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「2020年度版・サンパウロ路線図」が不動産市場に影響!?

MEGABRASIL 6月19日(日)21時42分配信

計画の一部は実現が危ぶまれる!?

ここ数か月、「2020年版・サンパウロ路線図」がブラジル、サンパウロ市民の間で話題になっているという。

路線図はフェイスブックなどのSNSや個人ブログなど、インターネット経由で拡散し続け、多くの人が「これは私の夢」とコメントしている。

この路線図は、当初の計画では2020年にはこうなっている、というものだという。不動産業界などでは、この夢の路線図を前提に物件のマーケティングを行うなどの現象が出始めているとのことだ。

以下は現地ジャーナリスト、アラン・シモン氏がブラジルのニュースサイト「ONDDA」に寄稿し、4月14日づけで発表された、「2020年版・サンパウロ路線図」の解説である。

同氏は「この路線図がそのまま、たった4年で実現することはあり得ない」と述べている。

(以下、アラン・シモン氏による「2020年版・サンパウロ路線図」の解説)

主要空港とこの大都市内をくまなく網羅する交通網がある状況を想像してほしい。選挙で公約された通りの素晴らしい世界に生きる市民は、非効率な交通機関のせいで通勤のダメだけに一日4時間も費やすことなどありえない、質の高い生活を送ることができるのだ。

ここしばらくの間、2020年までに鉄道敷設計画がすべて当初の計画通りに進んだ場合の公共交通機関路線図がインターネット経由で出回っている。

中にはすでに計画が中止になったり、工事が中断したり、建設が大幅に遅れているものも含まれていて、この路線図がそのまま、たった4年で実現することはあり得ない。

以前の記事「いつまで大サンパウロ圏は地下鉄網から締め出されたままなのか?」において、なぜ工事が遅れたり、計画通りに進んでいないのかについて触れた。今回はサンパウロ市民である読者の皆さんに、もし計画が公約どおりに進められていたら生活がどれだけ変わっていたかお見せしたい。

計画に変更があったのは下記の点である。

1. 3号線(赤)-混雑が緩和

市内の東地区の住人は通勤ラッシュのこの路線が地獄だということを知っている。始発がコリンチャンス・イタケラ駅、終点がバーハ・フンダ駅の3号線の混雑は異常で乗り換えもままならない。

同路線の終点、バーハ・フンダ駅より手前にある駅に住む住民の多くが、座るため、または単に電車に乗り込むためだけに、いったん終点のバーハ・フンダまで行ってイタケラ方面に折り返す電車に乗り換えている。バーハ・フンダの次の駅、アルトゥール・アウヴィン駅ではすでに乗り込むことすら難しい状態だ。

なぜこのようなことが起こるのか?

東地区の住民は市の中心部に出るために、3号線か11号線に頼るしかない状態がずっと続いている。バスなども中心部には乗り入れていないのだ。鉄道のストが起こると、この地区の路線バスは需要の大きさに耐えられない。

少なくともあと4路線がこの東地区を通れば、3号線への集中が緩和されただろう。将来の駅「アリカンドゥーヴァ」は夢の路線図上では現在の2号線(緑)の延長上にあるが、その付近の住民は、例えば、3号線のペーニャ駅を使う代わりに6号線(オレンジ)と4号線(黄)を使ってセントロ地区に行ける。そして単純にペーニャ駅に行くバスに乗る必要もなくなる。

2.サン・ベルナルド・ド・カンポが鉄道網に組み込まれる

サンパウロ州で最も重要な街の一つ、サン・ベルナルド・ド・カンポ市(以下「サン・ベルナルド」)が鉄道・地下鉄網に組み込まれる予定だった。

当初、モノレール形式の18号線(茶)が2号線(緑)のタマンドゥアテイ駅とサン・ベルナルド市役所をつなぐ予定だった。つながればパウリスタ大通りやクリニカス地区の病院、ヴィラ・マダレーナ地区から同市に向かう人々や10号線(ターコイズ)沿いの住民は同市への移動が格段に楽になるはずだ。

現在、サン・ベルナルド市民はサンパウロ市内に出る際、通勤ラッシュ時には満員のトロリーバスに乗らなければならない。

トロリーバスの運行と並行して、都市交通網整備計画の第2フェーズにおいて、モノレールはフェハゾーポリス地域で運行を開始し、アウヴァレンガス地区まで伸びる。この地区はサン・ベルナルド高速道路を使う人たちにはなじみがあるが、主要道路のアウヴァレンガス道路の整備が行き届いていないため、市内からはアクセスしにくい。

3.モルンビー球場へのアクセス向上

サッカークラブ、サンパウロのホームグラウンドであり、直近ではローリングストーンズなど海外アーティストの公演が多く行われたシセロ・ポンペウ・ヂ・トレード球場は、そのアクセスの悪さでサッカーファン、音楽ファンに評判が悪い。4号線(黄)は5年前に開業し、サンパウロ・モルンビーまで伸びる予定だが、州政府が計画していたスケジュールで実現することは考えにくい状況だ。

17号線(ゴールド)にモルンビー球場という名の駅を作ることになっていたが、この話はすでに「伝説」となった。この駅が完成すれば球場はさらに近くなっていたはずだ。2014年のワールドカップの時、サンパウロのホーム、モルンビー球場がイタケラのコリンチャンス・アリーナに負けたのは当然の流れで、今後数年間、サンパウロファンと音楽ファンでいるためには多少の気概を要することになるだろう。

4.サン・マテウス地域でトロリーバス依存度が低下

サン・マテウス地域の住民はサント・アンドレー市が実質的にサンパウロ市東地区の延長だと考えている。都市間交通公社のトロリーバス網のおかげでサンパウロ市近郊の3都市(サント・アンドレー、サン・ベルナルド、サン・カエターノ・ド・スウ。以下「ABC地域」)へのアクセスはずいぶん楽になったため、ABC地域で働いたり学ぶ人口は増加した。サント・アンドレー市の中心部にある学校、ジュリオ・ヂ・メスキータはこの地域の学生を数多く受け入れている。

この状況に至るまでは苦難が多かった。都市間交通公社の交通網はかつては飽和状態で通勤通学ラッシュの時間帯の混雑はひどかった。駅、バス停の途中で車両が止まってしまうことは日常茶飯事だった。

14号線(オニキス)はサント・アンドレーとグアルーリョスを結ぶ予定だが、サン・マテウス駅のイピランガ方面行きの、2つ先のサポペンバ駅で15号線(シルバー)に乗り継ぎができることになる。

サン・マテウスから外に向かう人にとって4つ駅を超えて14号線に乗り換え、サント・アンドレー市内のアトリウムショッピングセンター脇のピレリ停留所で降り、10号線に乗り換えればよい。セントロ地区に出るにはあと1駅だ。トロリ-バスはこれで混雑も、乗り換えもずっと少なくなる。

5.東地区、高級住宅街、ブラジランヂア地区、バンデイランチス道路をつなぐ1本の路線

計画実現のための第1フェーズすら想像が難しい6号線(オレンジ)だが、計画自体は存在している。この路線は2011年、イジエノーポリス地区の住民が敷設反対運動を起こしたことで知られているが、その主張は地下鉄によって高級住宅街にそぐわない人々がメトロに乗ってやってくるから、というものだった。

計画が大幅に遅れながらも実現した際には、33の駅を擁するサンパウロで最長の路線、バンデイランチス道路と同様の幅広い地域をカバーすることになる。ブラジランヂア、フレゲシーア・ド・オー、アグア・ブランカ、ポンペイア、ペルヂーゼス、イジエノーポリス、パカエンブー、ベラ・ヴィスタ、カンブシ、モオカ、アナリア・フランコ、シダーヂ・リーデルの各地区を網羅する路線になる。

実現すればサンパウロ市を統合するような路線になるはずで、他の8路線の利便性も格段に上がる。パウロ・マシャード・ヂ・カルヴァーリョ球場、パカエンブーへのアクセス方法がもう一つ増えることにもなる。

6.サンパウロ市内の主要なサッカー球場へのアクセス向上

モルンビーとパカエンブーについてはすでにすでに触れたが、パウメイラスのホーム、アリアンツ・パルキ・スタジアムは6号線(オレンジ)の敷設によりアクセスが向上する。

セスキ・ポンペイア駅はポンペイア通りとヴェナンシオ・アイレス通りの交差点にできる予定だが、ブルボンショッピングセンターとトゥリアス通りから数メートルで、アリアンツ・パルキからも近い。球場から駅まで徒歩で行けるため、パウメイラス・バーハ・フンダ駅への乗降客の集中も緩和される。

コリンチャンスのホーム、コリンチャンス・アリーナはコリンチャンス・イタケラ駅のそばにあるが、14号線が開通すればグアルーリョス市からのファンが球場に行きやすくなる。サンパウロ市東地区に住むコリンチャンスファンには現在、球場までの鉄道による移動手段がなく、2号線(緑)が3号線(赤)のペーニャ駅につながるのを待っている状態だ。

7.5号線(ライラック)がついに地下鉄網と接続

鉄道の5号線があと数年で地下鉄の9号線(エメラルド)と接続する。ただし他の地下鉄の路線とは接続の予定はない。

接続の予定は当初の2015年から順々に繰り延べられ、今のところは2018年となっている。1号線(青)、2号線(緑)との接続は『伝説』に変わった。当初の計画では1号線のサンタ・クルース駅、2号線のシャカラ・クラビン駅に接続することになっていた。

ずいぶん先にはなりそうだが、17号線(ゴールド)のアグア・エスプライアーダ駅と20号線(ピンク)のモエマ駅での接続は実現する見込みだ。

8. 10号線(ターコイズ)を使ったABC地区へのアクセス向上

州政府から一見放置されたように見えなくもないが、ルース駅からマウアー駅までの限られた駅でしか停車しない「エスプレッソABC(ABC特急)」が10号線(ターコイズ)と並行して走る計画だったが、いまやこのことについて触れる人はいない。ABC地域の住民にとってサンパウロ市内に入るまでの時短は切実な問題だ。

エスプレッソABCの計画ではルース駅で乗車した客は終点のマウアー駅に着くまで、途中ブラス、タマンドゥアテイ、サン・カエターノ、サント・アンドレーの4駅にしか止まらないことになる。10号線から上記の各駅でエスプレッソ線に乗り換えることもできる。が、この計画がまだ検討されているのかどうかは不明だ。

4号線(黄)のルース駅開業はアウキミン知事のもとで行われたが、知事は10号線のルース駅への乗り入れを中止した。それによってABC地域の住民がサンパウロ市内にアクセスすることが難しくなった。

9.パウリスタ大通りからイタインへの移動が楽に

高級住宅街も地下鉄路線拡張工事によって恩恵を得られる。19号線(空色)はアグア・エスプライアーダ駅とグアルーリョス市のCECAPをつなぐ予定で、同路線上にはイタイン・ビビ駅ができ、ブリガデイロ駅で2号線(緑)に接続する。

パウリスタ大通りからアグア・エスプライアーダ方面行きの電車で2駅進めば、7月9日通りの渋滞に巻き込まれることなく目的地(イタイン・ビビ駅)にたどり着ける。

10.空港へのアクセス向上

サンパウロ都市圏鉄道会社(CPTM)の13号線(ヒスイ)はグアルーリョス国際空港に乗り入れる予定。最初は短く始まり、現在ブラス駅を始発とする12号線(サファイア)上にあるエンジェニェイロ・グラウチ駅を経由することになっている。もう一つの空港、コンゴーニャス空港は17号線(ゴールド)上に駅ができるはずだ。17号線はモルンビーとジャバクアラーを結ぶ。

(文/余田庸子)

最終更新:6月19日(日)21時42分

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