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国家情報院が「ISのテロ対象」と公開した韓国人、テロと無関係

ハンギョレ新聞 6月21日(火)11時55分配信

テロ情報を誇張する国家情報院

「テロとは無関係」と確認したのに
「国民の警戒心高めるために...
テロ防止法を口実に「国民の不安」を助長
個人情報まで詳しく公開する「ミス」犯す

 国家情報院が過激派集団、イスラム国(ISIL)のテロ対象に含まれていたと発表した韓国人が、実際には、テロ対象と無関係な人物であることが確認された。テロ防止法施行後に明らかになった「誇張されたテロ情報」の初の事例として記録されそうだ。また、国家情報院はこの過程で、該当人物の個人情報を詳しく公開する「ミス」を犯し、国民の安全を守るために働く情報機関としての未熟さが露呈した。

 国会情報委員会(委員長イ・チョルウ)は20日、懇談会を開き、国家情報院の緊急懸案報告を受けた。前日、国家情報院が報道資料を通じて「イスラム国が在韓米軍空軍基地と韓国人のキム氏を挙げ、テロを扇動した」と明らかにしたことと関連し、チェ・ユンス国家情報院第2次長が懇談会に出席した。イ・チョルウ委員長は懇談会の後、ブリーフィングとハンギョレとの電話インタビューで、「国情院はキム氏がテロの対象になる理由がないと報告した。イスラム国が自らのハッキング能力を誇示するため、誰なのかも知らない韓国人の情報を載せたようだと報告した」と明らかにした。にもかかわらず、8日にテロの情報を確保したとされる国家情報院が、10日以上経った19日に「テロ対象」とキム氏の身元を公開した理由については、「国家情報院はその情報を分析するのに時間がかかったと言っている。(キム氏への)テロの可能性がないと見ていたが、米国オーランドで起きた最近の銃乱射事件以降、国民の警戒心を高めるために、知らせた方が良いと判断したそうだ」と伝えた。国家情報院が、情報分析を通じてキム氏に対するテロの可能性がないという結論を下したにもかかわらず、「イスラム国が韓国人をテロ対象に指名した」という内容だけ公開したということだ。

 これに対し、テロ防止法とその施行令によって拡大した国家情報院の権限を監督する適切な方法がないことから、国家情報院の「誇張されたテロ情報」に対する懸念が高まっている。たとえ韓国人に対するテロの可能性を完全に排除できなくても、これは情報機関と警察など、政府の対応を通じて対処すべき問題であって、誇張された情報でテロに対する市民の恐怖を高めることで解決されるような問題ではないからだ。むしろ国家情報院の公開で、キム氏とその地域で不安が高まったことが分かった。

 また、同日の情報委員会では、キム氏の身元を具体的に公開したことも批判の対象になったという。国家情報院は19日、報道資料で「イスラム国が京畿道に住むキム氏をテロ対象に指名した」とし、キム氏の実名と住所、電子メールアドレスをすべて公開した。国家情報院は批判を受けホームページに載せた報道資料からキム氏の名前と住所を削除した。

 これに対し、国家情報院の関係者は「最近入手したテロ情報を公開したものであり、政治的考慮は全くなかった。身元を公開したのはミスだった」と釈明した。

 一方、国家情報院は、キム氏の身元情報を公開する2日前の17日、警察に身辺保護を要請した。警察庁は「国家情報院から心理戦など様々な可能性があるので、参考にしてほしいとの通知がきた。以来、キム氏が引っ越した事実を把握し、19日、当事者と連絡を取り、身辺保護措置を講じた」と述べた。

キム・ナムイル記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr )

最終更新:6月21日(火)11時55分

ハンギョレ新聞