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『NieR:Automata(ニーア オートマタ)』を開発するプラチナゲームズに潜入! 開発真っ只中の現場をリポート

ファミ通.com 6月23日(木)0時2分配信

●E3最新情報を開発陣とともに紐解く
 大阪にあるプラチナゲームズの若手スタッフを中心に開発が進む『NieR:Automata(ニーア オートマタ)』。ディレクターを務めるヨコオタロウ氏は、ゲームデザイナー田浦貴久氏をはじめとした、プラチナゲームズの若手開発スタッフの優秀っぷりを強調(仕事ができてイケメンの田浦氏には歯ぎしり)し、「一度、ぜひ開発現場へ」とお誘いを受けたので、行ってきました、プラチナゲームズに。
 ここでは、『NieR:Automata』の若手開発スタッフにそれぞれの担当パートの開発秘話をうかがいながら、ふだんなかなか公開されない(しかも発売前に)開発画面も含め、本作の最新情報をお届けしていこう。
 なお、本記事は、週刊ファミ通2016年6月30日号(6月16日発売)に掲載したものをファミ通.com用に再編集したものです。

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■プラチナゲームズらしいアクション、ゲームデザイン
 まず最初にザコ敵とのバトルシーンに加え、バトルを担当するゲームデザイナー・田浦貴久氏、もうひとりのゲームデザイナー・根岸功氏、プログラマー・大西亮氏による解説をお届け。

「ボタンを押すと何かしら反応がある アクションを目指しています」(ゲームデザイナー・田浦氏)
 ゲームデザイナーの仕事は多岐にわたっていますが、メインはアクションの部分です。プラチナゲームズのアクションゲームは、手応え・歯応えがあるので、難しいと感じる方もいらっしゃるかもしれません。ですが、本作では難易度を選択できるようにしていますし、そもそも標準難度でも、ひたすら反射神経が求められて、ガムシャラに難しいというデザインにはしていません。たとえば、敵の攻撃自体は速度が遅く、誰が見ても反応できたり、こうすれば回避できると理解して動ける、そういったテンポ・位置取りが重要なバトルになっています。本作ではスライドするような回避アクションも特徴なのですが、回避アクションは空中でも好きな方向に回避できますし、攻撃をキャンセルして好きなときにストレスなく回避することが可能です。

 基本的な操作に関しては、アクションゲームで思い浮かぶもの、前作『NieR』のものは用意してています。攻撃については2種類の武器を□ボタンと△ボタンに割り当てていて、特定のコンボルートがあるというよりは、ボタンを押すことで、そのボタンに割り当てた武器を使った攻撃が連続して出せる、といったアクションになります。ジャンプ中、回避中、ダッシュ中にも攻撃が出せたり、ボタンを押すと何かしら反応があるアクションを目指しています。

「ヨコオさんのチェックを通ると、凄惨なオチに変わっていたり……」(ゲームデザイナー・根岸氏)
 ヨコオさんにいただいたシナリオをもとに、会話や敵・ボスなどを実装することをメインにやっています。また、サブクエストのネタを出してプロットを作り、ヨコオさんにチェックを受けたのち、それをゲームに実装するといったこともやっているのですが、ヨコオさんからメインのシナリオがあがってこないので、サブクエストが考えられないということも(笑)。

 サブクエストは、ギャグ系のものを考えることが多いのですが、ヨコオさんのチェックを通ると、凄惨なオチに変わっていたりして、そこがヨコオさんらしいというか、『NieR』らしいなと感じます。

 本作は、私としては初めてのオープンワールドのゲームなので、最初は敵の配置など、どういう密度で組めばいいか戸惑いはありましたが、ヨコオさんからは「景色も楽しんでもらうフィールドにしたい」というリクエストがあったので、敵の密度を減らし、これまでのプラチナゲームズ作品とは、雰囲気も遊び心地もまったく違うものになっています。ボス戦では激しい戦いもあったりしますので、そのあたりのメリハリも楽しんでほしいですね。

「これまでやったことのなかった手の込んだことをやっているつもり」(プログラマー:大西亮)
 チームのみんなのリクエストや、アーティストチームなどが仕上げたものを、ゲームに実装するというのがプログラマーの仕事です。

 これまでプラチナゲームズの作品と本作のいちばんの違いは、RPGという部分。それにともなってUI( ユーザーインターフェース)の作りも違いますし、オープンワールドという、これまで弊社ではやってこなかったタイプのゲームなので、いつもより手が込んだことをやっているつもりです。

 『NieR』はいろいろなゲームジャンルが入ってるというのも特徴のひとつですが、それに関しては難しさより、楽しさのほうが大きいですね。いきなり横スクロール画面になったりとか、途中で上からの俯瞰視点になったりとか、突拍子もないですよね(笑)。そのほか「これ、本当に実装するの?」と驚くリクエストも多いです。今回、公開した歌うボスとの戦い(後述)では、声による攻撃をしてくるのですが、そういった、ほかのゲームではあまりやらないことを、ちょこちょこ提案されたりして困惑することもよくあります。

■おなじみのイクラ弾もパワーアップ
 E3 2016トレーラーにも登場する、声で攻撃してくる機械生命体の“歌うボス”。狂気を帯びた歌で攻撃してくる様は戦慄モノ。その攻撃のバリエーションも豊富で、カメラアングルも俯瞰になったり真上からになったりと、『NieR』らしさとプラチナゲームズらしさが詰まったバトルになっている。

「太刀筋エフェクトと当たり判定を合わせているので、その精度にも注目してほしいですね」(VFXアーティスト:蔦 直樹)
 エフェクトの効果を追加したり、映像の視覚効果を担当するのがVFXアーティストの仕事です。本作では前作『NieR』の空気感を踏襲したうえで、ヨコオさんが望むマイルドというか、シャープでキレがありつつ抑え目な、新たな表現にチャレンジしています。色の彩度を抑えて統一感のある絵作りにしているので、色分けは難しいですが。

 『NieR』といえば、イクラのような弾幕アクションを思い出す方もいると思いますが、それは本作でも入っています。本作のイクラは質感がプニプニしていて、よりイクラに近づいた感じになっています(笑)。また、前作より数をたくさん出せるので、超絶弾幕も可能です。超絶弾幕は開発初期段階から目指していたことなので、たくさんイクラを出すことになっても問題ないと思います。

 あと挙げておきたいのは、太刀筋のエフェクトです。太刀筋モーションは武器のジャンルや技などによってたくさんあるので、作業はたいへんですが、エフェクトがあるとないとでは印象や爽快感がぜんぜん違います。しかも、太刀筋エフェクトと当たり判定をピッタリ合わせているので、その精度にも注目してほしいですね。

「プレイヤーキャラとまわりの環境を検出して音が動的に変化」(サウンドデザイナー:進藤氏)
 本プロジェクトでは、プレイヤーキャラクターの位置とまわりの環境を検出して、リバーブ(残響)を動的に変えていく、ということに挑戦しています。たとえば、金属に囲まれた工場内の広い部屋では、音が長めに響くけれど、同じ金属の小部屋であれば、残響音は短く変化したり、といった具合です。これまで弊社のゲームでは、場所ごとに“こういう響き”というものを設定していたのですが、本作はオープンワールドなので、従来のやりかたはできないと考え、動的に残響音が変化するシステムをサウンドプログラマーにがんばって作ってもらいました。

 本作は、美しい自然も特徴なのですが、川の音を距離で変化させたり、小鳥のさえずりを100パターンくらい用意したりと力を入れていて、美しい自然と相まって、その場にいるだけで癒やされる空間作りにも貢献できていると思います。

■世界&アート
 本作の舞台は遠い未来。突如、侵略してきた異星人がくり出す兵器“機械生命体”。圧倒的戦力の前に、人類は地上を追われ月へと逃げ延びていた。地球を奪還するために、人類側はアンドロイド兵士による戦闘用歩兵“ヨルハ”部隊を投入。人のいない不毛の地でくり広げられる機械兵器とアンドロイドの熾烈な戦い。そんな退廃的ながら美しい世界が広がる。

「最初に描いたものを採用すると宣言され、プレッシャーでした」(エンバイロメントコンセプトアーティスト: 幸田和磨氏)
 ディレクターの資料をもとに、自分の解釈を入れつつイメージアートを描くのが私の仕事です。作品の大まかな雰囲気を作る、という感じですね。ふつう、イメージアートを頼まれるときは、最初に提出する数十点の中から1点が採用され、それで方向性が固まってさらに何枚か描いていく、という流れが多いのですが、ヨコオさんの場合は、「最初に描いて出してくれたものをオーケーにするから」ということを最初に言われて。作業的には1点だけ描けばいいので楽ではあったんですけど、逆にプレッシャーみたいな(笑)。オーダーとしては、「自然が浸食してきた退廃的な街、無国籍感のある都市部」というものでした。その最初の1点が下のものなんですけど、本当に一発オーケーでした。

 ですが、以降は何点か描いていくうちにリテイクが多くなりましたね。「ここの丸みが足りない」とか、「緑を強めに」とか、「ここを明るめに」とか細かい部分ですけど。細部にこだわる方だなと思いました。あと、団地のような「同じものを連続させてほしい」というリクエストがあって、同じものが連続するようなものは、描くときの構図が制限されるので苦労しました。

「観光地感というか、そこに行きたくなるようなマップに」(エンバイロメント アーティスト: 梶氏)
 ステージの企画からあがってきたマップの仕様に対して、簡単なモデルで地形を作り、オーケーが出たら、実際のゲーム用に、マップを作り上げていく仕事をしています。本作では、どのマップでもそうなんですが、観光地感というか、そこに行きたくなるようなマップというのをヨコオさんからオーダーされました。今回は、60フレームのシームレスマップというところに挑戦しているので、グラフィックのクオリティーを上げつつ、ちゃんとゲームが動くようにする処理軽減をいまがんばっているところです。

■キャラクター
 本作のキャラクターデザインはCyDesignationの吉田明彦氏が担当。その吉田氏のイラストを3Dモデルに起こす作業を担当したのがキャラクターモデリングアーティスト・松平仁氏、そのモデルにアニメーションを付ける作業を担ったのがアニメーター・村中高幸氏だ。いわばキャラクターに命を吹き込む作業をした二人と言える。

「いかにシンプルでカッコいいデザインにしていくか、という引き算のデザイン」(キャラクターモデリングアーティスト: 松平 仁氏)
 プレイヤーキャラクターや敵のモデリングを中心に担当しています。昨今のゲームは作り込めば、髪の毛1本ずつ作れたり、リアルに作り込むことはできると思うのですが、『NieR』の場合は、いかにシンプルでカッコいいデザインにしていくか、という引き算のデザイン。

 吉田明彦さんの絵はシルエットがハッキリしていて、ここを押さえれば吉田さんのキャラクターたり得る、という部分がすごくわかるデザインなので、そういう意味ではモデリングはしやすかったです。ただ、今回の吉田さんがデザインしたキャラクターの服は、ベルベットを中心に構成されていて、ベルベットの素材の表現がすごく難しく、いまだに苦労しているところです。素材の違いはゲームプレイ中は気づき難い部分だと思うのですが、シネマティックなイベントシーンでは素材感の違いがわかりますし、プレイヤーの方々は、そのイメージを持ってゲームをプレイすると思うので、しっかり表現しておきたいですね。また、本作はアンドロイドが主人公なので、壊れたりすることもたくさんあります。とくに9Sくんはいろいろとヒドイ目に遭うので期待していてください(笑)。

「細かなモーションにもこだわりが詰まっています」(アニメーター: 村中氏)
 田浦と相談しながら、キャラクターのアニメーション付け、動きかたなどを調整・管理しています。ヨコオさんには、こちらで作ったものを触ってもらい、調整していきます。といっても、動きかたに関しては細かい指示はあまりなく、イメージと大きく違うところに関してだけ指摘があるので、ほぼ好きにやらせてもらっています(笑)。

 本作でもっとも意識しているところは、これまでの弊社のタイトル同様に、“触って気持ちいい”、“レスポンスがいい”。それに加え、「おっ!?」と思ってもらう動きかたであったり、アクションというものを心掛けています。

 また、移動のつなぎ部分や攻撃終わりのちょっとした細かい部分にもこだわってアニメーションを付けています。変わったところでは、藪に入ると引っかかりモーションが出てダッシュがキャンセルされる、という要素も盛り込んでいます。そんなアニメーションは移動のストレスになるので、ふつうのゲームではわざわざ入れないと思うのですが、ヨコオさんのリクエストで入れました。ヨコオさんのちょっとした嫌がらせと言ったところでしょうか(笑)。

■プラチナゲームズ若手スタッフ座談会「何か変なものを求められます」(全員)
 ここでは、今回ご登場いただいたプラチナゲームズの若手スタッフの方々にお集まりいただき、『NieR:Automata』について、プラチナゲームズにとっては外部からの異星人である、ヨコオタロウのディレクションについてを中心に放談してもらった。
※ヨコオタロウ氏、齊藤陽介氏も同席。

――『NieR』と言えばヨコオさんの意向・性癖が色濃く出ている作品ですが、開発をいっしょにされてみて、いかがですか?

田浦 ヨコオさんといっしょに仕事をすることになって、2年弱が経ちました。最初、まだチームを構成する前のころは、ヨコオさんとふたりで企画書を書いたりしていました。当時の印象は、いまとあまり変わっていないです。いい意味でこだわるところと抜くところを持っていらっしゃる方だなと。トータルすると、ヘンな人なんですけど(笑)。

松平 ヘンなのは確かです。僕は本制作が始まる決起会(飲み会)で、初対面のヨコオさんに、「すごくヒドい○ッ○○しそうですね」って言われたことが、ムチャクチャ印象に残っています。

一同 (爆笑)

松平 そういうことがあったので、「この人ヤベェな」と(笑)。ただ、ゲーム制作に関しては、開発初期から全体を設計しているな、という印象がスゴく強いです。全部が上がってきたところで調整するのではなく、開発中も全体像を想定しながら詰めていく、という。

――ふつうのディレクターからは来ないような指示があったりしますか?

田浦 人それぞれこだわる部分は違うと思うのですが、その中でもとくにヨコオさんに顕著なのは雰囲気だったり、空気感に関する指示ですね。敵の配置にしても、敵の数を減らして、アクセントとしてアクションがあるような全体像を思い描いている。そういった視点で見ているディレクターはいままでいなかったかなと。

蔦 僕はチームに合流するのが遅かったのですが、いつものようにやっちゃうと「派手すぎる」とか「色がガチャガチャしてる」と言われ、限られた表現の中でおもしろいものを出すことに苦労していました。ですが、いいものは「いいですね」と言ってくださるので、テンションが上ってやりやすいですね。

梶 確かに、マインドコントロールがすごくうまい人だなという印象はあります。すごく褒めてくれるんですよ。僕としては決められたスケジュールのなか、キツキツで作っているので、クオリティーの部分で不安になることがあるんですけど、そこで褒めらるのでさらにやる気が出るというか。ただ、褒めてくださっているんですけど、たまに眼がマジ、笑ってないみたいな。そんなときは、もうちょっとクオリティーを
上げないとダメかなと、心の中で思ったり(笑)。

根岸 ヨコオさんからは、やりたいと思ったことをドンドン提案してほしいと言われています。要はモチベーションが高いモノを入れたほうが楽しく作れるし、ゲームもよくなるから、と。ウチのディレクター陣は、最後まで細かくディレクションして世界観を作っていく、というスタイルの人が多いんですけど、要点だけ押さえたらあとは好きに膨らませていいよ、みたいなやりかたは、すごく新鮮でおもしろいです。

幸田 思い切って、「こういうアイデアはどうでしょう?」と提案をさせていただくこともあるのですが、そのときにアイデアの部分ではなく、「ここの凹みの部分が」とか思わぬツッコミがあったりして、そういうところを気にするんだ、と新しい刺激があるというか。ふだんまったく気にしないところにツッコミが入るので、すごく勉強させてもらっています。

ヨコオ あの……ちょっといいですか? 僕、席を外しておいたほうがいいですか? 気を遣われてる感がすごくて(笑)。「ヒドい○ッ○○しそう」というくだりを除いて。

齊藤 まだわからないよ(笑)。これからかもしれないから。

――今回、ヨコオさんは登場しない体にしようと思ったんですが、せっかくなのでお聞きします(笑)。幸田さんが描くイメージアートの一発目をオーケーにする、と宣言されたそうですが。それはどういった意図で?

ヨコオ コストの関係です。

――あえてプレッシャーをかけ、いいものを引き出す的なアレでは……。

ヨコオ いえ! もったいないので。上がったものは全部使いたい、という貧乏性な考えです。

■つねに変なものを要求

――お話をうかがった全体的な印象では、比較的自由にやらせてもらっているんですね。

齊藤 そうなんですよ。ヨコオさんがたまに、「みんなどんどん積んでいってるんだけど、大丈夫なのか」と心配を漏らすほどですから。

ヨコオ 自分の知らないところで勝手に入っているものもあったりしますから。ディレクターの自分が知らないところがある、というのはおもしろいな、と思ったりしますけど。それを利用してエピソードを追加したりしています。

――それを利用して、というところがスゴイ(笑)。そういったことを積み上げていくと、最初の想定からボリュームは増えているのでは?

ヨコオ すごく増えました。マップも自分の想定の2倍くらいの広さがありますし。

梶 それは自分がちょっと調子に乗ってしまった感もあります……。

根岸 梶もちょっと遅れて『NieR』チームに合流したんですけど、空気を読まずに「ここはもっと大きいほうがいいんじゃないですか?」と言い始めて。それはみんな言い出しづらかったんですけど、そのやる気に便乗して、みんなもあれもこれもと増やしていって……結果、いま青ざめている、というところです。

村中 モーションも最初は2Bと9Sは共通のモーションにする予定だったのですが、個別のモーションを付けることになりまして。スケジュールは変えずに。それがいま少し尾を引いていますね。

ヨコオ それをねじ込んだのは田浦さんです!

――隙あらばイケメン潰し(笑)。

田浦 ふたり操作できるのなら、それぞれ別のモーションにしたいですよね?

――確かに。そこはこだわりですよね。

進藤 サウンドに関しても自由にやらせてもらっていますね。「音のことはよくわからないので、お任せします」という感じですけど(笑)。

――丸投げ! 自由を超えた大胆なディレクション(笑)。

進藤 たまに「ヘンな音が欲しい、ヘンなアイデアが欲しい」と言われることがあって、すごくヘンなことを求める方だなという印象です。

梶 確かに、意味はなくてもいいからヘンなものを入れてほしい、とはよく言われます。

田浦 まだ実装するかどうかはわからないんですけど、アイテムを使うと、ただヘンな音が鳴るだけ、とか(笑)。画面がちょっと……とか。

――画面がちょっと……!?

大西 操作まわりでは、アーケードコントローラで操作できないかとか、ふたつのコントローラを使って、二人羽織プレイができないかとか。ひとり用のゲームをふたつのコントローラでプレイする人はいないと思いますが(苦笑)。

――たしかに(笑)。やる意味もないですし。それは一応、検討するんですか?

大西 はい。「こうすればできなくはないと思いますが、本当にやります?」と確認します。実際、二人羽織プレイはやろうと思えばできるので、実装する方向になっています。

ヨコオ 貧乏性なので、何かがコスト控えめで入るなら入れたい、というのが基本方針です。二人羽織プレイもふたりで楽しんでほしいというよりは、タダに近い、安いコストで入るものは全部入れたいという。

進藤 サウンドでもヘンなアイデアはあって、これは根岸の案だったんですけど、モスキート音(17000ヘルツ前後のとても高い音[高周波]のこと。聴力が衰え始める中高年の人はかなりの確率で聴こえにくくなる)を鳴らして、その音がするポイントに行ったら何かいいアイテムが手に入る、みたいなことをやりたいと。それを実装して、ヨコオさんにテストしてもらったんですけど、ヨコオさんがモスキート音を聴き取れなくて確認できないという。

一同 (爆笑)。

――オールドゲーマーにはきびしい(笑)。

進藤 三十歳以上はなかなか聴こえないと思います(笑)。サウンド担当でも聴こえない人がいましたから(笑)。誰がデバッグするんだ、っていう(笑)。

――ところで、プラチナゲームズ内に、外部からディレクターが来ていっしょに開発する、ということはいままであったんですか?

田浦 プラチナゲームズ内に入ってやる、ということは初めてですね。

――やりにくいな、ということは?

松平 E3など大きなイベントタイミングで情報を出すときは、それに間に合わせないといけないのですが、ヨコオさんがお昼ごろ出社されたりすると、チェックが滞って困ります。

齊藤 そこはもっと言っといたほうがいいですよ!

――出社が遅い、と。

ヨコオ 朝が弱くて……。夜は深夜や早朝までかかってもいいんですけど、プラチナゲームズさんは、夜にみんな帰っちゃう。逆に夜もっと遅くまでいてほしい。午前3時くらいまで。

――そして今回もE3タイミングの情報で、2017年初頭と発売時期もアナウンスされました。

齊藤 想定よりちょっと遅れましたが。

――すでにE3トレーラーも公開さていると思いますが、ここに注目してほしいというところは?

梶 トレーラー見ると……背景のクオリティーは高いなと思ったりしました。

ヨコオ えっ、自画自賛!?

梶 最近、『アンチャーテッド 海賊王と最後の秘宝』のデキを見てヘコんでいたんですけど、PVを田浦さんがウマイこと録ってくれて、けっこうキレイだなと。

――E3のトレーラーは田浦さんが?

田浦 編集はヨコオさんですが、使われているゲームプレイ映像を収録したのは自分です。

――では、最後に皆さんの仕事をトレーラーに凝縮したヨコオさんに見どころをぜひ。

ヨコオ なんだろう……。意外とよくできているように見えるんですけど、油断したらダメだということをお伝えしたいです。『NieR』ですから。

――でも、今回はプラチナゲームズさんですし。

ヨコオ でも、『NieR』ですし。悪い意味で外さない。

齊藤 いい意味にしてよ(笑)。

ヨコオ あれを見て期待されるものとは違う気がするなぁ。PVではすごいゲームに見えるかもしれませんが、そうじゃない気がします。

齊藤 今回のトレーラーでようやくイベントからバトルにつながるシーン、ボス戦など『NieR:Automata』の世界観が見えるトレーラーになっているんじゃないかなと思いますので、まだご覧になってない方は、ぜひご覧いただければ。


■プラチナゲームズ クリエイターが見た『NieR:Automata』
 プラチナゲームズの先輩クリエイターから見た『NieR:Automata』開発の印象とヨコオディレクターについてのコメントも紹介。


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――『NieR:Automata』について

 プラチナゲームズが協力することで、どこまでこの世界を進化させることができるのだろうか? という不安はありましたが、ヨコオさんの指揮下で開発することによって、かなりおもしろい化学反応が起きています。
 テストプレイをするたびに予想もしない刺激にニヤけますが、同時にいろいろな意味での“ヨコオさんの覚悟”と“スタッフたちの覚悟”も感じますね。

――ゲーム開発者としてのヨコオ氏、田浦氏の印象など。

 じつは、以前からブログ等でヨコオさんの書いた文章を読んでおり、たいへん真面目かつ頭の切れる人という印象があったのですが……。周囲から耳にする印象はなぜだか違う意味で頭が切れ(て)る人だったため、実際どうなのかは興味津々でしたね。でも『NieR』を制作しているヨコオさんの仕事っぷりは、非常に爽やかかつ真面目です。いや本当に。でも、こう感じるのは僕がプラチナゲームズ社内の頭が切れ(て)るスタッフたちに慣れすぎてしまったせいなのかもしれません。あ、田浦はですね、外見と違って
非常に怖くてきびしい部分を内面の闇として抱えており、そのギャップに女子たちはもうメロメロですよ。仕事っぷりもたいへ真面目なのですが、爽やかさはヨコオさんの勝ちだと思います。

プロデューサー
稲葉敦志氏
代表作: 『The Wonderful 101』、『ベヨネッタ2』、『Scalebound(スケイルバウンド)』

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――『NieR:Automata』について

 渇いたような、寂れたような、色彩を抑えたステージに黒く美しい女性キャラクターが立っているビジュアルがとにかくカッコイイです。キャラクターは丁寧でエレガントなアニメーションでキビキビ動き、手触りのいい3Dアクションに仕上がってきてます。それ以外にも横スクロールアクションなども詰め込まれているし、加えてヨコオさんのシナリオが乗るとか……なんて盛りだくさんなんだ! 絶対買うしかない! と、思っています。

――ゲーム開発者としてのヨコオ氏、田浦氏の印象など。

 ヨコオさんはよく「若手がどんどん作ってくれるので僕は何もしていません」とおっしゃいますが、チームで和気あいあいと話している中に、じつは的確な指示が含まれていると思います。うまく人を乗せて笑顔で仕事を増やす手法はぜひ見習っていきたいです。田浦君はまず顔がカッコいいです。企画作業はオールマイティーにこなしますが、とりわけアクション関連の作業はプラチナゲームズでいちばん上手です。ふつうはこういうイケてる後輩は嫌いですが、二次元の女性キャラクターに異常に執着することがあるのでなんだか愛せます。

ゲームデザイナー
山中雅貴氏
代表作:『MAX ANARCHY(マックス アナーキー)』

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――『NieR:Automata』について

 しっかりと作り込まれている世界観にフェチたっぷりのキャラクター、かわいくもあり無機質でもあるロボットの敵、それが違和感なく融合していて、かつ幻想的な雰囲気も感じさせるゲームに仕上がってるように感じます。『NieR』の世界観はすごく好きなので、今回は買います! 

――ゲーム開発者としてのヨコオ氏、田浦氏の印象など。

 ヨコオさんのゲームは知っていたのですが、ちゃんと認識したのはファミ通のコラムでしたね。書いている内容が、アレなんだかおかしいぞ……「うむうむ、嫌いじゃない……この人」というのが印象的でした。
 プラチナ社内では(残念な)イケメンなんだけど仕事ができるということで評判の田浦君。そのふたりがキャッキャ、ウフフとお互い楽しそうに開発している印象なので、いい作品になりそうだなと、少し離れたところで見守ってます。

プロデューサー
齋藤健治氏
代表作: 『メタルギア ライジング リベンジェンス』

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――『NieR:Automata』について

 第一印象は吉田明彦さんのキャラクターデザインがアイコン的ですごくいいなと思いましたね。ヨコオさんの独特な世界観とプラチナアクションでどのような化学反応が生まれるのか気になりますし、開発現場を見ていると若いスタッフのエネルギーが満ち溢れているので、完成がとても楽しみです。

――ゲーム開発者としてのヨコオ氏、田浦氏の印象など

 ふたりはデキているのかというぐらい仲がいい印象しかないですね(笑)。ヨコオさんを虜にしている? プラチナゲームズのイケメンゲームデザイナー田浦が担当している渾身のアクション部分にもご期待ください。

ゲームデザイナー
橋本祐介氏
代表作: 『ベヨネッタ2』、 『スターフォックス ゼロ』

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――『NieR:Automata』について

 たいへん失礼ながら、僕は『NieR』という作品をよく知らず、ウチがその続編に関わるという話を会議で聞いた時もポカンとしていました。いまは、開発中の画面の完成度が上がっていくのを見ながら、プラチナで敏腕ディレクターの名を欲しいままにしてきた僕の地位が、ヨコオさんという外部のディレクターがスタッフの人望を集めることで脅かされやしないか、戦々恐々とした日々を送っています。

――ゲーム開発者としてのヨコオ氏、田浦氏の印象など

 たいへん失礼ながら、僕はヨコオさんという人物も存じておらず、社内で知らないおじさんを見かけるようになったなぁと思ったらそれがヨコオさんでした。お話ししてみるとじつは同い年で、お互い同年にナムコから新卒内定をもらっていた業界同期生だというではないですか。お陰でたまにTwitterで言葉を交わすほど親密になりました。田浦君は優秀なので、早めに潰しておきたいです。

ゲームデザイナー
神谷英樹氏
代表作:『BAYONETTA(ベヨネッタ)』、『Scalebound(スケイルバウンド)』

最終更新:6月23日(木)0時2分

ファミ通.com