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浮き彫りになった英国の分断 各国は「反EU気運」飛び火を警戒

THE PAGE 6月25日(土)10時15分配信

 残留派と離脱派が最後まで拮抗した状態で23日に行われたイギリスのEU離脱を問う国民投票では、開票が始まった直後は残留派のリードが伝えらえたが、離脱派が徐々に勢いを見つけ、最終的に離脱派が約1741万票、残留派が約1614万票という結果に。120万票以上の差をつけて離脱派が勝利した結果、イギリスはEUからの離脱を選択し、脱退に関して定めた欧州連合条約第50条に沿った手続きを開始することになる。イギリスのEU脱退はイギリス国内にも社会的な分断状態を生み出し、欧州各国にくすぶる反EU気運を高める起爆剤と化す可能性があり、周辺国は経済問題だけではなく、自国のナショナリズムにも警戒を強めている。

【写真】「一つの欧州」終わりの始まりになるか? 英国でEU国民投票

スコットランドやウェールズは残留が多数派

 イギリス全体では離脱派の勝利となったが、各地域に目を向けると、様相は少し異なる。スコットランドでは「残留」に投票した有権者が62パーセントに達していた。ウェールズは52パーセントで離脱派の勝利。イングランドでもロンドンでは「残留」に投票した有権者が約60パーセントに達したが、ロンドンをのぞいたイングランド全体では57パーセントが「離脱」に投票した。

 宗派間対立が引き金となってカトリック系とプロテスタント系の双方がテロを続けた過去のある北アイルランドでは、55.8パーセントが「残留」に投票した。現在も北アイルランドはイギリスの一部だが、アイルランドもEUに加盟しているため、アイルランドと北アイルランドの国境は事実上解放され、同じ島の中で自由な往来が可能になった。

 イングランドとは異なり、北アイルランドは住民がEUからの恩恵を十分に受けていると感じている地域だ。1998年にイギリスとアイルランドの間で北アイルランドをめぐる和平合意(ベルファスト合意)が結ばれると、EUは和平合意をサポートする目的で毎年数百億円に及ぶ予算を北アイルランド向けに捻出している。農業がメインとなっている地元経済を活性化させるための優遇措置も存在する。

 現地時間の24日午前、北アイルランドのベルファストに住むミュージシャンのクリス・マッコリーさんは、イギリスの有権者がEU離脱を選択した直後の町の様子について語ってくれた。

「とてもガッカリしています。昨日の時点では残留で間違いないだろうという空気が町には存在していたので、投票結果に憤慨する友人も少なくありません。北アイルランド出身者はイギリスとアイルランドの二重国籍を取得できるため、私はアイルランドのパスポートを取得するための申請に行くことを決めました。北アイルランドの治安が20年近くに渡って安定していたのは、EUからのサポートがあったからなんです。キャメロン首相の後継者は間違いなく状況を悪化させるでしょうから、将来がとても心配です」

 EUで中心的な役割を担うドイツでは、イギリスの離脱はどのように伝えられているのだろうか。EU内の動きに詳しい、ドルトムント工科大学ジャーナリズム研究所のユリア・ローネンドンカーさんがドイツ国内の報道について語る。

「全体的には、EUからの離脱によって、イギリスは自らに破滅的かつ混とんとした状況を与えるだろうという論調が主流になっていますが、経済的関係の強いドイツにどれだけの影響が出るのかも懸念されています。また、イギリスの離脱が結果的にEU全体を不安定化させるのではないかという分析も伝えられています」

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最終更新:6月25日(土)10時44分

THE PAGE