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中国、日本への対応を軍レベルに引き上げ?

ニュースソクラ 6/24(金) 13:00配信

中国軍艦、日本周辺で活動 偶発的衝突の危険も

 中国海軍の情報収集艦が連日不穏な動きをしている。15日には鹿児島県・口永良部島西の日本の領海に侵入、16日にも同じ情報収集艦が沖縄県・北大東島の接続水域を一時航行した。日本政府は中国側の意図を分析しているが、日本への海上での対応が、これまでの警察(海警局)から軍(人民解放軍)にレベルアップされたのではないかと警戒する見方も出ている。中国側は今後も日本の周辺で、同様の行動に出る可能性が高く、偶発的な衝突を心配する声も上がっている。

 問題になっているのは、中国海軍のドンディアオ(東調)級情報収集艦と呼ばれる船。巨大なゴルフボールのような円球観測機を船の上に載せており、無線やレーダーを使って戦術弾道ミサイルや長距離対艦ミサイルの試験発射に合わせ、各種測定を行なう。

 また、海底の地形に関する情報収集や、他国の軍艦が行う無線を傍受、分析する活動も行っているようだ。英語では、ずばり「スパイ船」と呼ばれている。

 軍事関係のウェブサイト(Globalsecurity.org)によれば、中国製で、1999年に就航し、改造を重ねてきた。

 長さは130メートル、約6000トン。250人の乗員とヘリ1機を乗せ、20ノットで進むことができる。機関砲も装備している立派な軍艦だ。
 沖縄周辺海域では17日まで米国、インド両海軍の共同訓練「マラバール」が行われており、中国の情報収集艦は、インド艦艇の後を航行していた。
 インド艦艇は、補給艦、フリゲート艦、駆逐艦2隻の計4隻だったが、どの艦の情報を集めていたかははっきりしないという。

 防衛庁によれば、こういった情報艦が、日本の周囲に来ることは過去にもあった。

 昨年末には、同じ型の中国情報収集艦1隻が、房総半島南東の接続水域外側の海域を往復するのが確認されている。9日には海軍艦艇が沖縄県・尖閣諸島周辺の接続水域に入っている。2012年に日本が尖閣諸島を国有化して以来、中国は中国海警局の船が、この周辺海域で活発な活動を続けている。

 国連海洋法条約は、外国船舶が秩序や安全を害することがない限り、他国の領海を通行する権利(無害通航権)を認めており、中国政府も、「この権利を行使しただけ」と、今回の行動を説明している。

 日本政府も「無害通航権」は認めている。今回問題視しているのは、「15日に領海を通過した時に中国側に注意を申し入れたのに、翌日も同じ船が接続水域に入った。緊張を高める行為だ」(防衛省関係者)という点だ。

 中国側の狙いについては、1、演習への単なる妨害や嫌がらせ。2、演習に参加していた米原子力空母「ジョン・C・ステニス」の情報を収集。3、領有権問題のある尖閣周辺で、中国軍の活動を活発化させる準備。4、南シナ海における中国の一方的な海洋進出に厳しい姿勢を取っている安倍政権を牽制―などの見方がある。日本側が恐れているのは3だ。

 ただ、今のところ中国情報艦の活動は、どこの国でも行っている範囲に留まっている。米国防省スポークスマンも記者会見で、今回の事態について聞かれ、「詳しい状況は日本政府に聞いて欲しい」と述べる程度で、踏み込んだ発言を避けている。

 「中国はいったん始めた行動を簡単にやめない」(軍事評論家・古是三春さん)ため、同じ事態が続くことが予想され、偶発的な軍事衝突につながる危険性もある。

 緊急事態に連絡を取り合う軍同士のホットラインが重要だが、日本は、隣国である中国、韓国とも結んでいない。

 韓国とは、関係改善の動きを受けて、今年になってホットライン設置で基本的に合意したが、韓国内での反発もあり、いつ設置するか未定だ。

 中国との間で「海上連絡メカニズム」を作る交渉は、昨年二年半ぶりに再開された。早期運用開始で双方が合意しているものの、細部で意見が合わず、足踏みを続けている。

 中国側の行動を見極める一方、軍事衝突回避への粘り強い努力が必要だ。

■五味洋治 ジャーナリスト
1958年7月26日生まれ。長野県茅野市出身。実家は、標高700メートルの場所にある。現在は埼玉県さいたま市在住。早大卒業後、新聞社から韓国と中国に派遣され、万年情報不足の北朝鮮情勢の取材にのめりこんだ。2012年には、北朝鮮の故金正日総書記の長男正男氏とのインタビューやメールをまとめて本にしたが、現在は連絡が途絶えている。最近は、中国、台湾、香港と関心を広げ、現地にたびたび足を運んでいる。

最終更新:6/24(金) 13:00

ニュースソクラ