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間もなく決まる民泊の新制度、元観光庁の担当官(弁護士)が現行制度を整理した  【コラム】

トラベルボイス 6/19(日) 11:00配信

今回から、観光関係の法律についてトラベルボイスのコラムを担当することになりました弁護士の谷口です。

【現行の3つの民泊制度、概要一覧】

本年4月まで2年間、観光庁観光産業課に勤務し、民泊のルールづくりや旅行関連の各種ガイドラインの作成など最前線の業務を行ってきました。その経験も活かして、観光産業の法的な論点やわかりにくいポイントを解説していきます。

さて、第1回目のコラムでは、民泊に関する新制度の設計に向けた検討が佳境を迎える中、改めて、旅館業法をはじめとする民泊(宿泊)に関する現行制度を整理したいと思います。観光庁と厚生労働省の「『民泊サービス』のあり方に関する検討会」が、今月20日にいよいよ最終報告書案を提示する事になっている今、これまでの歩みを振り返ってみます。

制度としては、現状、1、旅館業法、2、国家戦略特別区域法、3、イベント民泊の3つの制度があり、順にご説明します。

1. はじめに

旅館業法では、「施設を設け、宿泊料を受けて、人を宿泊させる営業」を旅館業としており、旅館業を行うためには、保健所で営業許可を受けることが必要とされています。

ここでいう営業とは、「社会性をもって継続反復されているもの」を指し、限られた親族にしか宿泊さないもの(社会性なし)や、一回限りで他人に宿泊させるもの(反復継続性なし)は営業に当たらず、営業許可は不要となります。また、宿泊料を受けていない場合も営業許可は不要です。

厚生労働省は、民泊と旅館業法との関係について「民泊サービスと旅館業法に関するQ&A」を作成していますが、そこでは、個人が自宅や空き家の一部を利用して行う場合(民泊サービス)であっても、「宿泊料を受けて人を宿泊させる営業」に当たる場合には、旅館業法上の許可が必要としています。

したがって、仲介サイト等を通じて不特定多数の方を募集し、2回、3回と反復継続して有償で他人を宿泊させるような事業は、自宅を活用している場合であっても旅館業に該当し、営業許可が必要です。そして、無許可で旅館業を実施した場合は刑事罰の対象となります。

しかし、現状、必ずしも旅館業法が遵守されず、かつ、実効的な取締りができないまま民泊が普及しています。そこで政府では、このような違法状態の是正や民泊の健全な普及等の観点から、これまでに、以下の各施策が検討されてきました。

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最終更新:6/19(日) 11:00

トラベルボイス