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実はゾウより希少、「絶滅の静かな危機」にあるキリンを救え

The Telegraph 6/24(金) 12:00配信

【記者:Sarah Knapton】
 キリンが「絶滅の静かな危機」にひんしている。アフリカ平原における生息数は9万頭ほどで、絶滅が心配されているアフリカゾウよりも実はずっと少ないと、英国放送協会(BBC)が新たに制作したドキュメンタリー番組が警鐘を鳴らしている。

 ほんの15年前、野生のキリンは約15万頭いるとされていた。だが生息地の減少と密猟のせいで、個体数は40%も減少した。

 動物学者デービッド・アッテンボロー(David Attenborough)氏がナレーションを担当したこのドキュメンタリーでは、石油探鉱の影響を受けかねないウガンダのキリン20頭を、野生動物の保護団体がナイル(Nile)川の向こう岸へ移動させる様子を追った。

 アッテンボロー氏は、「誰も認識していないのは、キリンの方が(アフリカゾウよりも)ずっと少ないということ。キリンはすでに7か国で絶滅してしまった。肉を目当てに殺され、生息地は破壊されている。時間切れは近い」と警告している。

 キリンの個体数はアフリカゾウの約5分の1にまで減っているにもかかわらず、いまだ絶滅の可能性が低い「低危険種」に指定されたままだ。

 キリンの専門家で、キリン保護基金(Giraffe Conservation Foundation)の事務局長を務めるジュリアン・フェネシー(Julian Fennessy)博士は、ウガンダのキリンが激減していることに気付き、大規模なレスキュー隊を立ち上げてキリンの移動作業に取り掛かった。

 ウガンダのキリンはナイル川の一方の岸のみに生息している。その地下に、同国で見つかっている石油の75%以上が眠っており、掘削計画が進んでいる。

 フェネシー博士はウガンダ野生保護局(UWA)と協力し、20頭のキリンを捕獲して対岸へ移動させ、新たな生息環境を整える活動に取り組んできた。

 ただ野生のキリンの捕獲は一筋縄では行かない。単に麻酔を打ってしまうと、背が高いため倒れた時に致命傷を負いかねない。

 麻酔銃を撃ったら直ちに徒歩で追いかけ、ロープを使って地面に安全に横たわらせる必要がある。しかも20分以内に解毒剤を投与しなければ、キリンは死んでしまう。

 体重が1トンを超えるキリンに一蹴りされれば、人間の首など飛んでしまいかねない危険な作業だ。目隠しをした上専用トレーラーに乗せ、フェリーで向こう岸へ運ぶ。

 ドキュメンタリーの最後には、対岸の草原に放されたキリンたちが、新たな生活を始める様子が収められている。

 フェネシー博士は、「今こそわれわれが力を合わせてキリンを救わなければ、手遅れになりかねない」と指摘した。

 レスキュー隊は、キリンの頭部に突き出した角に特殊な発信機を装着し、野生に戻した後の動きを人工衛星を用いて追跡した。

 それによりキリンたちは、川向こうの新たな生息地を探検するため何百キロも移動していたことが分かった。中には、18000平方キロもの広大な場所を行き来するキリンもいるという。

 このドキュメンタリーでは、これまで野生では確認されていなかった驚きの生態も捉えていた。暗視カメラの映像によると、キリンは夜間、交代でライオンの見張りをしながら、まるで白鳥のように首を後ろへ曲げ、頭を背中に載せて寝ていた。

 さらに今回全個体から採取した遺伝子サンプルの解析で、20頭が5つの異なる種に属している可能性が示された。この調査結果については、現在査読作業が行われており、近く発表される予定となっている。【翻訳編集】AFPBB News

最終更新:6/24(金) 12:00

The Telegraph