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舛添氏が辞職に追い込まれる一方で、甘利氏は不起訴のなぜ?

ニュースソクラ 6/23(木) 11:50配信

検察はこの時期、自民党と官邸に嫌われたくなかった

 政治資金流用疑惑に揺れる舛添要一東京都知事は15日、辞職願いを提出した。

 「リオ五輪終了まで待って欲しい」という舛添都知事の涙ながらの訴えは、都民の怒りの前では通じず、最後まで「密かなる支援」を続けてきた都議会自民党が、目前に迫った参院選への影響を考えて「舛添斬り」に出たことで万事窮した。 

 この「強制辞職」へ向けた国民とマスコミが一体となった激しいうねりと好対照を見せたのが、舛添騒動の最中、話題になることもなく報じられた甘利明前経済財政担当相の不起訴処分である。

 両方とも、今年になって『週刊文春』が火をつけた「政治とカネ」に関する事件。舛添氏の場合は、「ホテル三日月の家族旅行」に代表される政治資金の私的流用という「出」に関する問題であり、甘利氏の場合は業者からの陳情を受けて都市再生機構(UR)に圧力をかけ、政治献金を受け取ったという「入」に関する問題である。

 どちらも市民団体が東京地検に告発状を提出。先に受理していた甘利問題に関し、5月31日、東京地検は「不起訴処分」を下した。千葉県の工事会社はURと重ねていた補償交渉に関して甘利事務所に陳情。それを受けて甘利事務所はURと協議を重ね、その結果、補償金額が積み上がったとして、工事会社は甘利氏本人と秘書に献金した。

 政治家と秘書が、口利きの見返りにカネを受け取った行為は、あっせん利得処罰法違反などの罪に当たるとして、市民団体は告発した。だが、地検特捜部は「一般の政治活動の範囲にとどまる」とし、あっせん利得処罰法違反罪に問うには、「言うことを聞かないと国会で取り上げるぞ!」といった権限に基づく影響力の行使が必要で、甘利事務所にはそれがなかったと説明した。

 果たしてそうか――。

 不起訴処分を受けて告発した市民団体は、6月3日、検察審査会に「審査申立書」を提出、検察審査会に「起訴相当」の議決を求めた。そのなかで、不起訴処分の不当性をこう訴えている。

 「本件の場合、安倍政権の有力大臣であり政治家の要請行為であったからこそ、UR側は当初は補償の意思がなかったのに、2億2000万円まで大幅に上乗せして支払っている」

 確かに、URは甘利氏が大物閣僚だからこそ合計12回もの交渉に応じた。それこそ、「権限に基づく影響力の行使」というのが、一般的な国民感情だろう。

 加えて、この頃、国会で刑事司法改革関連法案を審議しており、検察には自民党と官邸に嫌われたくないという思惑があった。この法案は「司法取引」を含むもので、新しい検察捜査を模索する検察にとって、法案成立は悲願。強制捜査の際、甘利事務所を家宅捜索先から排除した時から不起訴処分は暗黙の了解事項。その配慮に応えるように、法案は5月24日に成立した。

 舛添氏のため息が出るようなみっともない私的流用と、ゴネ得を狙った悪徳業者に手を貸した甘利氏のどちらが悪質かを論ずるつもりはない。だが、孤立無援の一匹狼であるがゆえに舛添氏が、嵐のような批判を浴びて辞職を迫られ、有力閣僚で安倍首相の側近で戦う“武器”も備えていた甘利氏が、復帰への道を歩みだしたその落差は、キチンと認識しておくべきだろう。

伊藤 博敏 (ジャーナリスト)

最終更新:6/23(木) 11:50

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