ここから本文です

夫から3語突きつけられたら即離婚、インドのムスリム女性

AFPBB News 6/24(金) 10:21配信

(c)AFPBB News

【6月24日 AFP】インド中部の町ボパール(Bhopal)。実家に帰っていたサダフ・メムード(31)さんのもとに、夫から手紙が送られてきた。そこに殴り書きされたわずか3語に、彼女の心は打ち砕かれた。

 彼女の夫は、イスラムの古い慣習にならい、アラビア語で「タラーク、タラーク、タラーク」と書いてきた。タラークとは離婚するという意味で、これを突きつけられた瞬間、彼女たちの5年間の結婚生活は終わった。

「私は大きな衝撃を受けて完全に打ちのめされた。結婚直後から行き違いはあったけど、そこまでひどくはなかった」と、3人の子どもの母親でもある彼女はAFPに語った。

 メムードさんの他にも、夫からタラークの3語で離婚されたインドのムスリム(イスラム教徒)女性は数多い。そのメッセージは従来通り郵便で送られることもあれば、交流サイト(SNS)のフェイスブック(Facebook)や携帯電話向け人気チャットアプリ「ワッツアップ(WhatsApp)」が使われることもある。

 この慣習は多くのイスラム教国で禁止されている。インドは、公的には宗教色の薄い世俗主義国家だが、同慣習を法的に認めている数少ない国の一つだ。

「離婚通達は事前に何の警告もなく突然送られてきた」と、メムードさんは言う。彼女は今、夫の支援なしにどう生計を立てていくか苦境に立たされている。

 人口1億5500万人のイスラム教徒を含むインドの宗教的少数派は、ヒンズー教徒が多数を占めるこの国において、自分たちの宗教の自由を守るために慣習を重視し、それを私的に法制化している。

 しかし女性たちは、イスラム法「シャリア」に基づくタラークの慣習は誤用され、男性が簡単に家族を捨てることを可能にしていると訴える。

「女性は一般的に、この社会で二級市民の扱いを受けており、さらに宗教の誤った解釈によって差別されている」と、ムスリム女性の権利向上を助ける慈善団体「Bharatiya Muslim Mahila Andolan」で働くサディア・アクタール(Sadia Akhtar)氏は言う。

■失われた「本当の意味」

 慈善団体が昨年行った調査によると、ムスリム女性の大多数が同慣習はイスラムの教えに反するとして廃絶を望んでいた。調査対象となった女性4000人のうち500人ほどが、この慣習によって離婚を余儀なくされていた。

 同団体は最近、この慣習の禁止を求める運動の一環として、イスラム教徒約5万人分の署名を集めた。

 イスラム教の聖典コーラン(Koran)は、離婚の手続きには90日間が必要と記している。最初にタラークを伝えてから30日後に、もう1回、さらに30日後にもう1回通達するのだ。イスラムの宗教学者たちは、こうした猶予があることにより、夫婦が結婚生活を見直し、和解に至る可能性が与えられると指摘する。

 首都ニューデリー(New Delhi)のジャミア・ミリア・イスラミア大学(Jamia Millia Islamia University)でイスラム学を教えるアクタルール・ワゼイ(Akhtarul Wasey)教授によれば、タラークの慣習はもともと、夫が妻に「精神的ショックを与える」切り札としてのみ使われていたものだったという。タラークを延々と発し続けたのちに取り下げるのだ。

「(だが)その本質が失われ、恣意(しい)的な法律になってしまった」と、同教授は言う。

 しかし、インドのイスラム教指導者たちは、宗教的アイデンティティーが崩壊するのを恐れて、この私法の改正に消極的だ。改正すれば、ヒンズー教徒の強硬派に同法の廃止を迫る言い訳を与えかねない。

 ボパール在住のシャイスタ・アリさんは、夫から突然離婚され家から追い出された後、宗教指導者たちに助けを求めた。だが彼らは「夫の家族の肩を持った」と、彼女は言う。

 メムードさんは離婚を受け入れたが、ほかの女性たちが同じような経験をしないようにと、タラーク慣習の改正を望んでいる。

「タラークを廃止することはできないけど、男性がタラーク、タラーク、タラークと言う前に熟考するように、何らかの罰則が規定されるべきだ」と、彼女は語った。4月28日撮影。(c)AFPBB News

最終更新:6/24(金) 10:21

AFPBB News