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商用化まで7年、井関農機がICT活用した“賢い”田植え機拡販

日刊工業新聞電子版 6月22日(水)10時11分配信

2種のセンサーで土壌深さと肥沃測定、肥料の量を自動制御

 井関農機が情報通信技術(ICT)を活用した“賢い”田植え機の拡販に動きだした。車体の前方に搭載した2種類のセンサーで、土壌の深さ(作土深)と肥沃(ひよく)の度合いを測定し、田んぼに応じて的確に肥料をまく。肥沃な土壌で生育が良すぎてしまい、稲が倒れてしまう問題にも有効だ。7年もの開発期間を経て商用化にこぎつけた。

 井関農機が「可変施肥田植機」に取り付けたセンサーにより、田んぼの状態や施肥量が手に取るように分かる。超音波センサーを活用して水面までの距離を計測し、田んぼでの車体の沈下量から土壌の深さを算出。電極センサーで肥沃度を測定する。両方のセンサーを使うことで、深い場所や肥沃の高い場所を特定して肥料のまく量を抑える。

 勝野志郎執行役員営業本部副本部長は「肥料を抑えることで、稲の倒伏を減らす」と新型機の利点を説明する。田んぼの状態をあまり把握できないまま肥料をまいてしまうと、稲の生育にムラが出る可能性があり、育ちすぎると倒れるという。施肥量を自動制御することで、これら問題を解消でき、肥料にかかるコストも減らせる。

 倒れた稲を刈り取るには時間がかかったり、コンバインが故障してしまったりするが、「新型機により、収穫時間の低減にもつながる」(勝野執行役員)としている。

 当初、新型機の開発は細々と始まり、基礎試験や実証を繰り返しながら商用化した。勝野執行役員は「新型機に農家や試験機関の思いが込められている」と強調する。経験や勘に頼るのが一般的な農業にも生産性を高めるために、ICT化の波が押し寄せつつあり、新型機を利用する効果は大きい。

全地球測位システム(GPS)を利用したトラクターの作業支援システムなども提供し、ICT対応を加速する井関農機。農家の高齢化が進む中で顧客を増やすには、ICTの利点や作業負荷の軽減などを分かりやすく訴求することが求められそうだ。(孝志勇輔)

最終更新:6月22日(水)10時11分

日刊工業新聞電子版