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嵐を呼ぶ“Tidal限定リリース”。仁義なき音楽ストリーミングサービス戦争が生んだ珍騒動

M-ON!Press(エムオンプレス) 6月21日(火)18時6分配信

Apple Music、Google Play Music、Spotify……激戦の定額制音楽ストリーミング業界において、「どのサービスが、最も使い心地がいいか」という質問に答えるのは難しい。

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しかし「どのサービスが、最も音楽リスナーをザワつかせているか」と質問ならば、答えは「Tidal」だろう。

●アーティスト主体の初めてのストリーミングサービス

Tidalとは、AppleやGoogleといった巨大資本ではなく、アーティストによって運営されている定額制ストリーミングサービス。

母体はラッパーのジェイ・Zが買収したスウェーデン発のサービスで、現在は有名ミュージシャンが共同オーナーに名を連ねている、いわば“アーティストとの共同組合”だ。

2015年にサービスを再始動するに際し、メディア向け発表会にはビヨンセ、マドンナ、ダフト・パンク、リアーナ、カニエ・ウェストなど、グラミー賞さながらの豪華メンバーが集結し、契約を結んだことも話題となった。

●伝道師・カニエ、限定リリース宣言で150万人の新規ユーザーを獲得

そんなTidalによる、“限定リリース”が、音楽リスナーを困惑させている。2016 年2月、共同オーナーのひとりであるカニエ・ウェストの最新作『The Life Of Pablo』のリリースは、大きな騒動となった。

Tidalの最も熱心な伝道師であるカニエは同作について、まず「Appleでは絶対に絶対に絶対に発表しない。発売もされない。Tidalのみで聴いてくれ」と“Tidal限定リリース”であることをTwitterで堂々と宣言。

その結果、その後1ヵ月で150万もの人が、Tidalに新規登録した。

●カニエ、まさかの前言撤回に怒るファン

しかし、ここでまさかの事態が発生。4月よりApple Music、Spotify、Google Play Musicなどの競合サービスで同作が解禁されたのだ。

ファンからの「Tidal限定リリースじゃなかったの?」という声を知ってか知らずか、カニエは自身の公式サイトでまでダウンロード販売を始めてしまう始末……。

この突然の裏切りに、わざわざTidalに登録したファンからは批判が殺到。ヒートアップしたファンのなかには、カニエに対して訴訟を起こす者まで登場する騒動となった。

この一件以降、「Tidal限定リリース」という言葉は信用を失っている。4月末に発売されたビヨンセのニューアルバム『Lemonade』の、Tidal限定ストリーミング宣言には、「もうだまされないぞ!」との批判的な反応が多い。

このように“定額制ストリーミングサービス界のお騒がせ野郎”であるTidal。実は、世界50ヵ国以上でサービスが展開されているにも関わらず、日本ではまだサービスが開始されていない。

いつの日か日本に上陸するときは、良質な音楽と一緒に“厄介な騒動”が運び込まれないことを祈るばかりだ。

最終更新:6月21日(火)18時6分

M-ON!Press(エムオンプレス)