ここから本文です

史上最大の飛行機、再生産か ウクライナが検討開始 そこにある思惑

乗りものニュース 6/18(土) 10:48配信

元々は「ソ連版スペースシャトル」のために

 2016年5月31日(火)、東欧ウクライナのペトロ・ポロシェンコ大統領は、国営の航空機メーカー、アントノフ社の創業70周年式典に参加。An-225「ムリヤ」輸送機の再生産を検討するよう指示しました。

 An-225は、かつてのソビエト連邦時代にアントノフ設計局によって開発された、世界にたった1機しか存在しない“史上最大の飛行機”です。今回ポロシェンコ大統領が指示した再生産のプランとは、ソビエト連邦の崩壊によって6~7割の進捗率のまま放棄されていた1機の未完成機を組み立て、就役させるというものです。

 このAn-225はもともと、ソビエト連邦版スペースシャトル「ブラン」の輸送用に、大型輸送機アントノフAn-124「ルスラン」を原型とし、これをひと回り大型化した派生型として製造されました。同機は1988(昭和63)年、初飛行に成功しましたが、1991(平成3)年のソビエト連邦崩壊により「ブラン」の開発計画自体が中止になってしまいます。ソビエト連邦から独立したウクライナは、アントノフ設計局とその資産を継承。以降、An-225は貨物機として運用されることになりました。

新幹線でも無理がない「ムリヤ」

 An-225の最大搭載量は、なんと250トン。貨物室は長さ43.35m、幅6.4m、高さ4.4mもあり、東海道新幹線などで使われているN700系電車の先頭車両(全長27.35m、幅3.36m、高さ3.6m)ならば、丸ごと搭載してもなお余裕があります。最大離陸重量は640トンにも達し、その膨大な重量を支える32本ものタイヤは「まさに圧巻」です。

 このAn-225は莫大な搭載能力を活かし、航空貨物の標準パレットに積載できない大型かつ重重量物の空輸を行うチャーター便として活躍しています。

 2010(平成22)年には、自衛隊の海外派遣に際し日本政府が同機を借り上げ、航空自衛隊のC-1、C-130H輸送機では手に余る重機や車両など108トンを、カリブ海の島国ハイチへと輸送しています。

 また2011(平成23)年3月25日には、東日本大震災の支援を目的にフランス政府が同機をチャーターし、140トンの人道支援物資や発電機、原子力災害用物資をフランスから日本へ運んでいます。

 なお、貨物機は搭載重量が大きいほど航続距離が短くなるので、長距離のフライトでは最大搭載量限界まで積載することはありません。加えて、通常は重量よりも容積が先に限界へ達します。

1/2ページ

最終更新:6/18(土) 18:57

乗りものニュース