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鎌倉時代の竹とんぼ出土、県内初 平泉寺旧境内、祭祀に使用?

福井新聞ONLINE 6月22日(水)8時55分配信

 福井県勝山市教委は21日、同市の国史跡白山平泉寺旧境内にある素掘りの井戸から、鎌倉後期(13世紀末~14世紀前半)に作られたとみられる、竹とんぼの形状をした木製の「木(き)とんぼ」が出土したと発表した。県内で確認されたのは初めて。全国でも数例しかない。同教委は、現在の玩具「竹とんぼ」とは異なり、祭祀道具として使われていたとみている。

 「木とんぼ」は木製だけに腐りやすく、ほとんど現存していない。同市教委によると出土したのは全国でも鳥取、岩手、新潟県など数カ所だけ。研究も進んでいないという。同市教委は発掘状況などから「神を鎮める行為に使われた祭祀道具」と推測。当時の生活を知る貴重な史料でもあり、今後の平泉寺研究に役立つと期待されている。

 出土した場所は、平泉寺旧境内の「南谷三千六百坊跡」に位置し、現在は民家の畑となっている。昨年5月から今年3月まで同教委が157平方メートルを調査。井戸は直径1・5メートル、深さ2・5メートルで鎌倉後期(13世紀末~14世紀前半)のものとみられている。

 木とんぼは羽根の部分が見つかり、粘土層にあったため保存状態は良い。全長11センチ、幅1・4センチ、厚さ0・6センチで、素材はヒノキの可能性があるという。中央に軸棒を刺すためとみられる直径0・3センチのせん孔が残っている。竹とんぼは一般的に反時計回りに回転するよう羽根を削り出しているが、出土品は時計回りに回るよう加工されている。

 奈良時代には、飛ぶ高さや距離によって吉凶を占うなどの祭祀道具として使用されたといわれている。出土品は鎌倉後期とされ同じ目的だったかは不明だが、▽当時の井戸は神が宿る場所だった▽同時に大量の器のかわらけや長さ20センチほどの箸、こまなど多種多様な木製加工品が見つかった―などから、同市教委は「何らかの祭祀や宴会を行った際に投棄されたのではないか」とみている。

 調査に当たった藤本康司学芸員は、木とんぼは出土例も少なく分からないことが多いとしつつ「坊院内の日常生活を知る上で貴重な発見」と今後の平泉寺研究に意欲をみせた。中世のこまや羽子板研究の第一人者である一乗谷朝倉氏遺跡資料館の水野和雄元館長は「仮に遊戯具だったとしても当時は高級なものだったはず」と説明。「平泉寺が繁栄していたことの裏付けになるのでは」と話した。

 木とんぼは、26日午後1時半から勝山市民交流センターで開かれる「白山平泉寺世界遺産講演会」で公開する。

福井新聞社

最終更新:6月22日(水)9時9分

福井新聞ONLINE