ここから本文です

三菱自動車、新体制でタコツボ文化は本当に改革できるか

ニュースイッチ 6月25日(土)8時29分配信

日産からの人材が鍵握る

 三菱自動車は24日に千葉市内で株主総会を開き、新たな経営体制が始動した。燃費試験データの改ざんなど法令違反が次々と明らかとなり、総会では株主から厳しく経営責任を追及された。信頼回復には日産自動車との協業をテコに、再発防止の徹底や事業の選択と集中が求められている。

<燃費問題収束急ぐ>

 新体制では益子修三菱自会長が社長を兼務し、白地浩三常務執行役員が海外担当の副社長に昇格する。日産元副社長の山下光彦技術顧問を開発担当、三菱東京UFJ銀行の池谷光司専務執行役員を財務担当の副社長に迎え入れた。

 「燃費不正問題の特別損失が上振れすることはない。かなり保守的に見積もりをしている」。株主総会前の22日、三菱自は2017年3月期連結業績見通しを発表。同日の会見で黒井義博常務執行役員は燃費問題が業績に与える影響を最大限に織り込み、この問題を17年3月期決算で収束させたい考えを示した。

 三菱自は4月20日に停止した軽4車種の生産販売を7月上旬をめどに再開する。約2カ月間に及ぶ生産販売停止などの影響額を2050億円に膨らむと見込む。このうち営業利益への影響額は550億円と試算。

 17年3月期の国内販売が前期比4割減の6万台に落ち込むのが響く。うち軽は同約5割減の2万8000台と予測する。4―5月の軽の販売実績は2389台。「再開しても燃費が勝負の軽では販売は厳しい」(三菱自幹部)との見方もある。

<日産流を浸透>

 不正問題でブランドが毀損(きそん)する国内は長期的な販売低迷が避けられず、すべての営業利益を稼ぎ出す海外での成長が欠かせない。海外を担当する白地氏は三菱商事出身で、一貫して自動車事業に携わってきた。三菱自の強みである東南アジアを中心に事業を伸ばし経営再建でも中心的な役割が期待される。

 今後、三菱自の再生のカギを握るのは、不正問題の温床となった開発部門の風土改革や再発防止の徹底だ。これまでの社内調査で順法意識の欠如や風通しの悪い組織、人材の長期固定化の改革など課題は見えている。

 その意味で開発担当の副社長として迎え入れた山下氏への期待も大きい。山下氏は「開発部門は組織、仕組み、文化の3要素が大事」としており、開発の仕組みを含め日産流を浸透させることになりそうだ。

 一方、開発資源の不足が問題の根本原因だとする指摘もある。実際に社内調査でも09年からエコカー減税に対応するため燃費目標が設定され、開発現場の負担が増加したが、人員配置など開発部門のマネジメントが十分できていなかったことが明らかになっている。

<さらなる絞り込み>

 トヨタ自動車との単純比較では販売台数は約10分の1、研究開発費用は約11分の1。経営体力の差は歴然としているが、三菱自は軽を含めた小型車から中型車、スポーツ多目的車(SUV)「パジェロ」などの大型車まで手がける。

 益子会長はこれまで生産と開発のスリム化を進め、看板車種の開発中止を決断した際は「批判もあった」と吐露する。車種も05年の23車種から17種まで絞り込んだが、「それでもまだ多いかもしれない。思い切って見直さないといけないと思う」(益子会長)と一層の削減も示唆する。

 選択と集中を進める上で、資本・業務提携で基本合意した日産との協業は好機となる。三菱自は日産の経営資源を最大限活用し、SUVや電気自動車(EV)などの強みを発揮するために何を止めるかの決断力が求められる。

1/2ページ

最終更新:6月25日(土)8時29分

ニュースイッチ

TEDカンファレンスのプレゼンテーション動画

地球外生命を宿しているかもしれない1つの惑星と3つの衛星
地球外にも生命はいるのでしょうか?NASA(アメリカ航空宇宙局)の惑星科学部門の部門長であるジェームズ・グリーンと一緒に、地球外生命を宿していそうな場所を太陽系内の中で探してみましょう。 [new]