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カタログ燃費と実用燃費の乖離が生んだ?三菱自とスズキの不正。その燃費基準が「WLTP」にアップデート?

エコノミックニュース 6/25(土) 20:41配信

 国内自動車メーカーの「クラスNo.1燃費」という広告コピーやアピール、PRの増加は、経済産業省が2009年からスタートさせた、重量税と自動車税を免除もしくは減額するエコカー減税の影響が大きい。

 ただし、自動車ユーザーは、カタログ記載されているJC08モード燃費値など信じていない。故に、カタログ燃費値に遠く及ばない実用燃費であっても、メーカーやディーラークレームを付けたという話はあまり聞かない。

 三菱自動車やスズキの燃費不正問題に、消費者が誰も気付かなかった理由のひとつがここにある。そして、「燃費テストを不正に行なっても、誰も気が付かないはずだ」という意識がメーカー開発陣にあったのではないか、ということだ。

 ずいぶん前に、カタログ燃費と実際の燃費の大きな差について記事を掲載した。そこで、「1970年代前半ぐらいから、自動車のカタログに燃費性能は記載されていたが、当時は燃費よりも0-400m加速とか0-100km/h加速のようなクルマの性能そのものをアピールする記載が多かった。その性能がほんとうなのか検証する役割を担っていたのが自動車専門誌といわれる一部の雑誌だった」と記載した記憶がある。

 しかしながら、自動車雑誌もすべてのクルマを購入してテストするわけではなく、自動車メーカー主催のプレス向け試乗会や、メーカーが用意する広報車と言われるテストカーを借りて取材する。そこで実用燃費としてテスト結果を公表するが、カタログ燃費との乖離について触れる媒体はほぼ無い。自動車専門誌であっても、カタログ燃費にはまったく期待してはおらず、自分たちがガンガン走らせて得た燃費データを公開しているのが現状だ。

 現在、カタログ燃費はJC08モード燃費(2011年以降)という測定値で表す。現基準のJC08モードは、実際の走行に近い「加速・減速・信号待ちなど一定時間の停止」などが細かくモニターで指示され、その走行パターンで走らせ燃費を測定する。また、暖気が済んでいないエンジンが冷えた状態からスタートするテストも加わる。

 実際の燃費計測は各社の条件を均一にするため環境が一定な屋内に設置したシャシーダイナモのローラーの上を走らせる。しかも、運転するのは各メーカーの測定運転を専門とするスペシャリストだ。

 このテストでは、実走行と大きく違う点がいくつかある。まずハンドルは常に直進状態、現実的にはあり得ないが、決してステアリング操作はしない。また、坂道もない。風も吹かないし雨も降らない。渋滞もなければ、時速100km以上の高速走行もない。

 また、計測テストではエアコンやオーディオなどの電装品はすべてOFF。パワーステアリングが備わるが、ステアリング操作がない「決して曲がらないテスト」なので、エネルギーロスは無い。

 年度ごとの国内自動車保有台数とカタログ燃費、その年度の走行距離(車検毎にチェック)、燃料消費量を計算した日本自動車工業会の資料によれば、実用燃費はカタログ燃費値のおよそ70%だという。だから、今回の三菱自やスズキの燃費不正が、ある意味で「一般にバレなかっただけ」というわけだ。

 こうした燃費不正で業界が揺れるなか、モード燃費を測定する規格そのものが大きいな変更が加えられるようだ。

 これまでのJC08モードに変わる新燃費測定規格は、今年3月に国土交通省と経済産業省が発表した「WLTP/Worldwide harmonized Light vehicles Test Procedure(小型車における国際調和テスト基準)」で、2018年度に導入するというものだ。ユーザーの混乱を避けるために2022年まで現在のJC08モード燃費と併記されるが、初の世界共通燃費規格となる予定だ。この規格の導入で日本独自のJC08モード計測車は、かなり燃費が落ちると予想する識者が多い。

 また、これまでの車重区分で、何としても有利な軽量ゾーンに入るために無理矢理軽量化した新型プリウスEのような燃費スペシャルグレードを造ることが出来なくなり、広告塔だけのグレード構成というような無意味な策略が通用しなくなりそうだ。これは、自動車ユーザーにとってフェアな進化と言える。

 WLTPの導入でメーカーには燃費試験で、これまで以上に誠実な申告が求められる。(編集担当:吉田恒)

Economic News

最終更新:6/26(日) 11:16

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