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「奇跡の遺跡」認められた 佐賀市・東名遺跡

佐賀新聞 6月20日(月)18時10分配信

出土品、群抜く「質と量」

 「奇跡の遺跡」の価値が認められた-。文化審議会が東名(ひがしみょう)遺跡(佐賀市金立町)を国史跡に指定すべきと答申した17日、遺跡の希少性や考古学的価値を熱心に訴えてきた地元NPOや意見具申した市教育委員会からは、喜びの声が上がった。湿地性貝塚という特性により、他の遺跡と比べ出土品の「質と量」で群を抜く遺跡。出土品は30万~40万点に上り、保存・活用に向けた本格的な検討の必要性も出てきた。

8000年前の縄文の遺物

 「これらは全部本物ですよ。8000年前の縄文時代の遺物です」。遺跡に隣接する東名縄文館を管理するNPO法人「徐福・湿原の森づくり会」理事長の江島徳太郎さん(76)は、誇らしげに展示品を紹介する。「佐賀の歴史の原点。多量の出土品は、国の宝にふさわしい」。国史跡指定が決定的となり、言葉にも力がこもる。

厚い粘土層に覆われた湿地性貝塚

 貝塚は、調整池の建設工事によって偶然見つかった。厚い粘土層に覆われた湿地性貝塚という特性があり、約8000年前の動植物性遺物が良好な保存状態で多量に見つかっている。偶然の発見や保存に適した条件がそろっていたことから、江島さんたちは「奇跡の遺跡」と呼ぶ。

アクセサリーなど数百点の遺物

 国史跡指定を期待し、縄文館は4月から開館時間も午後4時まで3時間延長した。貝塚のはぎ取り標本や編み籠、動物の骨を使ったアクセサリーなど数百点の遺物が見られる。

 ただ、展示されているのは出土品全体のほんの一部でしかない。

巨大すぎる貝塚のはぎ取り標本

 佐賀市本庄町の文化財資料館。文化財を保管するプレハブの倉庫が並んでいる。東名遺跡のほとんどの出土品はここにある。「これを展示できたらすごいと思うんですが」。市文化振興課の西田巌さんが指さすのは、縦約2・5メートル、横約14メートルの貝塚の巨大なはぎ取り標本。大きすぎて縄文館への運搬は難しく、展示の目玉になるはずの標本は倉庫に眠っている。

 縄文館への来館者数は年間約2500人。答申の直前、授業の一環で訪れた佐賀大1年の男子学生は「吉野ケ里遺跡は知ってたけど、ここは今まで知らなかった」と縄文時代の遺物に目を奪われていた。

保存、知名度に課題

 「東名」の読み方を知らない人も多く、知名度が遺跡の価値に追い付いていないのが現状だ。市教委も遺物の保存・活用は課題と捉えており、新たな展示施設の検討を始めている。

 8000年前の実物に触れる出前授業で、市内の児童に遺跡の存在と価値を伝えている。「有明海の干潟を利用した人類最古の痕跡。『奇跡の遺跡』をしっかり子どもたちに伝えていきたい」と西田さん。次世代への啓発にも力を入れる。

最終更新:6月20日(月)18時10分

佐賀新聞