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赤い公園、多彩な音色で翻弄 過去最大のワンマンツアー昇天/ライブレポート

MusicVoice 6月21日(火)10時40分配信

 4人組ガールズロックバンドの赤い公園が16日、Zepp DiverCity (TOKYO)で自身にとって過去最大規模となるツアー『赤い公園マンマンツアー2016~咲き乱れNight?~』のファイナル公演を開催した。3月23日リリースの通算3枚目アルバム『純情ランドセル』を引っ提げ、全国16公演を展開。同アルバム収録の全曲と定番曲の「NOW ON AIR」や「ふやける」など、アンコールを含め全23曲を披露した。アルバム、そして彼女達の独特の世界観でオーディエンスを魅了した。

【写真】フォトレポート

■オープニングナンバーは「東京」

 定刻を少々過ぎたところで暗転すると、優しい笛の音が流れ始めた。アンプなど機材のランプが、ビル群に灯る夜景のように煌めていた。そして、オープニングSE「タヒチの夕焼け」とともに、ステージに赤い公園の4人が登場した。ブルーのライトがステージを照らす中、楽器を抱えた4人は律儀にお辞儀すると、ニューアルバム『純情ランドセル』収録曲「東京」を奏でた。

 歌い出しの佐藤千明(Vo)のブレスが会場に響きわたる。スポットを浴び、丁寧に情景を描くように歌う。オープニングは比較的メロウなナンバーだが、ちょっと抑え気味の雰囲気は、オーディエンスを優しく誘うようだった。勢いに任せるのではなく、じっくりと熱を帯びるようにライブを進めていく。かと思えば、次曲「サイダー」では、タイトルのごとく弾けるロックサウンドで、テンションを上げていく。おなじみのアッパーチューンでオーディエンスも活気に満ちていく。冒頭から緩急を使い分けた赤い公園の放つサウンドに会場は満たされていった。

 続いての「今更」。津野米咲(Gt)のストラトから繰り出されるソリッドなカッティング、更にノイズを巧みにコントロールし、空間を歪めていく。彼女達が送るサウンドのふり幅をとても広い。それがゆえに、それぞれの感じ方はあろう。この楽曲に関しては、異質な楽曲のなかでも心地よく体に染み渡ってくる不思議な感覚であった。

■「ここから10曲連続でいきたいと思います」

 ここで「ここから10曲連続でいきたいと思います」と佐藤が宣言し、始めたのは「ショートホープ」。お洒落なコード進行で、さっきまでの空気感とはまた違う大人なステージを展開していく。そして、歌川菜穂(Dr)と藤本ひかり(Ba)が作り出すバウンスしたリズムが心地よい「TOKYO HARBOR」、佐藤もセクシーな歌声で歌い上げていく。更に、『純情ランドセル』1曲目に収録されている「ボール」を披露し、グルーヴィーな演奏でオーディエンスを魅了していく。

 前衛的なサウンドの「ひつじ屋さん」では、フリーダムにやりたい放題な演奏で、ステージもフロアもヒートアップ。ラブソングらしいのだが、それを感じさせない曲の雰囲気、なんとも混沌とした赤い公園らしい楽曲の一つ。更に、楽曲は続く。「のぞき穴」、「絶対的な関係」と攻撃的アッパーチューンで高揚感を煽っていく。

 ここで、歌川の「大変だ? 喧嘩だってよ?」の煽りから、佐藤が「一戦交えますか? レディーファイト!!」の掛け声で「喧嘩」に突入。藤本もベースを振り上げ暴れまくる。「ごきげんなナンバーを一つ」と佐藤が紹介すると、この梅雨の時期にぴったりの「ナンバーシックス」を披露。ここからポップなセクションへ突入する。

 母親に向けて書いたという「ハンバーグ!」では、軽快な16ビートのリズムに乗って自然と体が横に揺れる。そして、メジャー感漂うメロディラインだが、なぜかそれを感じさせないサウンドの妙を堪能できる「あなたのあのこ、いけないわたし」と赤い公園的ポップソングでライブを彩っていく。

 ここで、MCを挟む。佐藤がこのツアーで成長した話や、ツアーで回った北海道・旭川での佐藤らしい話など、楽曲同様MCでも独特の世界観を観せ、オーディエンスを楽しませる。続いて、シングルでリリースされた春を感じさせる楽曲「Canvas」へ。シンセのキラキラした感じと、バンドサウンドのコントラストが際立つナンバー。生で聴くとまた違った趣がある。

 そして、眠りや夢をテーマにしたセクションへ突入。フィンガースナップがリズムを刻み左右にパンニング「ナルコプレシー」へ。海に一線の太陽の光が差すようなライティングで楽曲の世界観を盛り上げる。曲が終わるとウィンドチャイムが鳴り響く。そうしたなか、津野がエレクトリックピアノを奏でる。

 佐藤が、白いメトロノームの針に手をかけると、規則正しいリズムの上「おやすみ」を披露、深い眠りに落ちそうな心地よい空間が広がる。メトロノームの音が無機質に会場に響く。続いて、「デイドリーム」を演奏。まさにゆらゆらとした白昼夢を感じさせるサウンドで会場を包み込んだ。

■ラストは「西東京」でツアー終幕

 空間が閉じていくようなギターサウンドに導かれるように、「ふやける」へ。静から動へと感情を揺さぶり扇情していく。バンドのエネルギーがステージから放たれ、昇華していく様がわかる。何もない空間に音で絵を描いていく。複雑に絡み合うサウンドによって、意識がこの空間に溶け込んでいくようだった。

 「まだまだいけますか? 東京!!」と佐藤が叫び、ファンキーなギターカッティングが印象的な「KOIKI」へ。津野と藤本もステージ前方で楽しそうに演奏する姿が印象的。そして、開放感あふれるナンバー「NOW ON AIR」の間奏ではオーディエンスも手拍子で盛り上がり、一体感を演出していく。本編ラストは「黄色い花」。サビでは風に揺れるタンポポのように、フロアを満たすオーディエンスは腕をゆらりと横に振っていた。温もりあふれるポップナンバーで、本編を終了した。

 アンコールの手拍子の中、メンバーが再びステージに。ラストは「西東京」。立川出身の彼女たちを表現した楽曲。まずはコールアンドレスポンスの練習。「青く照らしてる」のフレーズを何度かやっていくが、ここで佐藤が暴走。アドリブでロングフレーズを歌い出し、オーディエンスはおろか、メンバーもついていけない状態に。

 そして、レクチャーを終了し「西東京」本編へ。佐藤も拡声器を使用し、中域が強調された歪んだサウンドで、ワイルドに聴かせていく。お互いがせめぎ合う激しいロックチューンで、『赤い公園マンマンツアー2016 ~咲き乱れNight?~』の幕を閉じた。

 赤い公園を言葉で表現するとすれば、まさに「自由」という言葉が合うのではないだろうか。彼女たちが紡ぎ出すサウンドには秩序やルールなどない、まさに自由な精神が感じ取れた。楽器で例えるならフレットがあるものではなく、フレットレスなイメージだ。メンバーの誰も一歩も譲らない音と音のぶつかり合いが、ケミストリーを生み、これからも新しいサウンドが作り出されていくことが、容易に予感出来たステージであった。(取材・村上順一)

最終更新:6月21日(火)12時20分

MusicVoice

TEDカンファレンスのプレゼンテーション動画

斬首動画が何百万回も再生されてしまう理由
昔は街の広場で、現代はYouTubeで。歴史を通じ、公開処刑には必ず人だかりがつきものでした。人が処刑というものを、恐ろしく不快に感じながらも、つい気になって見てしまうのはなぜか。フランシス・ラーソンが人間と公開処刑の歴史、中でも斬首刑に焦点を当てて解説したこのトークは、気分の良い内容ばかりではありませんが、同時に興味をそそること間違いないでしょう。