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英国EU離脱問題、きょう国民投票。日本の経済界は残留を切望

ニュースイッチ 6月23日(木)9時1分配信

離脱なら円高加速、株1万4500円程度に下落

 欧州連合(EU)離脱の是非を問う英国の国民投票を23日に控え、日本の経済界が警戒感を強めている。国民投票の結果次第では、経済のグローバル化とは裏腹に世界でナショナリズムが一層高まりかねない。混迷を深める世界で、経営判断をいかに下すべきか―。英国の問題はそれを象徴する出来事と受け止められており、経済界は英国のEU残留を切望する。

 日本で8年ぶりに開かれた主要国首脳会議(伊勢志摩サミット)。参加国は日EU経済連携協定(EPA)を年内早期に大筋合意することを再確認した。英国のキャメロン首相の姿もそこにはあった。

 環太平洋連携協定(TPP)、さらに環大西洋でも自由貿易圏を拡大し、世界がグローバル経済の輪を広げ、新たな成長軌道を描くことが期待される。

 ところが「かつて美しく機能していた政治と経済という車の両輪は、逆の方向性を向いてしまった」と、経済同友会の小林喜光代表幹事は指摘。経済のグローバル化とは真逆に働くベクトルが世界の政治リスクとなった現状に警鐘を鳴らす。

 過激派組織「イスラム国」や移民・難民問題、これに経済格差が加わって保守化・右傾化を強める動きが世界各国にみられる。米国大統領選という状況を勘案しても、共和党のトランプ候補による移民政策、民主党のクリントン候補がTPPの再考を訴えるのも、こうした動きにつながる。「政治リスクを相当に考えていかなければならない時代」と小林代表幹事には映る。

 英国への日本企業の進出は1000社以上、年間投資額は1兆円を超える。「これはEUの一員としての投資。(離脱で)その前提が崩れると大きな影響がある」と経団連の榊原定征会長は懸念する。また英国北東部に鉄道車両工場を持つ日立製作所の中西宏明会長も現地紙に相次ぎ寄稿するなど、「合理的な判断」を英国民に訴え続ける。英国有権者が冷静な判断を下し、世界の政治と経済のベクトルをあわせることを経済界は求めている。

<金融市場はリスクオフ加速>

 英国のEU離脱が現実となれば、世界の金融市場でリスクオフの動きが加速、短期的には為替は円高に株価は下落に向かうだろう。英国の世論調査では残留派と離脱派が拮抗(きっこう)しているが、マーケットは英国残留で織り込みが進む。万が一離脱となれば相当なマイナスインパクト。野村証券は離脱直後の株価水準を日経平均株価1万4500円と予測する。

 英国離脱の日本経済への直接影響は、中期的には軽微とみるアナリストが多い。SMBC日興証券の圷正嗣株式ストラテジストらがまとめたリポートは「日米欧の主要中央銀行が緊急の資金供給に踏み切る可能性が高く、EUと英国の離脱交渉が長期に及ぶため、リーマン・ショックのような長期下落にならない」と予測する。

 日本企業の英国依存度も米国や中国に比べ低いため、仮に英国の国内総生産(GDP)が下押しされても日本企業への影響は限定的。

 一方で離脱が回避されればポンドやユーロが上昇し、ドルや円が下落。世界的な長期金利も上昇に転じる可能性が高い。これらが追い風となり日経平均株価も回復するだろう。野村証券は英国残留の場合、日経平均のめどは短期的に1万7500円程度とみている。

最終更新:6月23日(木)9時1分

ニュースイッチ