ここから本文です

若い人の乳がん、気づきにくい 自己触診を習慣に

沖縄タイムス 6/19(日) 18:10配信

 歌舞伎俳優の市川海老蔵さんの妻でフリーアナウンサーの小林麻央さん(33)が進行性の乳がんであることが公表され、県内でも改めて病気への関心が高まっている。35歳未満の若年者の場合、一般的に検診を推奨される年代に当たらない上、産前産後、授乳期の乳房の変化で病変に気付かず、その間にがんが進行してしまうケースもある。専門家は、自分の乳房を触診する定期的なセルフチェックを基本に、少しでも気になるところがあれば検査をと呼び掛けている。(学芸部・座安あきの)
 成人女性の約12人に1人がかかる国民病ともいわれる乳がん。リスク要因といわれる肥満の割合が全国一の沖縄では、乳がんの死亡率、罹患(りかん)率ともに上昇傾向にある。
 乳がんは早期に発見すれば完治する確率が高い。だが、初期の自覚症状はほとんどなく、発見が遅れれば周囲の組織に広がったり、肺や肝臓、骨などへ転移する可能性が高くなる。
 那覇西クリニック乳腺外科の玉城研太朗医師は、小林さんの状況から、出産や授乳期を挟んで発見が遅れ、がんが進行してしまうリスクを指摘。「出産前後は乳腺が発達し、乳腺炎など単なる乳房の不具合がある場合も多く、がんの可能性を見逃してしまう恐れがある」と話す。
◇   ◇
 検診はマンモグラフィーが中心で、一般的に40歳以上の女性には2年に1回の検診が推奨されている。一方、20~30代の若年者の場合、乳腺が発達していてがんを判別しにくい上、実際には乳がんではないのに良性腫瘍などで「疑いあり」と診断され、診断確定のために直接針やメスで細胞を採取する生検となり、負担がかかる場合がある。
 マンモではX線による被ばくリスクが高まることもあり、若年者の検診は強く推奨されていない。ただ、家族に乳がん患者がいる場合は「遺伝性乳がん卵巣がん症候群(HBOC)」などの可能性があり、若年者でも検査が勧められている。HBOCは米女優アンジェリーナ・ジョリーさんが全く発症していない段階で両側の乳房と卵巣を切除したことで、日本でも知られるようになった。
 国立がん研究センターの調べによると、県内女性(40~69歳・2013年)の乳がん検診率は41・1%で全国平均の34・2%を上回り、決して低くはない。だが、「再検査が必要とされた後に精密検査を受診した人の割合は全国平均を下回り、進行した状態で見つかることが多いことも沖縄の特徴の一つ」と玉城医師。
 一方県内では、がんを早期に発見できているにもかかわらず、完治させることができず死に至っている人の割合が高い特徴もある。専門施設が本島中南部に集中し、交通費の負担の面から離島や北部方面の患者が治療を続けることが困難なことがその背景にある。また、健康食品や民間療法の「補完代替医療」だけに頼って標準的な治療を拒否する人も一定数いて、深刻だという。
 玉城医師は「乳がんといってもその病態は多種多様で有効な治療法も次々出てきている。がんが見つかっても悲観的になる必要はない。月1回、生理後の触診を習慣づけ、変化がないか関心を持つことから始めてほしい」と強調した。

最終更新:6/19(日) 18:29

沖縄タイムス