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社説[先島の陸自計画]「配備ありき」懸念する

沖縄タイムス 6月21日(火)5時0分配信

 下地敏彦宮古島市長は20日の市議会6月定例会一般質問で、同市への陸上自衛隊配備計画を「了解する」と正式に表明した。
 同時に飲料水となる地下水汚染への懸念が強まる旧大福牧場地区への配備計画は、「認めない」と言明した。防衛省に申し入れたことも明らかにした。
 建設場所を特定しないままの理解に苦しむ受け入れ表明である。旧大福牧場地区の代替地も明らかでない。受け入れ表明は住民への説明責任を果たしているとはとてもいえない。
 市議会後、記者会見した下地市長は「宮古島全域について配備を了解して、場所など計画が明らかになった段階で関係法令に適合しているかどうかで判断する」と説明した。認めるかどうかはホテルなど民間施設と同じとの認識も示した。
 下地市長の政策決定のあり方は順序があべこべである。軍事施設と民間施設が同じという認識もおかしい。
 防衛省は、宮古島の旧大福牧場地区と千代田カントリークラブ地区の2カ所に、2018年度までに警備部隊、地対艦ミサイル部隊、地対空ミサイル部隊など計700~800人規模の自衛隊員を配備する計画だ。
 与党議員からも反対の声が上がる旧大福牧場地区への配備見直しは当然だ。もう一つの候補地である千代田カントリークラブ地区も地元の野原部落会が反対決議を全会一致で可決しており、市議会に陳情書も提出している。
 地域の同意は最低限の条件だ。「配備ありき」の手法は混乱を招く。
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 防衛省は石垣島でも19年度以降、陸自の警備部隊、地対艦ミサイル部隊、地対空ミサイル部隊の配備を計画。500~600人規模を想定している。
 石垣市議会は20日の6月定例会最終本会議で賛成派が提出していた陸自配備推進の請願を賛成少数で不採択とした。一部与党が反対に回ったり、退席したりしたためで、総務財政委員会では採択していただけに異例の展開だ。
 反対や退席した議員の中には与党の重鎮もいる。住民の理解や議論が進んでいるとはいえず、「時期尚早」との指摘は、その通りである。
 防衛省が一方的に配備計画を通告するやり方にも問題がある。賛成派は「中国脅威論」を唱え、反対派は「日常生活が壊され、標的にもなり得る」と割れる。議会や住民の間で議論を尽くさなければならないのはいうまでもない。
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 宮古島市長の受け入れや、石垣市議会への請願は、尖閣諸島を巡り中国公船が領海に入り、海軍軍艦が接続水域を航行することなどを理由に挙げている。もちろん、中国の挑発的な振る舞いは許せるものではない。だが、軍拡に軍拡で対抗しても、安全保障のジレンマに陥るだけである。
 いったん不測の事態が起これば被害を受けるのは先島の住民である。宮古島も石垣島も島の将来を左右する極めて重大な陸自配備を十分な議論がないまま押し進めていいはずがない。

最終更新:6月21日(火)5時0分

沖縄タイムス