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日本初のスマートタウンは、まちの未来を変えるか?

エコノミックニュース 6/25(土) 19:33配信

 東日本大震災の津波で被災した宮城県東松島市で、災害公営住宅団地に太陽光発電のパネルや独自の電線を設け再生可能エネルギーの地産地消を実現する、環境・防災のまちとして「東松島市スマート防災エコタウン」が完成、稼働を開始した。丸川珠代環境相、阿部秀保東松島市長列席のもと、みやぎ県民防災の日である6月12日に完成披露式典が行われた。

 「東松島市スマート防災エコタウン」では、街区内に設置した太陽光パネルで発電した電力が、85戸の災害公営住宅や集会所、街区外にある4つの病院や公共施設に独自の電線から送電されるシステムが構築されている。そして、災害時には、外部からの電力供給が途絶えても、敷地内に設置したバイオディーゼル発電機や大型蓄電池により、3日間は普段通りに電力を自給できる。

 東松島市と設計・施工を行った積水ハウス <1928> によると、日本では、マンションや期間限定の実証実験において、電力の利用をITでマネジメントする「スマートタウン」の事例はあるが、それぞれの敷地を越えて、戸建住宅を含むグリッドを構築し、電力を送電する事例は今までなく、「東松島市スマート防災エコタウン」が全国で初めてだという。

 「スマートタウン」構想といったものを耳にすることも多い。しかし、その詳細を調べてみると、簡単に言ってしまえば、単純に複数のスマートハウスが並んでいるだけだ。これでは街全体でスマートシステムが構築されているとは言えないだろう。

 今後も世間の電力料金は値上げの傾向が続くであろうが、従来の集中型発電から、送電や変電ロスの少ない地域での自立・分散型の発電に移行していくのが望ましいのではないだろうか。

 「東松島市スマート防災エコタウン」は、環境省の補助金と「自立・分散型低炭素エネルギー社会構築推進事業」に選ばれており、太陽光発電による電力を固定価格買い取り制度(FIT)で売却せず地産地消することもの特長だ。住民は地域新電力事業者でもある「東松島みらいとし機構(HOPE)」から電力を購入する。支払われた電力料金は東松島市内で循環されるため、「地域経済活性化」に貢献することとなる。さらに、地域新電力事業により雇用も創出できるなど、地方創生の一環としても注目の取り組みだ。

 このプロジェクトを実現させるためには数々の苦労があったようである。前例がない中、様々な許認可のハードルがあり、それをひとつずつ丁寧にクリアしていったという。

 また、これまでも各地で「スマートタウン」の実証実験は行われてきたが、実験が終わると、それっきりになってしまうところもあるようだ。本格的なスマートタウンが実現できるかは、事業として継続的な運営が可能か否かと、行政や電力事業を担う主体の「本気度」ではないだろうか。

 式典で、環境相は「環境対策を進めることが、防災や復興にも役立つ」と述べ、市長は「これからも防災、減災に強い町づくりを進めていきたい」とあいさつした。住民や病院関係者からも、この災害に強く、環境にやさしいまちに期待する声も聞くことができた。

 新しい試みは今、やっとスタート地点にたった。この「環境」「防災」「経済活性化」の3つの社会課題解決を目指す「東松島市スマート防災エコタウン」の成否が、今後のまちづくりに大きな影響を及ぼすことは言うまでもないだろう。(編集担当:久保田雄城)

Economic News

最終更新:6/28(火) 8:48

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