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トヨタAI子会社CEOが語る自動運転の未来

ニュースイッチ 6月21日(火)7時50分配信

「守護天使」と「お抱え運転手」の二つの形式。将来は家庭用ロボットや生産工程への応用も

 トヨタ自動車の人工知能(AI)研究開発拠点「トヨタ・リサーチ・インスティテュート」(TRI、米シリコンバレー)のギル・プラット最高経営責任者(CEO)は20日、報道各社の共同インタビューに応じ、緊急時のみAIが運転を支援する自動運転を「2、3年内に実現したい」と語った。完全自動運転車については時期を明言せず「段階的に実現する」とした。

 自動運転と並びAI研究成果の当面の出口と位置付ける屋内用ロボットについては「高齢化社会で必要。(今後)15年内に実現する」と述べた。TRIが米グーグル傘下のロボット開発会社などを買収するとの一部報道については「コメントできない」と答えた上で「常にパートナーを探しており、たくさんの企業と会話を持っている」と語った。

 またトヨタ生産方式(TPS)へのAIの応用についても言及。部品から得るビッグデータを活用し「プロセスをもっと優れたものにできないか」と、TPSの高度化に意欲を示した。

●プラット氏「AIで運転支援を洗練」
 ―TRI設立から約半年たった現状は。
 「米国内に3拠点を構え、急速に成長している。従業員は約100人まで増えた。このうち70人は現地で雇用した人材。米グーグルや米フォード出身者も在籍する。事故を起こさない車、すべての人にとっての移動手段の確保、家庭用ロボットなどへの応用という3分野で研究開発を進める」

 ―AIを自動運転にどう生かしますか。
 「二つのアプローチがある。まずは事故を回避し、人を守る『守護天使』としての使い方。既に自動ブレーキなどの先進運転支援システム(ADAS)の一部が実用化され、トヨタも今後、車線変更などの実用化を目指す。AIを用いてこれらの運転支援技術をさらに洗練・高度化し、一部は2、3年内に実用化したい」

 「二つ目は(運転を完全に任せる)『お抱え運転手』方式。これの実現には、自動運転モードと人の運転との切り替えをどうするかという問題があるが、段階的に解決していきたい。車を運転できない子どもや高齢者、あるいは運転したくない人などあらゆる人の移動手段を改善する」

 ―自動運転実現への課題は。
 「自動運転の有効性を実証するためには80億マイル(約128億キロメートル)の走行試験が必要との報告もある。グーグルは現状で200万マイルしか走行試験をしておらず、トヨタや他の自動車メーカーも(走行距離の問題を)避けられない。問題解決のため、物理的な試験に加えシミュレーション技術の活用を考える」

 ―AIの家庭用ロボットへの応用は。
 「今後10―15年の間に家庭用ロボットの実用化が進むと考えている。米国や日本で高齢化が進行する中、ロボットは確実に必要になる。ディープラーニング(深層学習)などの技術や能力の進展も大きい」

 ―AIやビッグデータを生産工程などに生かす考えは。
 「TRIの目的の一つが、AIやビッグデータの他分野への応用だ。トヨタ生産方式(TPS)は世界で最も優れたシステムだと思うが、これで完璧なのか。例えば、自動車部品を製造時点から寿命を迎える時まで追うことはできていない。ビッグデータを応用し、TPSのプロセスをもっと優れたものにできないかを考えている」

最終更新:6月21日(火)7時50分

ニュースイッチ