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政府が長期的な視野に立った投資を行う好機

ZUU online 6月20日(月)10時50分配信

日本の長期金利(国債10年金利)は、マクロのファンダメンタルズ要因と金融政策要因で説明できることを解説してきた。

■ファンダメンタルズ要因と金融政策要因

ファンダメンタルズ要因としては、企業貯蓄率と財政収支の合計で貨幣経済の拡張を左右するネットの資金需要(トータルレバレッジ、GDP対比、マイナスが強い)と、失業率に先行する指標として知られ内需の拡張を左右する日銀短観中小企業金融機関貸出態度DIである。

金融政策要因としては、イールドカーブのアンカーである日銀政策金利と、日銀の資金供給(マネタイズ、買いオペ)の力を示す日銀当座預金残高の変化(前年差、GDP対比)である。

これらに、グローバルな金利水準の代理変数としての米国債10年金利を加えれば、日本の長期金利がうまく推計できることが分かっている(1988年からのデータ、4四半期移動平均、98%程度の動きを説明)。

更に、マイナス金利政策の時の長期金利へのインパクトがプラスの時の何倍(1であれば同じ強さ、5であれば5倍のインパクトの強さを表す)かを表す調整ファクターを政策金利にかけることで、プラス金利下のモデルをマイナス金利下の推計に応用できる。

■長期的に視野に立ったインフラ整備と防災強化の投資が望まれる

更に、超長期金利(国債20年金利)にもこのモデルが応用できることがわかった。データの制約のため、1992年からとなるが、95%程度の動きを説明できる。

超長期金利 = 1.192+ 0.019 中小企業貸出態度DI + 0.908 (政策金利X調整ファクター)+ 0.594 LN (米国長期金利)- 0.058 (ネットの資金需要+日銀当座預金残高変化)

現在の-0.15%程度の長期金利は、調整ファクターを3-4倍程度とすると、フェアバリューと考えることができる。

一方、現在の0.2%程度の超長期金利は、調整ファクターを8-9倍程度まで引き上げなければ、フェアバリューと考えることができないことがわかった。調整ファクターが1・5・10・15と変化するに従い、2016年4-6月期の超長期金利の推計値(米国の長期金利は1.6%程度を前提)は0.89%・0.52%・0.07%・-0.38%と変化する。

マイナス金利政策下では、金融機関は保有国債をなかなか手放したがらないため、日銀の国債買入れオペの価格が強含みやすくなるとみられる。更に、利回りを求めて、より長期の国債がファンダメンタルズ対比で選好されることにより、超長期の調整ファクターがより大きくなっていると考えられる。

結果として、マイナス金利政策は、イールドカーブに大きなフラット化の圧力をかけていることが確認できる。マイナス金利政策は国債買入れオペにかなりの負荷をかけてしまう分、金利をより押し下げ、イールドカーブをフラット化させたが、マーケットに日銀の追加金融緩和の限界を感じやすくしているといえる。

言い換えれば、この低金利とフラット化したイールドカーブの環境を利用し、国債を大幅に増発しても、政府が数十年単位の長期的に視野に立ったインフラ整備と防災強化の投資を行うことが望まれていると言える。

会田卓司(あいだ・たくじ)
ソシエテジェネラル証券 東京支店 調査部 チーフエコノミスト

最終更新:6月20日(月)10時50分

ZUU online

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