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北海道でハーブを育て、ハーブティーをつくる〈白銀荘〉柴田翔太さん/北海道

Webマガジン コロカル 6/20(月) 16:02配信

うちへおいでよ! みんなでつくるエコビレッジ vol.21

コロカル・Web連載【うちへおいでよ! みんなでつくるエコビレッジ】とは?
北海道にエコビレッジをつくりたい。そこにずっと住んでもいいし、ときどき遊びに来てもいい。野菜を育ててみんなで食べ、あんまりお金を使わずに暮らす。そんな「新しい家族のカタチ」を探ります。執筆は來嶋路子さん。現在、東京と北海道を行き来しながら編集の仕事をしつつ、エコビレッジをつくるという目標に向かって奔走中。ときどき畑仕事も。

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■荒涼とした笹原をどうやって再生するのか

この春手に入れた山をこれからどのように活用していくのか。この連載で何度か書いたように、わが山は木がすっかり伐採されており、そのほとんどが笹原となっている。ここに植物を植えて、ハーブガーデンのようにつくり変えられたらステキなんじゃないだろうか。そんな思いがあり、北海道の長沼でハーブを育て、ブレンドしたお茶の販売を行っている友人の柴田翔太さんを山に招き、意見をうかがうことにした。

翔太さんが来てくれた5月25日は、北海道も気温が高く汗ばむような陽気となった。わが山は、木がないので日差しがダイレクトに照りつける。笹原が広がり、とくに伐採した木を運ぶためにつくられたブルドーザーの通る道“ブル道”は、土がむき出しになり乾燥が激しい。しかしそんななかでも、翔太さんは、笹以外に野バラのような植物があちこちに自生していることを教えてくれた。

そして翔太さんは山を歩きながら、石狩の当別町にある北海道医療大学が所有する山で行われている、ある取り組みについて教えてくれた。この大学の薬学部では、薬用植物とこの地域の生態系の研究のために、校舎に隣接する山林を〈北方系生態観察園〉として、山に自生する植物を守り育てる活動を行っている。

「山野草の生育を助けるために、この大学がやっているのはとてもシンプルな作業です。刈り払い機を使わずに、手作業で笹を根元から刈るというもの。土の中にはたくさんの種が眠っています。笹を刈ると地面に光が当たり、さまざまな植物が芽を出すんですよ」

そう言いながら、翔太さんが笹の根元をかき分けると、小さな双葉がそこかしこに顔を出している。いまは日光が遮られているため、芽を出した植物たちはなかなか大きく成長することが難しいが、笹を刈ることによって山野草がいっぱい咲く花畑ができるかもしれないと翔太さんは言う。

「一度、医療大学に見学に行きませんか? 笹を刈ったあとの変化がどんなものか、きっとわかると思いますよ」

山をどうやって再生していけばいいのか、悩んでいた私にとって願ってもないお誘いだった。さっそく1週間後に、この大学を訪ねることにした。


■笹を刈ることで山野草の花畑ができる

北海道医療大学の北方系生態観察園は、総面積が約15ヘクタール。北海道ならではの貴重な植物があり、野生動物も生息している豊かな森だ。事前に電話連絡をすれば、誰でも自由に見学ができるということで、翔太さんに案内してもらいながら散策をすることになった。

訪ねた時期は、カタクリなど北海道の山野草の見頃が過ぎていたのだが、それでも翔太さんが言っていたように、多様な植物の姿があった。また、笹がある場所とない場所で、山野草の育ち方がまったく違っていることも実感できた。

翔太さんはときどき立ち止まって、地面すれすれの目線で植物を見つめ、「リスが食べたドングリを見つけることもできるんですよ」と笑顔を見せた。

翔太さんにここに連れてきてもらって、初めてわかったことがある。わが山が、笹に覆われているからといって、刈り払い機などを使ってそこにある植物をすべて切って、どこからか持ってきた種を私たちがまくということは、山の植物たちの営みを断ち切ってしまう行為にもなりうるということだ。

翔太さんが山野草を見ながら何度も語っていたのが、「植物から種が落ち、それを風や動物たちが運んでつくられた配置は、人にはできない美しさがある」ということだった。

翔太さんがこうした想いに至ったのは、学生時代の経験が大きいという。祖父と山菜採りに山へ行ったとき、まったく人の手が入っていない山の斜面一面に、シダが数学的な規則性が感じられるような配列で自生しており、その美しさに心を奪われたことがあったそうだ。

また、翔太さんには植物の師と仰ぐふたりの専門家がおり、ふとした瞬間に語った言葉が、植物の奥深さに目を向けるきっかけとなった。縁あって出会った近畿大学の田中尚道教授から「植物が育つのはあっという間だからね」という言葉をあるとき聞いた。

ちょうど同じ時期に、今度はハーブ専門家であるハーバリストの萩尾エリ子さんに、「植物が育つには人の一生より長い時間がかかることもあるからね」という言葉を聞いたそうだ。

「人と植物のつき合い方は、時間や規模など、そのすべてが本来自由で、どんなこともありで、いままで自分が思っていた以上に果てしなく壮大なんだと気づいた大事な言葉でした」

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最終更新:6/20(月) 16:02

Webマガジン コロカル