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『マフィア III』デザイン・ディレクターを直撃 「プレイヤーがストーリーの一部になったかのような世界がある」【E3 2016】

ファミ通.com 6月21日(火)18時32分配信

文・取材・撮影:編集部 古屋陽一

●世界観の構築へのこだわり、そして腹心の部下の魅力
 2016年6月14日~16日(現地時間)、アメリカ・ロサンゼルスにて開催された世界最大のゲーム見本市E3(エレクトロニック・エンターテインメント・エキスポ)2016。ここでは、2K期待のオープンワールドアクションアドベンチャー『マフィア III』にて、デザイン・ディレクターを担当するHangar 13のマティアス・ウォルシュ氏へのインタビューをお届けしよう。

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――本作はストーリーを大切にしているとのことですが、ずばりテーマを教えてください。

マティアス 復讐です。主人公であるリンカーン・クレイはイタリアンマフィアのサル・マルカーノに裏切られます。イタリアンマフィアと黒人マフィアのあいだに争いが起こり、リンカーンは死んだものとして放置されるんです(このパートはゲーム中で経験できます)。そこで、マルカーノへの報復を決意します。とはいえ、復讐といっても、ただ相手を殺すだけではなくて、組織的にマルカーノのビジネスを破壊し、我が物にしようと目論むんです。それが、リンカーン(と、そしてプレイヤーの)本作における目的となります。
 なお、マルカーノはカルロス・マルセロといいまして、ニューオリンズの暗黒街を長いあいだコントロールしていた、実在のクライムボスをモデルにしています。

――ちなみに、主人公のリンカーン・クレイは、モハメド・アリへのオマージュ的な意味合いがあるのですか? リンカーンはボクシングをやっていますし、モハメド・アリの本名はカシアス・クレイですし。

マティアス 特別に意識したわけではありませんが、1960年代という時代設定から判断して、そう思われるかもしれないですね。まあ、ゲームには乱闘システムがあり、近接戦ができるミッションもあることは間違いないです。

――本作はストーリーを重視しているとのことですが、一方でオープンワールドが舞台でもあります。オープンワールドだとストーリーが希薄になるという印象もあるのですが、どのようにバランスを取っているのですか?

マティアス 本当の意味でのオープンワールドになるように注意しています。本作では、オープンワールドでプレイヤーの取る行動は、すべてストーリーに深く関わっています。本作では、リンカーンは街のクライム・オペレーションがどのように行われているか、ある地域がどのように動いているのか、どんな犯罪が行われているかを見ます。たとえば、フレンチ地区では、パーティが盛んに開かれていますが、ここでは売春やギャンブル、ドラッグなどが蔓延っているのがわかります。本作では、これをストリートレベルで実際に目に見える形で見せているわけです。ポン引きが女性を働かせているところや裏庭にドラッグディーラーがいたりする。これらはすべてサル・マルカーノの収入源となっていて、低レベルのギャングも街頭で活動しています。リンカーンは、オープンワールドでこうした輩を狙って倒していくんです。たとえば、ポン引きを倒せばそこで収入が途絶えるので、組織にとっては痛手になる。オープンワールドでやることは、犯罪帝国を倒すゴールを促進するようにデザインされています。そして、今回見ていただいたミッションのようなストーリーへとつながっていくんです。つまり、すべてのことはストーリーの一部であり、無関係に平行線をたどるようなものではありません。

――ルテナント(腹心の部下)のシステムを導入した理由を教えてください。

マティアス 腹心の部下は3人います。Hangar13では、すべてのプレイヤーのストーリーをユニークなものにしたいと思っています。本作では、ストーリーを語るうえでふんだんにカットシーンが盛り込まれることになっていますが、プレイのあいまにプレイヤーが「自分はストーリーの中にいる」と感じていただけるようにしたいと思ったんです。そこで、腹心の部下が不可欠です。プレイヤーはマルカーノを倒すだけではなくて、自分の帝国を構築しようとしており、腹心の部下に一部の地区を任せることを約束します。腹心の部下は、彼らの権力を持って街を動かすことになるんです。
 今回紹介したシーンでは、3人が同じ部屋にいる場面がありますが、街の地域を巡ってお互い競争しているので、賄賂を使ったりすることもあります。『マフィア III』はゲームとしてはキャラクター主導ですが、3人の腹心の部下を管理するという要素が加わることでさらにおもしろくなります。彼らを無視したり、忠誠心をもたせたり、機嫌よくさせたりすることで管理する。ストーリーの最後を見ると、自分のプレイスタイルが見えてきますよ。

――腹心の部下の裏切りもあるようですね。

マティアス はい。もし彼らの不満が高まれば、最終的には裏切られます。E3会場のプレゼンでご覧いただいたのはバーグの裏切りでした。ほかの腹心の部下が裏切るかもしれません。カサンドラが不満を持つかもしれないし、あるいは全員をハッピーにできるかもしれない。いずれもプレイヤーの判断に委ねられます。プレイヤーの決断から結果が導かれるわけですから。そして、それらの決断やキャラクターの運命は、ゲームのエンディングに反映されます。

――腹心の部下と良好な仲を築くにはどうすればよいのですか?

マティアス 彼らをハッピーにする方法は複数あります。忠誠心はそのひとつですね。彼らはサイドミッションでビジネスをするかもしれませんし、彼らにとって何が大事なのかを読み取る必要があります。どこまで不満が高まっているかもちゃんとわかるようになっています。そのへんは現実といっしょですね(笑)。

――ニューボルドーには10の地区があるとのことで、おそらくリンカーンはこの10地区を制覇していくことになると思うのですが、ひとりの腹心の部下に任せられるのは、ひとつの地域だけ?

マティアス それはプレイヤー次第になります。まだ詳しくお話はしてないのですが、ゲームの冒頭ではそれぞれ腹心の部下のいる地区があって、彼らを自分の味方にしないといけないんですね。彼らは最初から味方についてくれるわけではないので、努力する必要があるんです。たとえば、バークは一時期北側の地区でマルカーノのためにアイリッシュ・パブを経営していました。ところがいまはそうではないので、リンカーンがここを取り戻してバークに与えるわけです。
 ちなみに、ニューボルドーには10の地区がありますが、人が住んでいるのは9の地区で、もうひとつのThe Bayouはアリゲーターが生息する沼です。残りの9つの地区をマルカーノの腹心が管理しているので、リンカーンはここを狙っていくことになります。

――ちなみに、腹心の部下が裏切った場合は、殺す必要がある?

マティアス そうする必要はありませんが、彼らはリンカーンを妨害してくるので、極めて難しい状況にはなりますね。彼らはリンカーンに追手を放ってくるんです。(リンカーンが)どこにいるかにもよりますが、殺したほうが簡単な場合は、そうしたほうがいいかもしれません。ただ、殺す必要はありません。ただ、一度裏切られたら仲直りするのは難しいですね。

――腹心の部下は3人?

マティアス そうです。彼らにも、助けてくれる部下がいます。こうしたキャラクターたちも自分たちのビジネスをやっているんです。まさにキャラクター主導であり、本作では、敵味方どちらも多くのキャラクターが登場しますよ。

――Hangar 13のモットーである“プレイヤーが紡ぐストーリーはそれぞれに異なる”を『マフィア III』では実現していて、そのための大切な要素が腹心の部下とのことですが、そのほかにはどのような要素があるのですか?

マティアス なによりも、ゲームプレイのコアに当たる部分がそうです。本作では、ガンを撃ちまくってガンガン進むのでも、スニーキングで進むのも自由です。作り手としては、どうプレイすべきという意見は持っていません。プレイスタイルにしてもそうです。売春に手を染めているかもしれないエンフォーサー(用心棒)を追跡して、金を巻き上げることもできますし、どこかでタレコミ情報を掴めるかもしれません。集金係を襲うこともできる。クエストも用意されていますよ。とはいえ、プレイヤーは豊富に用意された要素のすべてをこなす必要はないんです。プレイヤーは『マフィア III』のオープンワールドを見て、何をやりたいのかを決めればいいんです。

――なるほど。ではゲーム内容について、少し詳細を聞かせてください。前作の『Mafia II』では『プレイボーイ』誌を集めるという要素がありましたが、本作では?

マティアス ありますよ。ちょうど『プレイボーイ』が再び登場すると公表したばかりです。詳細はまだお話していませんが、今回は50冊集めることができます。

――50冊も! では、リンカーンのコスチュームのカスタマイズは?

マティアス 詳細はお話していませんが、クローゼットで着替えられるようにする予定でいます。

――本作では、1960年代の実際の楽曲が多数使用されているようですが、やはり世界観の構築には欠かせないものですか?

マティアス 設定が1960年代のニューオリンズをモチーフにしているので、当時流れていた音楽100曲以上の曲をライセンス契約して、(劇中の)ラジオで流しています。さらに、ここ(ニューボルドー)はジャズのメッカなので、ジャズバンドがクラブや街角でセッションをしていますよ。

――100曲とはすごいですね。世界観を構築するうえで、クルマのエンジン音などにもこだわったようですね?

マティアス そうなんです。すべてのクルマのエンジン音を、ゲームのために収録しました。“CSポイント”と呼ばれるローカルのレーストラックがあって、通常はナスカーのレースやインディーカーのレースなどが行われているのですが、ここで当時のクルマの音を録音しています。クルマがスライドする音などは、電気自動車を使う必要がありましたね。ふつうのクルマでは、エンジン音で(スライドする音が)かき消されてしまうので……。あと、船の音も録音しています。

――本作は、シングルプレイに特化しているとのことですがダウンロードコンテンツの予定などはありますか?

マティアス ダウンロードコンテンツについては、まだ発表していません。プリオーダーしてくださった方には、“ファミリーキックパック”を予定していまして(日本での展開に関しては未発表)、武器やクルマが含まれています。リリース後のことについてはまだ何も言えません。いまはとにかくゲームを完成させることに忙しいです。

――デザイン・ディレクターとしてのこだわりポイントを教えてください。

マティアス ひとりのゲーマーとしては、The Bayouをドライブしたり、ハリケーンに出会ったり、夜空を眺めて雲が流れるのを見たり、風が木々を揺らすのを観察したりするのが楽しいです。デザイナーとしては、腹心の部下たちが気に入っています。実際にプレイしていただかないと実感していただけないかと思いますが、クライムストーリーの中に入っていけるのは楽しいです。本作はまさにそこが優れていると思います。プレイヤーはストーリーの一部になったような感覚を持てるんです。

――日本のゲームファンでも世界観に没入できますか?

マティアス もちろん! 私はドイツで生まれ育ったのですが、『マフィア III』は違う世界をもたらしてくれるゲームです。1960年代に生きているとはどういうことなのか、ニューボルドーとはどういうところなのか、この街を愛するとはどういうことなのかを知ることができます。これはとても豊穣な経験で、日本の皆さんにも本作の魅力を感じていただけると思っています。日本の皆さんに本作を遊んでいただけることをワクワクしていますよ。

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 おまけ……。E3 2016の2Kブースを改めて紹介。2Kブースの中心は『マフィア III』で、1960年代のニューオリンズの街並みをモチーフにしたブースは本当に高い完成度。占い師がいたり、ジャズバンドの演奏があったりと、細部にいたるまでのこだわりぶりがお見事で、足を踏み入れるだけでテンションが上がってしまいました。まるでテーマパークに来たみたいで……。これで解体してしまうなんて残念です。



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最終更新:8月12日(金)12時29分

ファミ通.com

TEDカンファレンスのプレゼンテーション動画

斬首動画が何百万回も再生されてしまう理由
昔は街の広場で、現代はYouTubeで。歴史を通じ、公開処刑には必ず人だかりがつきものでした。人が処刑というものを、恐ろしく不快に感じながらも、つい気になって見てしまうのはなぜか。フランシス・ラーソンが人間と公開処刑の歴史、中でも斬首刑に焦点を当てて解説したこのトークは、気分の良い内容ばかりではありませんが、同時に興味をそそること間違いないでしょう。