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九州旅行で復興支援、ツアー続々 7月の政府補助が追い風

qBiz 西日本新聞経済電子版 6月20日(月)11時43分配信

 熊本地震の影響で冷え込んだ観光の復興に向けて、旅行商品を企画する動きが広がっている。地震による直接の被害は小さかったにもかかわらず客足の減少に苦しむ観光地は、特典や「おもてなし」で観光客の呼び込みを図る。7月には政府が創設した旅行費用の補助制度も始まり、被災地応援の旅行商品販売に拍車がかかりそうだ。

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 「あれが『海の天主堂』です」。熊本県天草市の崎津集落。静かな漁村の一角で存在感を放つ教会を見ながら、ツアー客が地元ガイドの説明に耳を傾けた。

 JR九州は14、15日、三角線を走る観光列車「A列車で行こう」とバス、船を使って有明海周辺を巡るツアーを実施した。世界文化遺産の「明治日本の産業革命遺産」や、登録を目指す「長崎の教会群とキリスト教関連遺産」の構成資産を中心に訪れる1泊2日の行程で、60人が参加した。

 1回目のツアーは4月19日に予定していたが、地震を受けて中止に。訪問地の天草や長崎県の島原半島は地震の被害はほとんどなかったが、その後も観光客を呼び戻すのに苦慮していることから「安心して旅行できる地域を率先して示す」(山下信二熊本支社長)ため、2回目以降のツアーを開くことにした。

 ツアーは、訪問先の自治体や観光団体との連携を強化。各地で職員が出迎え、特産品などを贈った。「行く先々で温かい気持ちが伝わった。満足度120%」と姉妹で参加した滋賀県大津市の辻晶子さん(63)。残るツアーは21日出発と30日出発の2回。まだ申し込み可能という。JR九州は今後、熊本・人吉温泉などへの旅行も企画する方針だ。

 旅行大手エイチ・アイ・エスは熊本と大分への旅行商品を専門に扱うコーナーを、5月27日から福岡や東京など全国4店舗に設置。別府や阿蘇の宿泊施設計14軒と提携して割安な宿泊プランを販売している。

 第三セクターの肥薩おれんじ鉄道(熊本県八代市)は、食事付き観光列車と人吉周辺のバスツアーをセットにした日帰り旅行を7月の土曜日に企画した。料金は1万1800円で一部を復興支援に寄付する。担当者は「地震後、観光列車の乗客は激減した。利益はほとんど出ないが、乗ってもらうことが大事」と話す。

 ただ、各社のツアーの参加者はまだ思うように集まっていないのが現実だ。政府の旅行費用補助制度は、7月1日から年末までの宿泊付き旅行が最大7割補助されるが、具体的な対象の発表はこれからで「様子見」の人も多いと見られる。今後、旅行者の増加につながる商品がどれだけ売り出されるか注目される。

西日本新聞社

最終更新:6月21日(火)14時59分

qBiz 西日本新聞経済電子版