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惜敗を続けた男DJ メジャー1勝目の笑顔までの物語

ゴルフダイジェスト・オンライン(GDO) 6月20日(月)12時36分配信

悲劇のヒーローのストーリーは、もう終わりだ。ペンシルベニア州のオークモントCCで開催された「全米オープン」。ダスティン・ジョンソンが悲願のメジャー初優勝を遂げた。日没で順延された第3ラウンドの残りと最終ラウンドが行われた最終日に見事逆転。ホールアウト後に、5番グリーンでアドレス後にボールを動かしたという規則違反の裁定が下され、1罰打を受けながら、通算4アンダーとして後続を3打差で振り切った。

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この日の朝、第3ラウンドを終えた時点では首位シェーン・ローリー(アイルランド)に4打差をつけられていたが、逆転のときを静かに待った。同じくメジャー初優勝を狙ったローリーは前半10番までに4ボギー。スコアを伸ばして迎えたサンデーバックナインでジョンソンはトップを走った。

「いままで何度も勝つチャンスがあったけれど、僕は勝てなかった」

過去に9度のツアー優勝を誇っていたが、近年のジョンソンを形作っていたのは、惜敗の歴史だったと言ってもいい。首位タイで72ホール目を終えたはずだった2010年の「全米プロゴルフ選手権」。ホールアウト後、最終18番で砂地から第2打を放つ際にクラブヘッドをソールしていたことが発覚。同大会ではこの砂地をバンカーと定めており、2罰打が加わってプレーオフ進出を逃した。

翌年以降のメジャーでは今年4月の「マスターズ」までトップ10が実に8回。惜敗の極めつけは昨年の「全米オープン」だった。1打ビハインドで迎えた最終ホール。決めれば逆転勝ちとなる4mのイーグルチャンスから3パットをたたき、プレーオフ進出すらできず、ジョーダン・スピースに母国のナショナルタイトルを献上した。

何度も何度も、他人には理解が及ばない悔しさを味わった。だからこそ、物語の終わりはドラマチックだった。最終18番、残り192ydの2打目は夕闇を切り裂いてピンそば1.5mについた。「こういった状況で放ったショットでは今までで最高のものだった」。バーディフィニッシュでようやく作れた勝利のガッツポーズ。「優勝すれば普段の試合でも、本当に満足できる。けれどついにメジャーを獲った。特に僕は、何度も惜しい経験をしてきた。夢見心地だ」。キャディを務める弟のオースティンさんとしっかり抱き合い、喜びを分かち合った。

アイスホッケー界のレジェンド、ウェイン・グレツキー氏の娘であるポーリナ夫人に迎えられ、グリーン脇で愛息のテイタムくんを抱き上げたとき、クールな男の表情は最高の笑顔になった。

そして、その奥に控えていたのはジャケットを着込んだジャック・ニクラス。史上最多メジャー通算18勝のレジェンドの最初のメジャー優勝は54年前、オークモントで挙げたものだった。稀代のパワーヒッターの新しいストーリーもまた、ここから始まるかもしれない。(ペンシルベニア州オークモント/桂川洋一)

最終更新:6月20日(月)15時46分

ゴルフダイジェスト・オンライン(GDO)