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米利上げ、2016年内にあと何回? 「2018年末までに1回」の声も

ZUU online 6月22日(水)6時10分配信

3月のハト派的な立場から一転、5月に入って「6月の利上げはあり得る」とタカ派的な発言を続けてきた米連邦準備理事会(FRB)のイエレン議長。だが、「一時的な落ち込み」「季節調整」では説明しきれない5月の雇用統計の大幅悪化や、一向に2%目標を達成できない物価上昇率を受け、再びハト派の立場に逆戻りをした。

6月23日に予定される英国のEU離脱国民投票で離脱派が勝利し、金融システムが短期的に不安定になる可能性も踏まえ、6月の利上げは見送り。年初には今年4回の利上げもあり得るとしていた勢いは影をひそめ、焦点は「今年、FRBは1回でも利上げできるのか、利上げできるなら1回だけか」に移った。

注目の6月の米連邦公開市場委員会(FOMC)では、米国の金融政策の誘導目標金利であるフェデラル・ファンド(FF)金利のドットチャート(政策経路見通し)が軒並み下方修正され、年1回のみの利上げを見込む参加者は前回の1人から6人へ大幅増加した。一方、投票権を持つ参加者の大半は依然、年内2回の利上げを見込む。

イエレン議長は「7月利上げが不可能ではない」と明言したものの、一部の市場参加者は、「米経済成長の減速は誰の目にも明らかで、イエレン氏は『我々はそれでも、利上げできるんだ』と虚勢を張っているようにしか見えない」と、FRBの市場対話が機能していない現状に嘆息する。

■年内利上げは1回との見方が優勢

では、市場関係者は今年、FRBが何回利上げできると見ているか。米投資会社フェデレイテッド・インベスターズのチーフストラテジスト、フィル・オーランド氏は6月のFOMC後、経済専門局CNBCに出演し、「12月の利上げは確率が大きいが、7月と9月は難しいだろう。年内2回ではなく、1回ということだ。特に悲観的なのではなく、冷静に指標から見て、FRBが強気に出られるとは思えない」と語った。他の多くの専門家も同意見だ。

一方、人気金融投資サイト『シーキング・アルファ』のコラムニスト、ギャリ―・ゴードン氏は6月16日、「米経済の弱さは明らかで、年内の利上げは無理かもしれない」と述べ、今年の利上げは0回という見解を表明した。  また、少数ではあるものの、強気派も健在だ。UBS投資銀行の著名ストラテジスト、ジェフ・デニス氏は6月16日、「我々は今も、FRBが9月と12月の2回、利上げすると見ている」と印『エコノミック・タイムズ』紙に語っている。

ちなみに、デリバティブ取引所運営会社のCME グループが発表するFedウォッチは6月17日現在、7月利上げの可能性を7%としており、9月は24%、11月が24%、12月は23%となっている。

■市場揺るがすFRB高官の「2018年末までに利上げは1回」発言

こうしたなか、「市場を大きく動かすタカ派のFRB高官」との異名をとるセントルイス連銀のジェームズ・ブラード総裁が6月17日、爆弾発言を行った。今年のFOMCで投票権を持つ同総裁は、最近まで年内複数回の利上げを主張する、タカ派中のタカ派で、年初には「今年の利上げは4回」と述べていた。ところが、冴えない米経済指標を受けて白旗をあげ、「これから2018年末までの間、利上げは1回しかできない」と、立場を大きく翻したのだ。米経済調査会社マクロエコノミック・アドバイザーズによると、ブラード氏は2013年に米国債市場を最も大きく動かしたFRB当局者であった。

彼がインタビューや講演など公の場で行った発言を受けて同年、米10年物国債の金利が累計29ベーシスポイント(0.29%)動いたのに対し、バーナンキ前議長の影響は21ベーシスポイント(0.21%)、当時のイエレン副議長は11ベーシスポイント(0.11%)に過ぎなかったから、その発言の重みの大きさがわかる。

そのブラード総裁が講演の中で、「2018年末までの2年半の期間に、経済成長率は2%、失業率は4.7%、インフレ率は2%程度になる」との見通しを披露。その予測に基づいて、「同期間の適切な政策金利は0.63%前後だ」と述べた。つまり、2018年末までの利上げは1回だけということになる。年内の利上げがなくなっても、不自然ではない情勢判断だ。

ブラード氏によれば、米経済が低成長・低インフレで安定した状態に入った2015年、「米経済が長期的にある一定の状態に向かっていくとの前提を元に、FRBが公表する長期見通しは、有効性を失った」のである。同氏は、FRBの市場対話が機能していない現状を率直に認め、「政策金利予想と実際の行動がマッチしていない言行不一致がFRBの信頼低下につながっており、世界的な金融市場の混乱の一因となっている」と言い切った。

さらにブラード総裁は、6月のFOMCでドットチャートを提出しなかった1名の連銀総裁が自分であると認めた。米経済・金融政策見通しに引き続き「上振れリスク」があるとしながらも、タカ派当局者であるブラード氏が立場を変更したことは、これからの米利上げ予想に少なからぬ影響をもたらすと予想される。

市場関係者による2016年の米利上げ予測は今週以降、「0回か、1回か」という方向に向かっていくだろう。(在米ジャーナリスト 岩田太郎)

最終更新:6月22日(水)6時10分

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