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『LET IT DIE(レット・イット・ダイ)』ディレクターの新 英幸氏とガンホー森下社長が語る本作の魅力とは?【E3 2016】

ファミ通.com 6月22日(水)16時12分配信

文・取材・撮影:編集部 ででお

●例えるなら“エベレスト登山”のようなゲームです
 2016年6月14日~16日(現地時間)、アメリカ・ロサンゼルスで開催されている世界最大のゲーム見本市“E3(エレクトロニック・エンターテインメント・エキスポ)2016”。その会場内にて、ガンホー・オンライン・エンターテイメントとグラスホッパー・マニファクチュアがタッグを組んで開発中のプレイステーション4専用サバイバル“ド”アクションゲーム『LET IT DIE(レット・イット・ダイ)』のディレクター・新 英幸氏と、ガンホー・オンライン・エンターテイメントの森下一喜氏へのインタビューをお届けする。

(聞き手:週刊ファミ通編集長 林 克彦)


――E3 2016では、ソニー・インタラクティブエンタテインメントのブースで『LET IT DIE(レット・イット・ダイ)』のプレイアブル出展をされていましたね。現在の開発状況をお聞きしたいです。

森下 マスターアップに向けて、最後の追い込みをかけているところです。中身はほぼできあがっているんですよ。

――おふたりは、どのような形で制作に関わられているのでしょう?

森下 自分はおもにエグゼクティブプロデューサーとしてゲームデザインを担当しています。須田さん(グラスホッパー・マニファクチュアの須田剛一氏。本作のエグゼクティブディレクターを務める)が世界設定やストーリーを中心に手掛けています。このふたりが持ってきたものを、一挙に新さんが受け止めて「つまり、こういうゲームを作りたいんでしょ?」と、うまいことまとめている感じです。

――新さんがいちばんたいへんなポジションですね。

森下 そうなんですよ。まさに“新ゲー”です(笑)。

新 本当にたいへんです(苦笑)。

――これまでは須田さんのわがままを聞く仕事だったのが、本作ではわがままを言う方がふたりになっていますもんね。

新 ふたりとも猛獣なので(笑)。森下さんも、かなり細かいところまで注文を出してくるんです。ゲームをものすごくプレイしますし。

森下 じつは今回出展しているバージョンを、つい先ほどプレイしてきたんですが……。

新 今回の出展でプレイされるお客様は初めての方が多いので、当然操作方法を確認しながらゆっくりプレイしますよね。でも森下さんは全部覚えているから、不気味なくらいスイスイと進んでいくんです。やり込み動画を観ているようでしたね。

森下 そうそう。右スティックでのカメラワークも、無意識のうちに観ている方を意識したような動きになっちゃう。

――(笑)。僕は日本での取材時や、先日のパーティー(2016年6月14日にE3会場のすぐ近くで開催された“LET IT DIE CONCERT”。須田剛一氏や、本作のサウンドを手掛ける山岡 晃氏も参加していた)でもプレイさせていただいていますが、本当に楽しいですね。見た目はいかにもグラスホッパー的なセンス溢れるデザインで、中身もローグ系としてしっかり作り込まれていて、ハックスラッシュ的な要素も楽しめますし。こう言っちゃ失礼ですけど、“思ったより”おもしろいなと。

森下 本当に失礼ですが、うれしいです!(笑)

――プレイするたびに不思議な手応えがありますね。

森下 ただ、プレイアブル版は、本作の世界観やアクションの手触りを知っていただくためのものなので、本編ではもっともっとおもしろくなりますよ。プレイアブル版ではブループリント(設計図)が出てくるのですが、このバージョンではとくに使い道はありません。「本編では、設計図を集めて武器や防具を作る要素が入るんですよ」という意味で入れているんです。あと、装備の耐久度が落ちてきたときに、「ああ、同じ装備を使っているといずれは壊れるのか」とか。

――なるほど。ところで新さんは、『LET IT DIE(レット・イット・ダイ)』のどんな部分に注力していますか?

新 今回はグラスホッパーにとって初めての試みであるF2P(フリー・トゥ・プレイ)かつ新規タイトルなので、延々とプレイしていただくための仕組みをどうするか、須田や森下さんと、とことん話し合ったんですよ。アクションゲームってある程度遊んだら終わりが来てしまうのですが、本作では終わりがいつまでもやって来ない仕組みを、大きなストラクチャーとして入れているんですね。そこがまた、これまでにないおもしろさを生み出しているんです。

――確かに、F2Pでこういうゲームは初めてだと思います。ここまで持ってくるのに苦労なさったのでは?

新 めちゃめちゃ苦労しましたよ。武器のポジションですとか。ふつうのアクションゲームですと、序盤で手に入れた武器は、せいぜい中盤くらいまでしか使えません。本作では主人公とともに武器も成長するため、延々と使い続けられるわけです。

森下 ウチからすると、(F2Pのスタイルは)ふつうなんですけど……。

――ガンホーさんはそのあたり得意分野ですもんね。

森下 とはいえ、武器と装備の組み合わせが6億通り以上になるので、簡単というわけでもないんですよ。

――6億! そんなに!?

森下 F2PタイトルにPvPの要素は重要なポイントですからね。同じ装備をしている人に出会うことは、なかなか少ないかもしれません。お気に入りの装備があっても、使い続けていれば耐久度が落ちて壊れちゃうので、また作ることになりますし。行きは完全武装だったけど、帰りはパンツ一丁になっている、ということもあり得ます。

――装備が揃ってきたときに死ぬとどうなるのですか?

新 自分が死んだ後にその場所へ行くと、死ぬ直前の装備をまとった敵キャラクターが登場します。それが自分のプレイにも出てきますし、他人のプレイにも登場するんですよ。

――他人のところにひょっこり現れるんですか!

新 はい。そこがPvPにつながっているんですよ。さまざまなプレイヤーのデータと戦うことになるわけです。

森下 そのキャラクターを、意図的に送り込むことも可能です。たとえば、新がレベル1のキャラクターでプレイしているところに、レベル50で完全武装した僕の分身を登場させたり(笑)。

――遭遇したら逃げるしかないですね(笑)。

森下 そのため、強敵と出会ったとき、がんばって戦ってもいいし、逃げてもいいような作りにしています。

新 プレイアブル版でも、プレイ中にちょっと変わった敵キャラクターが出てくることがあるのですが、それもほかのプレイヤーが作ったデータなんですよ。

――つまり、がんばってレベル10くらいまでキャラクターを育てて、ようやく中ボスを倒せたと思ったら、その直後にレベル50の敵に追いかけられるということも……? 恐い!

新 うっかり戦うとワンパンで倒されてしまいますからね。

森下 演出として用意された恐さって、最初こそ恐ろしく感じますが、2回目以降はなんともなくなりますよね。そこで、永続的に感じられる恐さとは何だろう? と考えた結果がこのシステムです。このゲームでいちばん恐い存在はプレイヤーなんですよ。

――それこそがPvPというわけですね。

発売に向けての意気込みは?
森下 本作のコンセプトを決める前、スタッフのあいだでテレビ番組の『アイ・アム・冒険少年』の話題になって。サバイバル物のパロディー的な内容なんですけど。

新 「あれ観た?」、「観た!」みたいな感じで盛り上がって。

森下 そのときに新君の顔を見て、「待てよ……サバイバルから連想したけど、新君ってエベレストとか登っていそうだよね」という流れに。

――見た目が? 確かに登っていそう(笑)。

新 高尾山とかとは違って、エベレストの登山というのは一気に登り切るのではなく、ベースキャンプから何度もアタックを繰り返すんです。アタックをかけてはキャンプへ戻って、そのつぎのアタックでは経験を活かしてより確実に登っていくという。そこで気づいたんですよ。「登山ってローグ系だな」って。

――そこから、ローグ系のゲームを作ろうと。

森下 ですね。そして“長く遊んでいただけるアクションゲーム”とは何かを考えるとハクスラ浮かび上がって……。これで、ローグ、ハクスラ、サバイバルの3本柱になりますよね。最初に掲げていた“ド”アクションはどこに行ったんだという話にもなりますけど(笑)。

――(笑)。いろいろなインスピレーションが形になって、いまの『LET IT DIE(レット・イット・ダイ)』になったわけですか。これって目的としては塔を進んでいく感じになるんですよね?

新 そうですね。塔を登るにしても、縦軸だけ進んでいくだけではダメで、ときには横軸を広げにと塔の制覇は無理なんです。拠点で武器を作ったり、キノコを焼いたりして、つぎへ進むための準備をするわけです。ベースキャンプみたいなものですね。

――まさに登山ですね。

新 拠点では、スキルデカールという、自分をアップグレードするアイテムを購入したり、作ったりもできます。

森下 行っては戻ってきて強化して、強くなったらまた行って……と繰り返すゲームです。

新 次へのアタックの中で得た経験値を、拠点へ戻ってきたときにステータス振りをして……本当に山登りみたいなゲームになっていますね。

森下 新君が登山家みたいな風貌じゃなかったら、こうはならなかったですね。だから『LET IT DIE(レット・イット・ダイ)』は“新ゲー”なんです(笑)。

新 ビジュアルから方向性が決まった稀有な例ですよね。僕が髭を生やしていなかったらどうなっていたか……。

――小奇麗な感じのゲームになっていたかもですね(笑)。

――E3でプレイアブル出展をして、海外のプレイヤーが遊んでいる様子を見た手応えはいかがでしたか?

森下 開発中のゲームを海外の人にさわってもらってウケがよかったので自信はあったけど、正直「コレで本当によかったのか」と不安がありました。でも、PAX East 2016でプレイアブル出展したとき、1時間半~2時間待ちの行列ができるほど盛況で、ホッとしたんです。それが今回のE3出展につながりましたね。“LET IT DIE CONCERT”でもプレイアブル版が遊べるようにしていたのですが、絶叫しながら楽しんでいる方もいて、すごく自信が持てました。

――最後に、発売に向けてのコメントをお願いします。

新 現在、海外版の年内リリースにかけて追い込みをかけています。日本語版も確実に出しますので、皆様もう少しだけお待ちください!

森下 先ほども言いましたが、さまざまなチャレンジを積み重ねたゲームです。F2Pという間口の広さもありますので、リリース後はぜひお気軽にプレイしてみてください。その楽しさはやってみればわかると思います。ノリのいいBGMにも注目ですよ!

――サウンドはあの山岡さんですもんね。そちらも楽しみです。

森下 お楽しみに!


※ファミ通.com特設サイト“E3 2016 記事まとめ”はこちら

最終更新:6月22日(水)16時12分

ファミ通.com

TEDカンファレンスのプレゼンテーション動画

斬首動画が何百万回も再生されてしまう理由
昔は街の広場で、現代はYouTubeで。歴史を通じ、公開処刑には必ず人だかりがつきものでした。人が処刑というものを、恐ろしく不快に感じながらも、つい気になって見てしまうのはなぜか。フランシス・ラーソンが人間と公開処刑の歴史、中でも斬首刑に焦点を当てて解説したこのトークは、気分の良い内容ばかりではありませんが、同時に興味をそそること間違いないでしょう。