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人間の骨格と筋肉を再現したヒューマノイド。見た目のインパクトはあるが・・

ニュースイッチ 6月18日(土)9時34分配信

東大が開発。まだできることはあまりない

 東京大学大学院情報理工学系研究科の浅野悠紀助教と稲葉雅幸教授らは、筋骨格ヒューマノイド「腱悟郎」を開発した。106本の筋肉ユニットで114の関節自由度を実現した。身長は165センチメートルで体重56キログラム。人間の主要な骨格筋はすべて再現した。自ら動くダミー人形や運動機能障害の評価などにつながる。

 人間の骨格や筋肉配置を再現し、柔軟に動くヒューマノイドを開発した。一つの関節を複数の筋肉で動かすなど、一般的なモーターギア駆動ロボットの制御法が使えない。だが減速機を省けるため、軽量化や人体に近い構造を再現できる。体重は自由度あたり約3分の1に抑えられた。

 筋肉の張力を調整して関節を軟らかくしたり硬くしたりできるため、寝返りのような柔軟性が求められる動きを再現できる。省スペース化のために骨の内部に電池を埋め込んだ。稼働時間は約20分間。浅野助教は「技術開発としてはまだ5合目。人間の膝蓋腱(しつがいけん)反射と歩行など、なぜ人間は難しい動作を体得できるのか解明につなげたい」という。

<解説>
 見た目のインパクトとは裏腹に、まだできることはあまりない。これは腱駆動型に限らずヒューマノイド全般に当てはまる。それでも立てるようになり、伝い歩きや腕立て伏せは可能。2年前に取材したときは姿勢制御が難しすぎて、どうしたら立てそうかと聞いていたので、着実に進歩している。そして、たくさんの先端技術が詰まっている。これもヒューマノイド全般に当てはまる。

 ではなぜヒューマノイドなのか。これはなぜエベレストに登るのか、なぜ宇宙を目指すのかという問いに近い。すぐ社会に貢献できそうな研究と、10年かかりそうな研究は、両方とも大切。最近は前者が多く、簡単なテーマはほぼ食い尽くしてしまったと言われる。難しくても挑戦しないと生まれない技術は存在する。グーグルに移籍したヒューマノイドチームが帰ってくるという。古巣とのコラボが楽しみ。
(日刊工業新聞科学技術部 小寺貴之)

最終更新:6月18日(土)9時34分

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