIVA LA ROCK 2016>出演時のBase Ball Bearのステージを見守るフルカワユタカだった。敢えて説明書きはしなかったが、この一枚にも彼の人間くささが溢れている。

   ◆   ◆   ◆

■正義感とか責任感というよりも
■僕が弾いたほうが湯浅もイヤじゃないのかなと

──Base Ball Bearのツアーにサポートギタリストとして参加することになった経緯から教えていただけますか? フルカワさんのオフィシャルブログでは「彼らのマネージャーから連絡を受け、一旦断りましたが再度オファーを受け、悩んだ上で引き受けました」とありましたが。

フルカワ:脱退した湯浅とはすごく仲が良くて。というか、むしろ湯浅とだけ仲が良かったんですよ。そもそもBase Ball BearとDOPING PANDAは、昔はマネージメントも部署も一緒でしたし、入った時期もほとんど同じだったんです。と言っても歳はだいぶ離れているし、DOPING PANDAはすでにインディーズでの実績があったので、後輩って言えば後輩ですよね。

──では、DOPING PANDA時代から付き合い自体はあったと?

フルカワ:いや。僕も当時は尖っていたので、なかなか他のバンドと仲良くなることはないんですよ。あの頃の僕ら世代のバンドって、“絶対負けねーぞ”みたいなムードがありましたよね。イベントとかで他のバンドと楽屋で会っても、メンバー同士ではキャッキャ言ってるのに、他のバンドの前では目頭尖らせてるみたいな。木下理樹とだけはホント例外(笑)。

──他のバンドとは火花バチバチみたいな?

フルカワ:そう。だからBase Ball Bearともそういう感じで。DOPING PANDAの全国ツアーのときは、地方のオープニングアクトで出てもらったりもしたんですけど、まぁ仲良くはならないですよ。僕らから話しかけることはないし、Base Ball Bearも若くて人見知りだったので。

──では、湯浅さんと接近することになったのは?

フルカワ:現Base Ball Bearのマネージャーは、DOPING PANDAの初期マネージャーなんですよ。彼と僕は昔から飲み仲間で。彼がきっかけで湯浅と遊ぶようになったのかな? 具体的な出会いは覚えてないですけど。

──BARKSの連載コラムでは、「アイツにも何度かギターを教えて欲しいと頼まれたが、一緒に腕立て伏せをしたり、発声練習をしたり、あとは教えない理由を教えたりした」と記されていたように、湯浅さんとの関係には深いものがあったようですね。

フルカワ:僕がソロになってからも、イベント的な感じで一回サポートギターとして出演してもらったこともあったし、Base Ball Bearのライブによく行っていたのも、そのマネージャーとか湯浅から誘われたからだったんですよね。だから、Base Ball Bearの相談事も聞くようになっていたんです。「今、アルバムを録ってるんですけど、ギターでちょっと悩んでて」とか「小出くんが作曲に煮詰まってて」とか、まぁバンドっていろいろあるじゃないですか。それに対しては、軽くアドバイスする程度で、直接的にバンドと関わることはなかったんです。それが、この2月ですよね……。

──Base Ball Bearは3月5日の仙台公演を皮切りとする全国ツアーを控えていたこともあって、脱退発表はその直前となったわけですが、同時に「元DOPING PANDAのフルカワユタカ氏をサポートに迎え、ライブを敢行いたします」というアナウンスがありました。フルカワさん本人に訊くものどうかとは思いますが、なぜフルカワさんだったんでしょう。

フルカワ:これはスタッフに後々聞いたことなんですけど、以前から小出くんと僕をつなげたいと思っていたらしいんですよ。まぁ、僕の性格も小出くんの性格もマネージャーはよく知っているので、そういう機会がなかったというか。理由がないと一緒に音を出すこともないわけで。もちろんBase Ball Bearには湯浅っていうギタリストがいましたし。で、湯浅が参加できなくなったときにそういう話があったという流れで。

──ブログには、「一旦断りましたが再度オファーを受け」とありました。断った後に紆余曲折があったわけですね。

フルカワ:「メンバーは、フルカワさんにお願いしたいと言っている」と、ベボベのマネージャーから電話が掛かってきたんです。「小出くんも?」と聞いたら、「小出が、「フルカワさんにやってもらいたい」と言ってる」と。しかも、ベボベのマネージャーには恩があって。というのも、僕はDOPING PANDAを解散して事務所を出たんですけど、戻ってくるきっかけを作ってくれたのもそのマネージャーだったので。

──マネージャーに報いる気持ちと、ギターを弾くのがフルカワさんなら湯浅さん自身も納得するかなという気持ち、ですか?

フルカワ:Base Ball Bearのメンバーと同世代の湯浅の知らないギタリストが弾いてツアーを廻るよりも、僕が弾いたほうが湯浅もイヤじゃないのかな、とは思いましたね。それは正義感とか責任感というよりも、本当にそう思えて。

──おそらくBase Ball Bearファンにとっても、そうでしょうね。

フルカワ:そうですね、それもありました。

■「フルカワユタカに申し訳ない」って
■矢沢永吉さんみたいなことを言ってました

──ギタリストの脱退劇があり、しかもそのギタリストは相談事も聞くようになっていた後輩でもあるわけで。サポートとしてフルカワさんが参加するに際して、Base Ball Bearメンバーとの顔合わせなり、初リハーサルはどういう空気だったんでしょう。

フルカワ:結論から言えば、僕が想像していたような、そういう空気はなかったんです。もちろんバンドの15周年に……言ってしまえば、投げ出してしまった湯浅に対する悔しさとか怒りとか、そういうものは3人とも持っているんです、Base Ball Bearを続けると決めた以上は。そういう話は出るんだけど、湯浅を馬鹿にするような話は一切ない。それ以前に、3人が音楽に対して真摯なんですよね。こっちが恥ずかしくなるくらい、音楽に真面目なんですよ。東京の人たちだから、3人とも人柄はクールなんだけど。

──なるほど。では、フルカワさんが当初抱いていた疑心の気持ちは、そこで変わったわけですね。

フルカワ:僕は全然心を許すタイプじゃないので(笑)、簡単には許してなかったにせよ、一番最初にリハに入った段階で、何かひとつ?がれ落ちたのは間違いないです。初ライブまで4回リハーサルに入って仙台初日を迎えたんですけど、その段階でうっすらメンバーとバカ話もしていたと思うし。

──ライブ本番まで、全体リハが4回しかなかったということも驚きなんですが(笑)。

フルカワ:最初のリハーサルまで10日もないような状態で、リハまでに15曲を覚えなければならない。しかも4回のリハのなかでは「セットリストを変えたい」っていう話にもなってくるから、覚えた曲を2曲カットして、さらに2曲追加とか(笑)。で、最初のリハから1週間後にはもう仙台初日でした。

──それは百戦錬磨のスタジオミュージシャン並みのスケジュールですね、すごい。

フルカワ:仙台が終わった後に、みんなから“さすがですね!”とは言われましたけどね(笑)。俺としては、もうフルカワユタカの名に恥じぬようにというか。でも、仙台終演後に、「フルカワユタカに申し訳ない」って矢沢永吉さんみたいなことを言ってましたけど。(笑)。

──ギタリストとしての話は、また後ほどうかがいたいのですが、野音を含めて約2ヶ月間、全8本のステージに参加するにあたって、BARKSの連載コラムでは、「3人の発想やら想いやらのみでステージが作られるべきだと僕は信じている。それは演出のみならず、音楽的なことも同様、アイツのギターではないというだけで相当な違和感や変化があるわけで、それ以上の影響は与えないよう細心の注意を払ってきた。大袈裟に言うと3人と“あまり仲良くならない”ようにさえしてきた」と、自身の立ち位置を明確化していましたね。

フルカワ:その気持ちは最後まで持っていましたね。今回のツアーに関してはセットリストに口出ししないどころか、「この曲をやりたい」という話になれば、僕はそれをすぐにコピーしたし、まったく3人の意志に任せましたから。ただ、一点だけ。小出くんの頭の中がすべてクリアになっていたというか、Base Ball Bearを前に進めることだけに一所懸命だったんですよ。

──湯浅さんが居ない、ある種特別なツアーだったわけで。フルカワさんがファンに配慮しつつ、その部分に目を光らせていたという。ギタリストとしての技量はもちろん、ベボベのマネージャーは、そういう人間的な部分も経験豊かなフルカワさんに期待していたのかもしれないですね。

フルカワ:ベボベのマネージャーに頼まれて、湯浅と友だちの僕が、ステージに立っている意味は……考えすぎかもしれないですけど、それも込みで立っていたつもりです。まぁ、それくらいですかね、ショウに影響を及ぼすようなことをしたと言えば。

──とはいえ、ギターバンドのギタリストが代わるわけですから、そのサウンドやプレイスタイルが楽曲やライブに影響する部分も少なくないと思うんですね。以前、連載コラムでは小出さんに「1回のダウンストロークで2回音を出す方法」を伝授するような場面も記されてましたが、ツアー中にはメンバーと音楽的なコミュニケーションも?

フルカワ:それはごくごく自然にという感じでしたね。詰まるところ、そういう関わり方がミュージシャン同士だなっていう話ですけど。彼はとてもギターが上手かったんですよ、僕はそれにビックリしちゃって。どうやら彼も言ってるみたいなんですけどね、「俺はギターが上手い」って(笑)。

──くくく。フルカワさんとは似たもの同士的な(笑)。

フルカワ:でも、ギターが上手いとか、そういうイメージが彼にあまりないじゃないですか。ところが一緒にやってみると、音もいいし、右手がしっかりしてる。それはリハーサルに入ったときの一発目の音で分かったので。影響を与えないようにとは思ってたんですけど、結局、我慢しきれなくなってしゃべっちゃったというのが、あのコラム。多少のデフォルメはありつつも、大ざっぱにあのノリでした(笑)。

──先日、別現場でフルカワユタカのサポートギターを務める新井弘毅さんにお会いましたが、「フルカワさんのギターは勉強になる」とおっしゃってました。年下ギタリストキラーですね。

フルカワ:嬉しいですね、それは。あのコラムの次の次くらいのライブのときに、小出くんが「あれから、親指と中指でピックを持ってるんですけど、この持ち方のほうが全然いいです」って話かけてきたんですよ。そうしたら、その日の打ち上げでドラムの堀之内くんが、「今日、小出からフルカワさんにピックの話をしたじゃないですか。あんなシーン見るとキャッ!ってなるんですよ。他のアーティストとそういう話をしているところなんて見たことないですから。あれはホント、フルカワさんのこと好きですよ」って言ってくれたりね(笑)。

──教えずとも、門下生増えるみたいな(笑)。

フルカワ:こんな話を載せたら、「いや、好きじゃない」ってなるかもしれないですけどね、僕もそういうタイプだから(笑)。まぁ、それはツアー中盤から後半に掛けての出来事で、音楽を介してメンバーとは自然と、本当に仲良くなりましたね。

■湯浅とマネージャーのために始めたことに
■3人のためという気持ちが加わっていった

──では、フルカワさん自身のこともお訊きしたいのですが、フルカワさんのパブリックイメージは、“ギターを弾きながら歌う人”というか“歌いながらギターを弾く人”というか。いずれにせよ歌とギターがセットだったわけで。ところが今回は“いちギタリスト”としてBase Ball Bearに参加することになりましたが、そういう立ち位置に対してはどうでした?

フルカワ:これまでギタリストとしてステージに立ったこともゼロではないんですよ。イベント的なものに出た時に「ちょっとギターを弾いて」というのはあったし、インディーズの頃はCUBISMO GRAFICO FIVEのギタリストだったわけだし。ただ、DOPING PANDAを築いた後にやるわけだから、その時とは状況が違いますよね。でも、抵抗はなかったです。元を正せば僕はギタリストなので。

──個人的には、ギタリスト=フルカワユタカが観られるということが新鮮だったし、期待していたところでもあったんです。

フルカワ:参加の経緯がこういう感じだったので、不謹慎かもしれないですけど……僕自身内心ワクワクしていたかもしれないですね。歌わずにリードギターだけを弾くっていうことに。

──夏フェス<JOIN ALIVE>にはLOW IQ 01 & THE RHYTHM MAKERSの一員として参加することが発表になって、ギタリストとして世間の注目度もますます高まる一方だし。

フルカワ:うーん、どうですかね。謙遜する必要はないのかもしれないですけど、僕は音楽全般の中でギターに関しては自信はあるにはあるんですが、きちんと評価されていると思ったことはあんまりないんですよ。

──それはミュージシャンとして、ヴォーカルはもちろん作詞作曲もするし、レコーディングではエンジニアも兼ねるというマルチな面がフィーチャーされているからじゃないですか。

フルカワ:なんかね、ロックスターという特異なキャラクターとか、フロントマンとしての面にスポットが当たってきた気がしていてね。あんまりみんなが言ってくれないから、最近は自分で「ギターが一番自信ある」って言ってるんですけど(笑)。

──Base Ball Bearの野音ライブ<日比谷ノンフィクションV~LIVE BY THE C2~>を観た限りでは、Base Ball Bearファンからもギタリストとして歓迎されている雰囲気があったと思います。

フルカワ:今回のライブで、僕の言っていることの裏が取れているような感じがみなさんにあって。「あ、こういうことね」っていう言葉が僕の耳にも届いてます(笑)。

──その野音ライブですが、フルカワさん自身もMCで「今日は、解散とか脱退とか活動休止とか、いろんなことを経験したメンツがサポートしているので、毒をいっぱい入れて、大人のBase Ball Bearにして帰りたいと思います」とおっしゃってましたよね。フルカワさんをはじめ、石毛輝(lovefilm、the telephones)、田渕ひさ子(bloodthirsty butchers、toddle、LAMA)、ハヤシ(POLYSICS)の4名は経験豊富なミュージシャンであることに加え、ボーカル&ギターだったり、作詞作曲を担当していたりと、いわゆるフロントマン的な人選だったのも特徴的で。結果、それぞれのスタイルでBase Ball Bearを盛り立てるエンターテイメント性に溢れるステージとなりましたが、他のゲストのステージは観られました?

フルカワ:僕は最初に出て、3人のゲストが代わる代わる登場した後に再び登場するっていう流れだったので。それをオーディエンスに悟られないように、楽屋裏で聴いてましたよ(笑)。

──自身のステージを振り返って、いかがでしたか?

フルカワ:まぁ、いろんな気持ちが混ざって……今日でBase Ball Bearとのツアーも最後なんだなと思うと、“案外、楽しかったな”っていうかね(笑)。湯浅脱退という事実は、ファンにとってはそれどころじゃないんですけど。でも、これは偽らざる本音。純粋にギターだけ弾いてツアーを廻るっていうことも凄く楽しかったし。それが今日で終わりだと思うと、普通に“さみしくなるな”って。ステージに居る3人を見てそう思いました。

──当日のMCでもフルカワさんは「好きになっちゃったよ……微妙に好きになっちゃった」とおっしゃっていたんですよ。

フルカワ:そうですね。彼らは野音に……東京っていうこともあって、そりゃすごい決意で臨んでいる。僕はやっぱりサポートしていくうちに段々、兄気心というか親心に気持ちが移っていましたから。最初は、湯浅とベボベのマネージャーのために始めたことが、Base Ball Bearの3人のためにという気持ちが加わっていった。やっぱりね、野音独特の野外で、段々辺りが暗くなって、ステージに戻ったら照明が輝いていて……そういう景色にはちょっとクルものがありますよね。涙腺とかはこないですよ、さすがに僕も長いこと音楽をやっているから。でも、胸にジーンとくるものはあった。

──アンコールは3人だけで演奏したということにもBase Ball Bearの未来への意志が感じられましたしね。加えて、4人のギタリストとの化学反応も可能性の広がりがみられる結果となりましたし。フルカワさん自身にも得るものが?

フルカワ:僕としてはあそこで弾かせてもらったことはありがたかったなと思います。僕自身が人前になかなか出ない、こういう緩慢な活動なので(笑)。かっこつけた言い方になっちゃうけど、すごくいいエネルギーを逆にBase Ball Bearのファンからもらっちゃったという。それが本音です。

【「play with B」~with SEE YOU~】
7月22日(金)代官山 UNIT
w/ the band apart
OPEN 19:00 / START 19:30
(問)代官山UNIT tel :03-5459-8630 (11:00~20:00)
▼チケット
前売り¥3,990(税込、D別)オールスタンディング

■<Base Ball Bear「日比谷ノンフィクションV~LIVE BY THE C2~」>2016年4月30日@日比谷野外大音楽堂セットリスト
01.「それって、for 誰?」part.1
02.不思議な夜
03.曖してる
04.こぼさないでShadow
05.short hair
06.PERFECT BLUE
07.ぼくらのfrai awei
08.UNDER THE STAR LIGHT
09.どうしよう
10.17才
11.changes
12.十字架You and I
13.ホーリーロンリーマウンテン
14.カシカ
15.真夏の条件
16.LOVE MATHEMATICS
17.HUMAN
encore
18.「それって、for 誰?」part.2
19.The End

最終更新:6月20日(月)18時19分

BARKS