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唯一のトビウオ漁師は北海道出身 こだわりの技と情熱

沖縄タイムス 6/19(日) 12:03配信

 八重瀬町唯一の漁師町の港川で、集落の漁の始まりというトビウオ漁を続けている人は1人しかいない。港川漁協組合長の樋岡邦彦さん(64)=北海道出身。新たな商品化を探ったり、小学生向けにさばき方教室を開いたり、町魚の知名度アップに汗を流す原動力は、自らを漁師として育ててくれた町への恩返しの念だ。(南部報道部・堀川幸太郎)
 新鮮なトビウオは刺し身で食べるのが一番。ぷりぷりした歯ごたえで、あっさりしていながらうまみは濃い。山陰地方や長崎などで食感が際立つたたきや唐揚げ、「アゴだし」で味わい深いおでんといった料理が有名だ。
 食べ方が多彩な魚で昔、大漁だった船が沈んだ、とさえ伝わる港川。なのに特産にならないのは中骨が多く、さばく手間が掛かり傷みが早いから。高単価なマグロなどに押され、1970年代には既にトビウオ漁師は数人が残るだけだったという。
 樋岡さんはダイビング講師などとして関東で働き、糸満出身の妻との結婚を機に78年、沖縄へ移り住んだ。漁師を志したが、内地出身という点で漁協に入るハードルが高かった当時、受け入れてくれたのが港川漁協だった。
 2008年、同漁協初の県外出身の組合長になり、愛着深い港川の象徴であるトビウオを町魚に推して認められた。しかし漁獲高が少ない点から町魚を改める提案が出たことに発奮。10年、自ら手作業の流し網漁で捕り始めた。
 昔は5~6時間掛けた漁を約1時間半に縮め、生きたまま捕ってすぐ船上で締める。時間が短い分、漁獲高は減るが長年知るおいしさを伝えようと鮮度を重視した漁法だ。また、産業として育てるため販路を広げようと、1匹を丸ごとひいた粉末だしを使う料理やヒレ酒を地元の飲食業者らと研究中。粉にする機械は自腹で買った。
 生み出した商品や料理は24~26日、那覇市のタイムスビルで開く「まるごと八重瀬 観光・物産と芸能フェア」に出す。樋岡さんは「客の反応を試金石に、将来は港川で味わえる名産にしたい」と意気込んでいる。

最終更新:6/19(日) 12:03

沖縄タイムス