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「トップインタビュー」〈神戸製鋼・川崎博也会長兼社長〉=「3本柱の独自路線で」

鉄鋼新聞 6月24日(金)6時2分配信

――社長3年目の昨2015年度は、7割減益の経常利益289億円でした。自己評価は。
 「コア事業である鉄鋼と建機の収益悪化が響いた。極めて不満足な数字だ。鉄鋼設備の安定稼働など課題も多い年だった」

――続く今16年度は経常利益見通しが350億円。全体では増益ですが、鉄鋼事業は収益が悪化(経常赤字149億円から160億円に)します。
 「理由がはっきりしている一過性の特殊要因で収益が落ち込む。これは予定通りのシナリオだ。来年秋の高炉集約に向けた準備のコストがかかるし、今年秋の加古川高炉改修のコストもある。高炉集約効果を発揮していく18年度以降に向けた我慢の時期だ」
――建機事業は黒字転換を見込み、経常益80億円の見通しです。
 「昨年度に減損による特別損失と貸倒引当金など大きな赤字を出し切った。中国のショベル需要は前年度横ばいとの前提だが、昨年度は在庫販売を続けていたものが今年度は在庫減に伴い生産を再開できる。黒字をしっかり確保できるはずだ」
――アルミ・銅は真岡製造所でアルミ板がフル稼働。経常益は微減となる140億円の見通しです。
 「在庫評価損を見込んで小幅減益の見通しとなっているが、実態はほぼ横ばい推移とみている。アルミ・銅は経常益140億~150億円を安定的に稼げるようになってきた。鉄と建機の業績不振を補って全社利益に貢献している」
――先日、20年度までの中期経営計画を策定、公表しました。素材業界で企業再編が続く中、どういう企業像を目指すのか。改めてビジョンを聞きたい。
 「当社は国内鉄鋼業界で起きている再編統合の動きには加わらない。鉄、アルミ、銅、チタン、マグネシウムなど複数素材を持つユニークな企業として、独自路線(スタンドアローン)で成長を目指す。素材系と機械系と電力系が3本柱だ。神戸製鋼らしいコングロマリット(複合企業)経営を強化し、事業部門の遠心力ではなく求心力を強めていく」
――鉄鋼事業では来年度に高炉集約して粗鋼700万トンに規模を縮小。守りの経営とも言えます。
 「鉄は守りだ。需給ギャップがあり、これだけ競争が激しいので、当社の強みを生かして得意分野を守り、伸びる市場で成長を目指す。品種で言えば超ハイテンと特殊鋼線材を伸ばす」
 「ハイテンでは4月に、中国鞍鋼との合弁薄板事業の開所式に行ってきたが、その連続焼鈍設備(CAL)は、鞍鋼と当社がそれぞれ培ってきた技術的見解に基づいた最新鋭の設備構成にしている。まずは980メガパスカル級ハイテンをつくるが、それ以上の強度クラスのハイテンをしっかり造り込める装備だ。これは当社がハイテンで生きていく姿勢を鮮明にしたものだ。タイではミルコン社との合弁で来年から特殊鋼線材の現地生産に乗り出すことを決めた。これも特殊鋼線材で生きていく当社の強い意思表明だ」
――20年度に鉄鋼で経常利益300億~400億円が目標です。
 「目標は鋼材で300億円、鋳鍛鋼とチタンで100億円。合わせて400億円ぐらいのイメージだ」
――鋼材で300億円だとトン当たり4千~5千円の利益です。
 「競争が厳しいので、20年度の時点では、それぐらいの利益を安定的に確保できる形を構築するのが目標。利益の変動幅を小さくしたい。さらなる利益上積みは、自動車の軽量化対応をカギに考えていきたい」
――自動車向けではアルミとのマルチマテリアル・マルチメタル戦略を推進する方針。
 「総合ソリューション力を高めたい。軽量化効果とコストのバランスのとれた超ハイテン・アルミ各々の素材競争力強化に加え、マルチマテリアル化を実現する当社独自のソリューション技術を武器にシェア拡大を狙う」
――自動車向けでは他素材や新技術も?
 「銅も端子向けなどがあり、有力なメニューの一つだ。自動車向けではCFRP(炭素繊維強化プラスチック)との接合技術にも注目している。当社がCFRPを直接手掛けることはなくても、仮にCFRPが自動車に採用される流れになったときには、それと相性のいい鋼材やアルミを提案できる力も付けておきたい」(一柳 朋紀)

最終更新:6月24日(金)6時2分

鉄鋼新聞

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