ここから本文です

心温まる交流、百年史「余話」に 金沢・小立野共和会

北國新聞社 6月19日(日)2時50分配信

 小立野3丁目と石引2丁目の一部でつくる町会「小立野共和会」は、戦中戦後の地域の話題を冊子にまとめた。かつて隣の町会に住んでいた山出保前市長(84)の描いた絵はがきが、太平洋戦争中、中国に出征していた共和会出身者に偶然届いたエピソードなどを盛り込んだ。昨年の町会発足100年を記念した「百年史」の続編として7月に住民に配り、地元の歴史の一コマとして後世に残す。

 旧小立野新町と旧松下町で組織された小立野共和会には現在、約130世帯が暮らしている。発足100年を迎えた昨年10月、町会副会長の石田順一さん(63)が中心となり、188ページの百年史を編さんした。

 山出さん=旭町1丁目=が以前、隣の町会の旧上野町に約50年間暮らしていたことから、百年史を記念に贈ったところ、石田さん宛てに礼状が届き、その中で共和会にあった商店で買い物をした思い出や、戦時中の慰問絵はがきの話が紹介されていた。

 1942(昭和17)年、崎浦国民学校(旧崎浦小)の4年生だった山出さんが全国慰問絵はがきコンクールに応募したところ、戦地へ送られる12枚のうちの1枚として採用された。教室を掃除する児童を描いた絵はがきは、日用品や食料などを包んで兵士に送る慰問袋とともに宛先を特定せずに発送したとされる。

 山出さんの絵はがきを受け取ったのは、共和会元町会長の片糸喜雅さん(76)の父雅夫さんだった。偶然にも差出人の住所が出身地の隣町であることに気付いた雅夫さんは、面識のない山出さんに戦地から手紙を出し、44年の復員後には直接訪ねた。

 以来、山出さんと片糸さん親子は2代にわたって交流を続け、山出さんは「私の絵が戦地の片糸さんの心を和ませたと思うと、とても感慨深い」と懐かしむ。

 百年史「余話」とした冊子には、山出さんの逸話のほか、町会が旧美川町出身の作家島田清次郎のベストセラーを原作に撮影された映画「地上」(1957年)のロケ地となった話などを合わせ、B5判、13ページにまとめた。石田さんは「小さな町会が生んだ戦中戦後の心温まるエピソードを伝えていきたい」と話した。

北國新聞社

最終更新:6月19日(日)2時50分

北國新聞社