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今後30年の間に大地震が起きる確率は? 地震動予測地図の見方

SUUMOジャーナル 6月22日(水)8時0分配信

政府の地震調査研究推進本部地震調査委員会は、主に大規模な地震の発生確率をまとめた「全国地震動予測地図2016年版」を公表した。確率の高さで色分けされた地図を見ると、住んでいる場所で大規模な地震が発生するかもしれないという不安が強まるが、ここでは付録として公表された資料に着目して、地震動予測地図の見方について考えてみよう。

【今週の住活トピック】
「全国地震動予測地図2016年版」を公表/地震調査委員会

■ケース・カテゴリーによって確率が異なり、地震動予測地図は多数に

「全国地震動予測地図2016年版」は、2011年の東日本大震災の発生を受けて見直された「2014年版」を基に、「関東地域の活断層の長期評価(第一版)」などを受けて、全国地震動予測地図を更新したもの。
地域の防災対策や耐震設計、損害保険の料率算定などに用いられているほか、文部科学省の学校施設の耐震化の優先順位付けや耐震化事業の緊急度の検討にも活用されている。

公表された「全国地震動予測地図2016年版」には、今後30年間に震度5弱以上~6強以上の揺れに見舞われる確率を示した予測地図が、ケースやカテゴリー別に多数掲載されている。

筆者の住む東京都23区内は、震度5弱以上~6弱以上の揺れに見舞われる確率は、26%以上の濃い赤で塗られている。赤く塗られた地図を見ると、非常に不安になるが、この地図はどう見たらよいのだろうか?

【画像1】地震動予測地図から分かること(出典/地震調査委員会「全国地震動予測地図2016年版」の「付録2:地震動予測地図を見てみよう」より転載)

【画像2】凡例の見方(出典/地震調査委員会「全国地震動予測地図2016年版」の「付録2:地震動予測地図を見てみよう」より転載)

■地震動予測地図で太平洋側が赤く色分けされる理由は?

付録として公表された「地震動予測地図を見てみよう」によると、地図に示されている確率は、「その場所で地震が発生する確率」ではなく、「日本周辺で発生した地震によってその場所が震度6弱以上の揺れに見舞われる確率」だという。

画像1で分かるように、東日本大震災のような「海溝型地震」と、阪神淡路大震災のような「陸域の浅い地震」があり、強い揺れに見舞われる可能性の高さは、場所や地震の種類によって異なる。これらを組み合わせて、予測地図はつくられている。

また、「30年間に大きな揺れに見舞われる確率」というのは、過去に発生した同程度の揺れが起きる間隔の違いによる。例えば、確率が3%なら約1000年に1回程度、確率が26%なら約100年に1回程度で同程度の揺れに見舞われることを示している(画像2)。

太平洋側の沖合いには千島海溝、日本海溝、南海トラフといった、海溝型地震を起こす陸と海のプレートの境界があり、海溝型地震の発生間隔が数十年から百年程度と比較的短いために、予測地図では太平洋岸の地域の確率が高くなっている。特に、南海トラフは前回の地震から70年近くが経過しているため、確率が高くなっている。

逆に、陸域の浅い地震を起こす活断層の地震の発生間隔は、一般的に1000年以上と長いため、海溝型地震と比べると確率は低くなる傾向にあるが、活断層の活動で引き起こされた熊本地震に見られるように、確率が低いからといって油断できるわけではない。

【画像3】2016年版と2014年版の比較(出典/地震調査委員会「全国地震動予測地図2016年版」の「確率論的地震動予測地図」より転載)

■2016年版では、南海トラフ沿いで上昇、長野県で変化

では、2014年版と2016年版でどのように変わったのだろうか?

画像3を見ると、海溝型地震が懸念される太平洋側で確率が上がっており、糸魚川-静岡構造線断層帯の評価が見直されたため、長野県とその周辺で確率が上がったり下がったりした場所が生じている。

今回の地震動予測地図は2016年1月1日を基準にしているため、4月に発生した熊本地震の結果は反映されていない。活断層についてはまだ未発見のものもあり、新たな調査や分析結果などで確率が変わる可能性もある。

この記事を執筆中の2016年6月16日にも、函館市で震度6弱の地震が発生した。
強い揺れに見舞われる確率がゼロとなるところは、日本には存在しないことから、確率が低くても地震に対する備えを怠らないようにしたい。

●参考
・地震調査委員会のサイト「全国地震動予測地図2016年版」の「付録2:地震動予測地図を見てみよう」
・防災科学技術研究所のサイト「J-SHIS 地震ハザードステーション」

山本久美子

最終更新:7月14日(木)16時36分

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