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「EU離脱問題」争点は経済・財政。日本は英国を教訓にできるか

ニュースイッチ 6月24日(金)7時42分配信

消費増税延期、国民の財政健全化への意識は高まるか

 欧州連合(EU)離脱をめぐる英国の国民投票は、離脱派も残留派も自国の経済財政の先行きを憂慮する点で一致する。移民急増は財政を悪化させる一方、EU離脱による経済収縮もまた財政健全化を遅らせかねない。

 翻って日本。財政健全化計画の初年度である2016年度に消費増税延期を決め、健全化の道筋は描かれていない。健全化に対する国民の問題意識を英国並みに高めることが求められる。

 財政制度等審議会(財務相の諮問機関)は、5月に麻生太郎財務相に提出した建議の中で「英国の姿勢は、まさに経済・財政再生計画の初年度を迎えているわが国として教訓とすべきものである」と指摘した。「英国の姿勢」とは、キャメロン政権が10年に策定した財政健全化計画を欧州債務危機後も放棄せず、経済再生と財政健全化を両立したことだ。

 英国の国内総生産(GDP)に占める財政収支比率は09年にマイナス10・8%まで悪化したが、16年はマイナス2・6%まで改善。日本はマイナス8・9%からマイナス4・9%への改善にとどまる。またGDPに対する公的債務残高の比率は英国が16年に115%に対し、日本は232%と主要国中で最悪だ。

<緊縮財政を継続>

 英国は10年以降、公務員削減など歳出削減や、日本の消費税にあたる付加価値税率引き上げなどの緊縮財政を継続。15年の総選挙ではキャメロン政権の財政健全化路線が支持され、続投が決定。19―20年度に財政収支を黒字化させる健全化計画を堅持する。

 移民問題を争点とする英国の国民投票は、社会保障給付の財政負担が急拡大することへの懸念がEU離脱派の根拠の一つ。一方、残留派も離脱に伴う経済損失を懸念し、自国の経済財政を憂慮している点で共通する。

 翻って日本はどうか―。20年度に基礎的財政収支を黒字化させる財政健全化目標を掲げながら、実現への道筋は描けない。名目3%以上の高い成長率を継続し、しかも17年度に消費税率を10%に引き上げたとしても20年度に6兆5000億円の赤字が残ると内閣府は試算する。

 17年度の消費増税は延期が決まり、成長に伴う税収増は成長戦略関連などの歳出に回し、債務削減には充てない方針だ。痛みを伴う歳出改革にも踏み込んでいない。

 経済界は17年度の消費増税を予定通り実施するよう求めたものの、各種世論調査では増税延期を求める家計の声が過半を占めた。

 財政審は「公聴会の開催や、財政・租税教育の充実などを通じ、国民の間に財政健全化への一層の理解を得ていくことが必要」だと訴える。

 英国の国民投票を教訓に、財政健全化への論議を深めることが求められている。

最終更新:6月24日(金)7時42分

ニュースイッチ